Scott Henderson サウンドの秘密 (1/2)
Scott Hendersonの待望の新アルバム、"Well to the Bone" が完成し、9月5日、6日と ロサンゼルスのライブハウス、La Ve LeeでCD リリースパーティーがありました。 あのボブ・ブラッドショーが、「彼の耳は犬の様に研ぎ澄まされているんです。 私や普通の人間には決して判らない音の違いを聞き分けるんですよ。」と感心した超越した耳を持っているスコット。 彼のサウンド創りのヒントは大変興味深いものでした。(9/6/2002) Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2002 Hiroshi Mochizuki)
PCI:新しいCD, "WELL TO THE BONE" の完成おめでとうございます。 このCDのメンバーはスコット・ヘンダーソン・トリオですね?
PCI:レコーディングはどこでされたんですか? Scott:ベーシックな部分はMI(GIT)のスタジオでやり、僕の家でダビングし、最終的にマイケル・ランドーのスタジオでミキシングをしたんだ。 PCI:マイケルと一緒にミキシングしたのは初めてじゃないですか? Scott:そうだね。 ほとんどマイケル・ランドーが作業をやってくれて、僕はそばでアドバイスをしただけだよ。 PCI:どういうきっかけで、マイケルと一緒にミックスをする事になったんですか? Scott:アレキサンダー・ダンブルと打ち合わせをしている時に、マイケルがこの新しいCDの曲を聴いて大変気に入ってくれて、是非ミックスをやらせて欲しいと言ってくれたんだ。 彼はコンピューターからのミックスはまだやった事がなかったんで、そういう意味では彼にとっても面白い仕事だったんじゃないかな。 彼はこれを機会にプロトゥールも購入したようだね。 彼以上に僕もたくさんの事を今回勉強できた。 マイケルはスタジオ機材については大変詳しいし、コンプレッションや各種リバーブ、ディレイなど、僕が知らなかった技術的な情報をたくさん教えてくれたんだ。 PCI:今までとは全く違う方法でCDを製作されたという事でしょうか? Scott:方法が違うという訳ではないんだ。 いつもは TJ Helmerich とMI(GIT)の学校のスタジオでやる事を別の場所で別のメンバーでやったという事だね。 GITのスタジオが空いていなかったのと、TJが大変忙しかったんでね。 PCI:TJはあなたのCDのレコーディングにはいつも係わってきたんですか? Scott:そうだね。TJは優秀なレコーディングエンジニアであると同時に、素晴らしいギタリストでもあるんだよ。 "Rocket Science" は全部彼がMIXしてくれたし、"Dog Party" では彼が1曲速弾きギターソロもやってくれた。 また彼とは一緒にやりたいね。 PCI:今回のレコーディングで使用された機材を教えて下さい。 Scott:アンプは主に FenderのBandmasterで、ダンブル(Alexander Dumble)が改造してくれたやつを使ったんだ。 それと古い 68年 Plexi Marshall。 1〜2カットはCustom AudioのAmp Distortionも使ったね。 PCI:ギターは John Suhr のストラトですね? Scott:そうだね。 それから、Danelectro の12弦バリトーンギターやレスポールも数カット使ったよ。 メインはほとんどJohn Suhrの白のストラトだったね。 Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2002 Hiroshi Mochizuki) PCI:エフェクターは何を使いましたか? Scott:メインはTube ScreamerとVoodoo1 の組み合わせかTube Screamer単独。 これはAnalog Manの改造したやつだよ。 それからMXRの古いBooster Pedal、Microamp。 これがMarshallに合うんだよ。 Microampのつまみを1杯に上げてMarshallに繋ぐと、リッチー・ブラックモアの様なサウンドになるんだ。 それからDODの250 / Overdriveも好きなんで使ったよ。 これもMarshallとのコンビネーションがいいんだ。 PCI:イエローのバージョンですか? Scott:いや、グレイのだよ。 そう言えば古いタイプはイエローだったね。だけど、本当は僕のはオレンジだよ。 ペイントしたんで。(笑) それから残念だけど今回はRobotalkを使う曲を創るのが間に合わなかった。 大変気に入ってるペダルなんだけど、ユニークなんで是非Robotalkのために1曲創ってレコーディングしたいと思っている。 次回を楽しみに。 