第二回
ポール・リヴェラ
その2
<先月からの続き、昼食を囲みながら、話題が弾む。何かというと車の話にずれ込むあたり、万国共通男の話題だ>
>ところで息子さんの名前は?
「ポール リヴェラJr.そして父はポール リヴェラ。
だから電話を奥さんが取ると、『ジュニア?シニア?』って。
面白いでしょ?」
食事も終わり、また工房にもどってきたので、すかさず壁に飾ってあるあの有名なポール リヴェラModのBOSSのCE-1を見つけて質問を投げかけてみた。
>あのCE-1はリトナーとか、グレイドンとかが使っていたやつで有名な貴方の改造CE-1ですよね?
「そう。あれはミスター・ミスターのギタリストのスティーブ・フェリスのやつです。彼がヨーロッパツアーで240Vに繋いじゃって壊しちゃったんです。120V仕様なのにステップダウンしないままでね<笑い>そう言えばもう一年ぐらい預かりっぱなしだなあ。ゴメンよ!スティーブ」
>もう以前みたいにモディファイ物はやらないんですか?
「ウーン、そうだなあ、最近ラックから、またコンパクトのペダルボードに戻りつつあるし、また以前の80年代に私がやっていたバッファーペダルが戻ってきてますね。でも実際にはあまり当時から進歩していないのが現実でね。息子は是非私のペダルボードを復活させたいと言っています。現在のトレンドだしね。でもAMPのプロダクトが既に5〜6種類もあって、それで精一杯というのが現状なんですよ」
>どんなところを改造したのですか?
「スペースエコーとかのノイズがひどいものをスタジオレコーディングで使えるクオリティーにしたんです。ローランドのモディファイは私の専門分野でした」
<この辺りの技術的な話は実は今回かなり詳しく聞いてきたので、このインタビューの後、機会があれば、ホームページにUPしようと思っています>
>ルカサーの例のやつとかも?
そう。FETスィッチっていうのは、回路をどうしても通ってしまうのですが、それだと元の音が変わるのでリレースィッチを使ったんです。ルカサーのTSなんかは完全にバイパスできる様にしたんですよ。その他に、ミュートロンやエコープレックスなんかのリペアもやりましたよ。
>そういえば話しは変わりますが、なんでラリーカールトンはその後ブギーを使って、その後ダンブルに持ち替えたのですか?何年頃スイッチしたか知っていますか?その当時のクロスオーバーギタリストやセッションマンってそういう流れがあるりますよね?僕は彼の大ファンでブギーもダンブルも持ってますけど、、、、
「その話を聞きたい?この話はもう今では笑い話だからいいかな。 あまり人には話した事ない事だけど… じゃあまずその前にちょっと前置きをしましょう。まず自分はバレーアーツ時代の当時、ロス地区でのメサ・ブギー社の公認リペアーマンだったんです。
<ブギー社の所在地はサンフランシスコで、ロスからは地図で見ると近いようだが、実際には時速130kmぐらいの車で、7、8時間も掛かる>例えばニューヨークではどこどこミュージックの誰々という感じでその町にはブギー社の公認リペアーマンが居た訳です。
このロス地区ではブギーを使っているミュージシャンは当時ライブをやる時には必ずバレーアーツに居た私の所へ、調整にもってきたんです。アル・ディメオラとかジョン・マクラフリンとかこの町に来た時はね。そんなある日いつもの様にラリーがその晩大切なギグが有るからって、当時彼のいとこのスティーブをよこしたんです」
>スティーブ・カールトンですね?
「そうです。良く知ってるねえ?
彼がラリーのブギーMK-1を3台持ってきたんです。ラリーのその3台はそれぞれ、No.1, No.2, No.3とナンバリングされていて、
その中でもメインのNo.1は最も大事なギグに…サウンドはグレイト!正にラリーカールトンサウンドで彼の一番のお気に入り。
No.2はそれのスペアーに。サウンドはGood。No.3は、まあまあ。そんな具合に3台持っていたんです。違いはもちろんラリーの耳のレベルでの話しだけどね<笑い>」