USA Custom Guitars インタビュー
PCI:いつこの会社を始めたのか、またそれ以前の仕事といつ生まれたかを教えて下さい。 Tommy: USA CUSTOM GUITARS を始めたのは2000年の9月から。 それまでは6年間ワーマスで営業をやっていました。 その前は売れないミュージシャン。 生まれは1967年。 ワシントン州の東の端のスポーケンという何にもないところ。 ミュージシャンを目指していた頃は GITに通ったりもして、一時は君たちの町レシーダにも住んでたことがあるよ。 PCI:ワーマスを辞めて同じBody & Neckの製造を始めた理由は? Tommy:顧客への対応の仕方とか営業方針に納得が行かなくなって。 もっと色々細かいオーダーに対応したり、もっと色々なことをやりたかったんだよ。 でCNCを担当しているアンディと色々話し合って、もっと顧客のオーダーにフレキシブルに対応できる会社を始めようということでワーマスを辞めた。 他のメンバーもその時から一緒さ。 全員で8人いるけど皆元ワーマスだよ。 ブレット以外は、皆30代、20代の若い会社なんだ。 簡単に紹介するよ。 カークは僕の弟で経理担当、アンディはCNCマシーンのプログラムとデザイン、ブレンドンはサンディング(木地磨き)、デレックは木工関係、ブレットは機械ではできないような手加工とネックの仕上げが専門、彼はフェンダーのカスタムショップにいたこともあるんだ。 僕は営業。他に2人いるけど今日は休み。 PCI:顧客はどのような人たちが多いんですか? Tommy:仕事としてではなく、個人でギターを作ってみようという人がほとんどだね。 そういった人たちのリピーターも多い。 あとは君たちのように小さなメーカーや個人ビルダーが半分ぐらいかな。 ポートランドからシアトルにかけては、エレクトリック、アコースティックを合わせるとたくさんのビルダーがいるんだ。 ビジネスとしてやっている人もいるし、趣味の人もいるけどね。 最近はアメリカ全土はもちろん、ヨーロッパからもオーダーがくるようになったんだ。 (話している間にも何人かのビルダーがあれやこれやとやって来ては細かいオーダーをしていく。) PCI:木材によって仕入れ先も違うと思いますが、例えばネック用のメイプル材はどちらから買い付けているのですか? Tommy:ネック用のメイプルはメイン州(アメリカの東海岸の一番北にありカナダと接する所)のランバーヤードから仕入れている。 そこのオーナーとは何度も話し合って、僕達がどういった物を欲しいか良く分かってくれているんで、いつも満足のいくメイプルを送ってきてくれる。 バーズアイメイプルやフレイムメイプルも同じ所から仕入れている。 キルトメイプルはこの近くで伐採の仕事をしている友達から良い物だけを選んでもらっている。 アッシュはこの近くのランバーヤードから買っているけど、スワンプアッシュの入荷がある度に僕が行って直接選ばせてもらっている。 軽くて1ピースのボディがとれるような根元の幅ひろの所が多いので助かってる。 ホンジュラスマホガニーは南米材の専門の所から仕入れているけど、できるだけ大きな古い木から採った軽い物を選んでる。 PCI:こちらのホンジュラスマホガニーは目がつまっている割に軽めのものが多いですね。 Tommy:全てとは言えないけど、できるだけギターを作るのにベストな物を仕入れるように努力してるんだ。 信用につながるからね。 PCI:仕入れた材はこちらで強制乾燥にかけるのですか? Tommy: 強制乾燥という程ではないけどこのコンテナの中で1週間ぐらい掛けて熱を与えて水分を飛ばすようにはしている。 材によって時間はまちまちだけど。 ここは雨の多い土地なんでね。 シアトル出身のミュージシャンの音楽って暗いだろう? 雨が多いからだよ。(笑) PCI:LAでは買ってきた材をすぐ加工する所もありましたけど。(笑) 月々の生産数はどれぐらいですか? Tommy:このところ160本ぐらいかな? ネックとボディで半々、ギターボディが5台オーダー入ればベースは1台ぐらいの割り合い。 PCI:どういったボディスタイルと材が人気があるのですか? Tommy:ギターは圧倒的にTEだね。 STの方が多そうに思うけど、うちはTE10台オーダーが入ればSTは1台ぐらいな極端な割り合いだよ。 材はアッシュ、アルダー、マホガニーの順かな。 PCI: ベースネックでビンテージタイプの物には保証が付かないのに、こちらのオリジナルタイプの物には付きますね。 この違いは何ですか? Tommy: ビンテージタイプが好きな人は、まず見てくれがよりビンテージに近い物を好み、ビンテージと同じ作りでないと同じような音が出ないと思っている人が多いんだ。そういう人たちにはビンテージと同じ作りの物を作っている。 ただ僕達としてはビンテージと同じ作りのままだと色々問題があると考えているんだ。 例えば、デッドポイントが多いことやトラスロッドでのネック調整が利かない物も出てくる。そこで僕達はトラスロッドの両脇にカーボンロッドを入れて補強することによってネックの反りを防ぎ、デッドポイントの解消にも一役買ってもらっているんだ。だから僕達が言う保証というのは、ネックが反ってしまって使い物にならなくなるという意味では無く、お客がベースを組んだ時にデッドポイントや反りの問題が出て満足してもらえなかった時のことを言ってるんだよ。 残念ながらビンテージと同じ作り方をしたものはこの問題が付いて回るけど、カーボンロッドを入れたオリジナルタイプの物ならこういった問題が起きないので保証できるんだ。 でも外観上は全く一緒だけどね。 今のところオリジナルタイプの物は1度もクレームを受けたことはないよ。ビンテージタイプでは何度かデッドポイントのことでクレームを受けたけどね。 PCI:他にはどのようなところに工夫されていますか? Tommy: 例えばフレットの溝。 大抵のところでは指板のアールに合わせずにフラットに溝を切るのでフレットの中央付近の下に空間が出来てしまい、音の伝達をロスしてしまう。 僕達は指板のアールに合わせてフレット溝もアールを付けて切るので、フレットの下に空間ができるようなことはないんだ。 同じようにナットの溝もお客の好みに合わせてフラットにもアールをつけてでも切れるんだ。 個人的にはナット溝はフラットなのが好きだけど。 それとオーダーされればネックのエッジのエージングもやってるよ。 とにかくできることなら何でも細かいオーダーに答えられるように努力してるんだ。 PCI:日本のみなさんにアピールすることがあればどうぞ。 Tommy:うちではオリジナルのヘッド形状やボディでもセットアップフィーを安く押さえてあるので遠慮せずになんでも聞いて下さい。 うちのサイトはこちらです。 PCI:今回は忙しい中、時間を割いていただきありがとうございました。 今後はXotic Guitars以外にJoe Barden Guitarsのほうでもお世話になりそうです。
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