PCI:有難うございます。 さて、今までのCDと比較してサウンド的な違いは何でしょうか? Scott:今までは家でレコーディングした曲はあまり大きな音量を出していなかったんだ。 近所迷惑なんで音量には気を使ってるんだよ。 "Rocket Science" でも、良い太いサウンドが出ているけど、今回はもっと良くなっているよ。 比較すると分かってもらえると思う。 今回は、スピーカーキャビネットをいつものリビングルームから出して来て、キャビネットの底が直接フロアに触らない様にスタンドを付けたんだ。 要するに4つのスクリューのみでキャビネットを支えたんだ。 キャビネットの底面がフロアに触らないので、大音量を出しても家が揺れなかった。 また毛布をたくさん使ってキャビネットとマイクの回りを囲み、いつもよりは大きな音量でレコーディングができたんだよ。 それで近所の人に警察へ電話されずにすんだ。(笑) Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2002 Hiroshi Mochizuki) PCI:この住宅地で大音量出したら苦情が来ますからね。(笑) その他に今回のCD製作で難しかったところは何でしょうか? Scott:ギターのトラックをいくつも重ねた所だね。 いつもはギターは1トラックだけで、それにキーボードやドラム、ベースのみだった。 せいぜいその上にもう一つギターを重ねる程度。 今回はいくつものギターのパートを重ねていったので、それらが互いにケンカしない様にレコーディング後に時間をかけてEQで調整しなければならなかったんだ。 アンプのコントロールだけで調整するのは難しいことがよく分かったよ。 アンプのEQで調整しようとすると、ギターのサウンドそのものが悪くなってしまうんだ。 ギターのそれぞれのサウンドはベストなサウンドでレコーディングし、その後EQで調整する、そういう作業とレッスンを今回はできた。 大変勉強になったよ。 結果として全てのギターの音がクリアに聞こえるし、全体のバランスも良くなったよ。 PCI:曲はレコーディングを始める前には全てそろっていたんですか? それともレコーディングをしながら作っていったものが多いのでしょうか? Scott:全ての曲はレコーディングの前には完成していたよ。 ヨーロッパツアーやLa Ve Leeのライブでも既に演奏していた。 レコーディングの時に全ての曲を把握しているというのが理想的だね。 去年はツアーが多かったんで曲を創る時間があまり取れなかったんだ。 それでこのCDの製作が大幅に遅れてしまったんだよ。 PCI:このCDは日本でも発売されますか? Scott:ヨーロッパとアジアでは10月初旬に発売される予定だよ。 僕のサイト http://www.scotthenderson.net/ で詳細決まり次第発表するよ。 PCI:日本へもこのTRIOでツアーに行くご予定ですか? Scott:いや、日本へはTRIBAL TECHのバンドで12月に行く予定なんだ。 今回のCDとは関係ないツアーなんだ。 日本へ呼んでくれる人達(MI)がTRIOよりTRIBAL TECHの方が良いみたいだ。 多分、ベースの Gary Willisがベースクリニックをするのを楽しみにしている人達が多いんだろうね。 TRIOのベースのJohn はあまり日本では知られていないのかもしれないね。 PCI:そうですか。 TRIOのサウンドも日本には好きな人多いと思います。 するとこのCDのプロモーションツアーはアメリカ、ヨーロッパ、南米だけなんですね? Scott:そうだね。 アメリカツアーは10月で、ヨーロッパツアーは来年3月の予定だよ。 その他のスケジュールは、決まり次第僕のサイト http://www.scotthenderson.net/ で発表するんで宜しく。 PCI:先日La Ve Leeのライブでお会いした時、来週からヨーロッパへ行くと言ってみえましたが? Scott:プレスツアーなんだ。 演奏は無くて、インタビューだけのツアーなんだよ。 これもCDを売るためには大事なことなんだよ。(笑) Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2002 Hiroshi Mochizuki) PCI:今年のメインの活動は、TRIOでアメリカ、ヨーロッパ、南米のツアー、そして12月にはTRIBAL TECHで日本ツアー、それからLa Ve Leeでの定期ライブということになりますか? Scott:そう、それと曲創りにも集中したいね。 去年は曲をあまり創れなかったんでね。 今からスタートして、来年にはもっと早く新アルバムをリリースできる様にしたいと思っている。
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