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Toshi Kasaiインタビュー

PCI:日本人社会とはほとんど接触せずに、裸一貫でアメリカ人社会にどっぷりと漬かり、今では多くのアメリカ人ミュージシャンやプロデューサーに頼りにされている日本人レコーディングエンジニアを見つけました。お名前はToshi Kasai。トシさんのインタビューを紹介します。

MelvinsのDaleとBuzzと仕事中のとしさん

*いつロサンゼルスに?
トシ:97年の6月です。

*ロサンゼルスではどの学校でどんな勉強をされましたか?
トシ:その年の月から半年ほど、Los Angeles Recording Workshopと言う所でレコーディングエンジニアの勉強をしました。
http://www.recordingcareer.com/

*仕事を見つけるまでの苦労話、エピソードは?
トシ:初めのうちはインターンシップをかねて色々なスタジオを転々としていました。小さなレコード会社のステージテク兼ギターベーステクなどもしました。それから1年、2年はビザの関係もあってかなり悲惨な暮らしをしていました。食生活の面でかなり酷かったと思います。今も大して変わりませんけど。(笑)

*ベンチャーズのエピソードを教えて下さい。
トシ:そんなときに、自分がその当時手伝わしてもらっていたスタジオにベンチャーズと日本のアイドルグループの合同セッションがありました。そこでアシスタント兼通訳と言う肩書きでそのセッションに参加させてもらいました。
ベースプレイヤーのBob Bogleの奥さんが、Yumiさんと言う日本人の方で、仕事の間に自分の食生活の話を聞かれ、正直に答えると、かなり心配してくださった様で、そのセッションが終わって彼らが帰ると言うときにYumiさんから自宅に電話をもらいました。その内容は、使っていない電子レンジがあるからスタジオに預けておいたから取りに行く様にとの事でした。そしてスタジオに行ってみると、そこには2つのダンボールがありました、一つはその電子レンジでした。そしてもう一つには新品のトースターと小さな封筒でした。その封筒には「これで何か食べてください。Yumi & Bob」と書かれた手紙と$100のビルが入っていました。6年以上経った今でもそのレンジとトースターは使っています。感謝し切れません。。。

*ここHook Studioでの仕事の役割は?
トシ:ハウスエンジニアです。小さいスタジオなのでテクがいませんので、簡単な機材の修理、手入れは自分がやっています。独学で電気系統を勉強して、おかげで今は簡単なギターペダルなんか作る様にもなりました。最近かなりはまっています。

*どんな人達と一緒に仕事をされましたか? おもしろいエピソードは?
トシ:色々いますけど Tool、Melvins、JelloBiafra はご存知のとおりですね。他には、Foo Fighters、Puddle Of Mudd、Sepultura、Danzigと言ったロックバンドが多いですね。大御所では、Willie Nelson、Vikki Carr、Roben Ford、そしてなんと言ってもDan Hicksのセッションは忘れられません。Danは日本でもなかなかの人気を保っている60年代後半から活躍しているサンフランシスコ出身のフォークシンガー・ソングライターで、そん時のゲストミュージシャンとしてBett Midler、Ricki Lee Jones を連れて来てくれました。Danのウィットな歌詞とお洒落な音楽に惚れ込み、今でもよく彼のCDは聴いてます。 あとはプロデューサーで言うとPuddle Of Mudd、Creedを手がけJohn Kurswegとか、Sublimeを手がけたEddie Ashworthなどです。それから、今はVirginレコードの社長(か会長?)をやっているMatt Serletic。若手で凄腕のMark EndertはGavin DeGraw、Maroon 5、Oursと言った今かなりアメリカで人気のある人たちのセッションを持ってきてくれて、Markとはプライベートでも親しくなりました。MarkがMike Ward(PCIインタビュー参照)を紹介してくれました。Markがつれて来てくれたバンドの中にSugar BombとSplenderと言うバンドがあったんですけど、あまり話題にはならなかったんですが、日本人が好きになるようなポップロックだったので、読者の皆さんにお勧めしたいです。そしてもう1人自分が働かせてもらったプロデューサーに、あの有名なEddie Kramerがいます。Eddieは60を過ぎた今も、音楽に対する情熱を失っていないようにみえました。Eddieとのエピソードはまたの機会に語らせて頂きます。 Hook以外の仕事では、Dave Matthews Band、Bloodhound Gang,そして日本のEastern Youthなどにも参加させてもらいました。エピソードに関しては個人のプライバシーなどのことも考えてから、改めて書かせていただきます。

*ToolのAdamやMelvinsのBuzなどとは個人的にかなり親しい様ですね? その他に親しいミュージシャンは?
トシ:AdamとはToolのセッションを行って以来かなり親しくさせてもらっています。Adamを通じてMelvinsを紹介してもらい、Adamを含めて彼らとはセッションもさることながらプライベートでも映画、パーティーやコンサートに誘ってもらっています。特にMelvinsのDale Croverとは昔の家も近かった為、ボーリングをしたりもしています。最近連絡していないんですけど、Daleが紹介してくれた元Jesus And Mary ChainのWilliam Reidとはよくお酒を飲んでました。他にはPCIを紹介してくれたMike Wardとはお互いボクシングファンとして仲良くなりました。もう一人ボクシングファンでFoo Fightersのギターリスト、Chris Shiflettは昔何度か”ボクシングを観にこないか?"と言う誘いがあったんですが、最近になって子供が生まれた為、彼から電話がかかって来なくなりました。そうそう、Hangfaceと言うノルウェーからきたバンドがEddie Kramerと彼らとレコーディングを共にしてから仲良くなり、よくパーティーに誘ってくれるようになりました。

*現在のメインの活動と今後の計画は?
Dale Croverのソロプロジェクト”Altamont”の製作に携わっているのですけど、Melvinsのツアーのため一時中断しています。最近はスタジオ活動に限らず、先ほど述べたようにギターエフェクトの製作、特にファズペダルの作成にも力を入れています。それと今、MelvinsのKevin Rutmanisの影響、他の友人の進めもあって始めたのですが、インターネット上で流行りつつあるサーキットベンディングにはかなりはまっています。サーキットベンディングとはおもちゃのキーボードや喋るおもちゃを改造して、変わった声や音、ループを出す事が出来るようにする作業の事を言います。その改造した機材を使った音、自分の製作したペダルの音はMelvins/Lustmord、JelloBiafara/Melvins、そしてAltomontのCDで聞く事が出来ます。その友人と自分とで自分の作ったペダル、サーキットベンディング、そしてそれらを使ったエフェクトCDについてのサイトを製作しました。↓をご覧下さい。
http://www.freewebs.com/otosound/


今後はMelvinsのような発想力に富んで、創造的なことをする事に恐れないバンド、またDan Hickのようにお洒落でウィットに富んだバンドをプロデュース出来たらと思っています。
何か質問ありましたら↓までe-mail下さい。
toshimanaki@hotmail.com
(8/25/2004)