Roxy Guitar Finishインタビュー
Ty:びっくりした? ここが僕の作業場なんだ。 たださすがに手狭になったんで今月の半ばに新しい場所に移るんだけど、そっちはまだ工事が終わってなくて、まだ作業はこちらでやってるんだ。 あとで新しい作業場も見せるよ。 (と言って扉を開けると一人で作業するにはそこそこの広さと空調システムを持つ作業場があった。) PCI:効率的にセットアップされていますね。 贅沢を言わなければ一人で作業するには適当な広さですね。 インレイワークで有名なラリー・ロビンソンが自宅の庭に置いたキャンピングカーの中を作業場にしていますよ。 自宅のガレージを作業場にしているギタービルダーもたくさん知ってますよ。 Ty:そうなんだ? 良かった。 PCI:まず、いつから Roxy Guitar Finishを始めたのか、又それ以前は何をされていたのか教えて下さい。 Ty:会社を始めたのは2年前の2000年。 それまではワーマスで8年間塗装の仕事をしてたんだ。 PCI:生まれはどちらでしょう? Ty:生まれも育ちもここタコマ。 1977年生まれ。 いつも老けてみられるんだ。 子供もいるんでね。 PCI:ワーマスでは月にどのぐらいの量をこなしていたんですか? Ty:大体250本前後。 多い時は300本近くやったこともあるよ。 PCI:ワーマスを辞めた理由は? Ty:忙しすぎて納得がいく仕事が出来なくなってきたんで、納得のいく仕事をするには独立するしかないと思って。 その頃USA Custom Guitarsのトミーや他のメンバーも辞めたりして、自分もふんぎりを付けるタイミングだなと思って。 トミーはいつもいろんな人を紹介してくれるんでとても感謝してるよ。 PCI:ところで、塗装にはどのようなマテリアルを使っていますか? Ty:ベースコートはポリエステル、トップコートはウレタン。 PCI:ラッカーはやらないんですか? Ty:ラッカーもできるけど時間がかかって高い物になるので、今はやってないんだ。 ただ、僕はベースコートのポリエステルを80%ぐらいサンディングで落としてからトップコートを乗せるんで、見た目の質感も実際の塗膜の厚みもかなり薄いんだ。 これまでにいろいろ実験をくり返して、どうしたらラッカーのように薄く塗装ができるか、またその塗装が時間が立っても目痩せがこないようにするにはどうやるべきかを僕なりに研究した結果なんでこの仕上げには自信があるんだ。 PCI:本当にポリやウレタンとは思えないぐらい薄い塗装ですねえ。 質感もそうだけど、見た目に厚みを感じない仕上げですね。 ここにあるフレーク塗装のものでさえすごく薄い感じです。 仕事の質の高さが分かります。 Ty:ありがとう! フレーク塗装は好きなんだ。 いろんな色のフレーク塗装ができるんだ。 フレークの大きさもいろいろあるんだよ。 今ここに見せられる物が無いけど、クロームメッキのような塗装もできるよ。 アイバニーズのサトリアーニモデルみたいなやつ。 PCI:いいですね。 最近はフレーク塗装をやらない所が多いので私達にとっては朗報です。 今は月にどのくらいの量をこなしてるんですか? Ty:40本ぐらいかな? 今1人なんであまり出来ないけれど、新しい場所に移ってからはいとこが2人手伝ってくれるんでもう少し、そう月に100本ぐらいできるようになるよ。 PCI:ここワシントン州は西海岸の一番北に位置する所で冬はかなり寒い所ですが、このトレーラーの中は温度の管理はしているんですか? Ty:もちろん、塗料は温度や湿度によって硬化速度が違うし、あまり寒いときれいにスプレーできないこともあるのでその辺はいつもメーターを見て確認して適度な状態に保ってるんだ。ここにあるボディはトミーから分けてもらったB級品でいろいろ実験したボディなんだ。 PCI:あなたのオリジナルのアイデアのペイント法とかあれば教えてください。 Ty: イリュージョンバインディングというのがそうかな? バインディングボディやネックってあるだろう? あれを実際にはバインディングしていないものをペイントでバインディングが施してあるように見せるものなんだけど、ラインもきれいに出るのでイリュージョンバインディングだと教えないかぎりちょっと分からないと思うよ。 PCI:そのイリュージョンバインディングは、塗装の厚みはどれぐらいあるんですか? どうしてもボディの角になるので、ぶつけたりしやすい所なのであまり薄いと塗装だということがすぐに分かってしまうような気がしますが? Ty:塗装の厚みは結構とってあるんでちょっとぶつけたぐらいでは心配ないよ。 ほらこんな感じになるんだ。 今完成品がないのが残念だけど見た感じは?
Ty:そうだね、それはまだ秘密。 PCI:新しい工房はこの近くなんですか? Ty:いや、タコマのダウンタウンの方だよ。 1920年に建てられた取り壊し間近の古い家を丸ごと借りて今作業ができるように改装中なんだ。 これから案内するよ。 (ということで新しい工房となる場所へ移動すると、その一角は古くから開発が進んでいたところらしく、真新しいビルか古い住宅という、今再生中の町の中にありました。 折しもTyの借りた家の真正面の家がちょうど取り壊しの最中でした。 Tyの工房はかなり広いスペースになり、塗装ブースが2つに乾燥室、バフ&サンディングブースとかなり充実した作業ができそうでますます今後の活躍が期待できそうです。)
PCI:それでは最後に日本の読者の方達へ何かメッセージを。 Ty:今日はどうもありがとう。 僕は色々な新しいことにチャレンジしたいと思っているんだ。 だから何か他でできない様なことでも聞いてください。 できる限りあなたの夢の実現のお手伝いをします。 また僕のウレタンの極薄塗装も試してみてください。 日本からのオーダーもお待ちしてます。 詳しいことはHPを見てね。 こちらです。 PCI:本日は有り難うございました。
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