2008年11月 5日
第10回:Melvins/Nude With Boots
かなりこのコラムから遠ざかってしまっていた。今回はちょっと前に出たMelvinsの"Nude With Boots"に付いて。「またMelvinsかよ」と言われるかもしれないが、これには訳がある。前作の"(A) Senile Animal"に続き今回もセッションに参加させてもらったわけだが、今回の作品は10数年ぶりに日本国内盤が出る事となった。そしてその輸入販売元のDaymareのH氏から、前作の"(A) Senile Animal"の時に書いたセッションノートと同じようなものを"Nude With Boots"のライナーノートとして書いてほしい、と言う要望が来た。そう、つまりはこのコラムがヒントとなりそのライナーノートを書く事となった。その内容をここに書いてしまってはそのライナーノートの価値がなくなってしまうので、それにはのせられなかった機材等の写真を今回は説明入りでここに載せたいと思う。
01) The Kicking Machine
"ベル" - 一番上の写真の真ん中。カリフォルニア州のPalm Desertの自転車屋で見つけた。とは言っても何処の自転車屋でも見つけられるとは思う。高音の奇麗な響きが長く続く。0:13で聴こえる。
"タンク" - バケツをかぶった時の様な音。
"マイク" - 一番上の写真。最近のマイクは高性能な上、値段がお手頃。昔の安いマイクとは周波数の幅が比べ物のにならない。まぁ、昔のマイクはまた別の味があって、違った使い道がある。ちなみにメーカーはElectro Voice, Heil Sound, Shure等。
03) Dog Island
”アナログシンセサイザー” - Sequential Circuits Pro-One。左手でキーを抑えながら、右手でフィルターをいじりながら録音。自慢じゃないが一発取り。って弾いているのは一音のみ。アナログの暖かさが曲の後半で聴こえると思う。
”マイク端子付きカシオキーボード” - Casio VA-10。安っぽいエフェクトが味。Melvinsを始めとする自分に取ってセッションでなくてはならない機材の一つ。
04) Dies Irae
"Fender Japan Telecaster" - お茶の水の楽器店で衝動買いしたギター。15年くらい前の話で7万円強。
"Gretsch 6161" - アメリカ大手楽器販売店、Guitar Centerで中古で見つけた。$450であったのが驚き。これも衝動買い。Buzzのお気に入り。これもMelvinsのセッションでは何度も使われた。
07)Nude With Boots
"カバサ" - ポルトガル語でひょうたんの意味らしい。数珠と本体をこすり合わせて音を立てる。ブラジルの音楽でよく使われる。
08)Flush
"Circuit Bending/サーキット・ベンディング" - 数年前、ベンディング(玩具キーボード等の電気楽器を改造する事)にはまっていた。これらも自分のセッションではよく使われる。予想し難い音が出るのが大きな特徴。
09)The Stupid Creep
"ファンと思われる人にもらった手作りマイク" - 一番上の写真の左上の2つ。中身にシリコンが埋め込まれていて、構造を確認できない。音質は非常に悪い。電話を通したような音。その特徴を生かして録音。0:13からのボーカルで歪んで鼻の詰まったようなDaleの声がこれである。
11)It Tastes Better Than The Truth
"Daleは拡声器" - EBayでかった拡声器。マイク端子が付いているのでギター等もつなげる事が出来る。Daleのお気に入り。
"Jaredはおもちゃの拡声器" - 玩具屋等で見つける事の出来る拡声器。エフェクト(ピッチ・シフト/リング・モジュレーター)が付いていてスピーカーから出る声が変わる。
"ピアノに向かって叫んでいる" - かなり大きな声で叫ばなければ響かない。
コンピューターやマイク等の新しい技術に加え玩具箱から色々な物を掘り出したように、色々な音を混ぜ合わせている。是非国内盤のCDを買って、ライナーノートとこのコラムとを併用して聴いてもらいたい。
トシ・カサイさんのプロフィールはこちら
トシ・カサイさんのJINAでのインタビューはこちら
投稿者 admin : 09:54