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2003年7月12日
第9回:あれこれ体験記
実は先日、初めてPCIサイトでも人気の漫画家/エディターのやまだゆみこさんとお会いしました。彼女の著書“お笑いL.A.劇場”を読んで、わたしにもこんなことあったなぁ、とかあんなことあったなぁ。ってすっかり感化されてしまい、ええぃ、それなら私も体験記を書いてみようと思い立ちました。しかし美術的才能が全くない私。マンガは抜きでお願いします。
1)セクハラ体験?!
男が多い音楽業界、まぁセクハラは日常茶飯事といってしまえばそうなのだが、これは私の体験した中でもっとも笑える話。とあるR&Bグループとツアーで東海岸へ行った時の出来事。最初はフィラデルフィアとピッツバーグの2ヶ所でコンサートがあるはずだったが、プロモーターが半分ペテン師のような奴で、ピッツバーグ空港に着いた後に、2日目のショーはキャンセルされたことを知らされた。しかし文句を言っても仕方ない、とりあえず15人乗りのバンに乗り込み(バンドメンバー全部で10人プラス10人分のスーツケース)身動きできないまま5時間、やっとフィラデルフィアに到着、会場に着き、サウンドチェックを済ませて本番を待つばかり。と客席を見渡すがほとんどお客さんがいない。実はペテン師のプロモーターが全く宣伝をしなかったようだ。いやーな予感があたりショーのあとギャラも約束した額を払わなかったことがあとでわかった。翌日のショーがキャンセルになったが帰りの飛行機はあさってで、明日に変更すると1000ドルの追加料金がかかる。ここはもう一晩泊まるしかない。
その日はギャラをもらえないまま、次の日またギューギューづめのバンでピッツバーグに戻り、バンドリーダーが手配した某モーテルへ。バンドリーダーから「このホテル代は自費で出さなきゃいけないから、ルームアップでお願い!」というとバックコーラスの2人の女の子はすかさず、「あたしたち二人1部屋でオーケーよ。」その時、私の顔を見てにっこり笑ったのがリーダーの弟ジョンだった。「のりこは僕といっしょの部屋でオーケーだね!!」そのときに「まっ、いいか」とオーケーしてしまった私がバカだった。
みんなで晩御飯のあと部屋に戻り、私は早速コンピューターで採譜の仕事を初めた。ほっといてくれればいいのに、ベッドに座ってなんだかんだと話し掛けてくる。極め付けは「俺さぁ、52歳だけど20代の男ぐらいスタミナがあるんだよー。」とかいいだしておまけに「アソコの堅さも20代の子に負けないさ!」というので、私はなんといっていいかわからず、「That's Nice.」とか適当にあいづちをうっていた。それから30分後、何の音かと思ったら彼の豪快ないびきが部屋中にこだまし初めた。「まぁ、話しかけられるよりましだわ。」と私は引き続き採譜の仕事を続け、午前1時ごろ、就寝。(この状況で眠れるのが信じられないという私の母の弁)そして夜中の3時、「のりこ、のりこ」と肩をつつかれて目がさめる、とジョンの顔が目の前にある。「なに?」と聴いたら「I'm Cold. (僕寒いの。)」という。心の中で、「私にどうしろっていうのよー」と思ったが、「じゃあヒーターつければ」となんの動揺も見せず言った。彼はさみしそうに「今のりことメイクラブした夢を見たんだ、、、」といいながら壁際にあるヒーターをつけて無事自分のベッドに戻ってくれた。
「なんだこいつぅー」
怒ったまま私はまたグーグー寝てしまい、気が付いたら朝ジョンの姿がない。
彼はなんとあれから眠れず、ありあまったエネルギーを発散させるため、早起きして散歩をしたそうだ。「本当に信じられない奴!」
後日ジョンの奥さん(兼マネージャー)から、「この前のツアーではいろいろ迷惑かけてごめんね。」と電話がかかってきて、とにかく言葉に詰まってしまった私。次のショー?いくらなんでも断りました!
2)虫大嫌い!
ツアーでいろいろな州や国にいっていろんな虫を見る。一番ひどいのがじめじめした夏の東海岸だ。先日オハイオ州のクリーブランドへ行ったときのこと。
会場がまた運の悪いことに動物園の野外ステージ。いやな予感的中、ショーがはじまるやいなや最低でも20種類の虫がブンブンと私のまわりを飛び交いだした。頼みの綱である虫よけスプレーも見当たらず、ショーの進行中なので演奏をやめるわけにはいかず、そのまま我慢してたら、やられたー、足を蚊にかまれて猛烈にかゆくなってきた。これは最低でも5ヶ所はかまれたなあ。とか思いながらどうしようもなく演奏を続けていたが、我慢も限界に達した。幸いその曲は16小節の休みがある。なにかしなければ、と横をみると黒いガムテープがあった。
結局、16小節のあいだにテープを足にグルグル巻にした。こうなったら恥ずかしいも何もない。かゆみもおさまりホっとしていると、今度はてんとう虫がどこからともなく飛んできて、私の楽譜にとまった。またよりによって、つぎに弾くコードの上だ。Aメジャー7のメジャーの所にとまったので私はメジャーかマイナーかわからなくて、とっさにマイナーのコードを弾いて大ひんしゅく。ショーのあとで、私のせいじゃないもんね。とてんとう虫に責任をなすりつけた。
3)車のなかで!?
昔からトイレの近い私は車での移動が大変。私だけのために、トイレ休憩をとってもらうのが悪いので、一生懸命我慢すること多い。数年前、仕事でシアトルの山奥へ行ったときのこと。ギグを終えて、山奥のホテルを出て空港に向かっていた。出発がおくれたため、まっすぐ空港にいってもギリギリのタイムスケジュール。4時間の道中でとりあえず1回トイレ休憩があって、それから30分後なぜか私はまた行きたくなってしまった。考えないようにすればするほど、行きたくなる。外は雪模様で、山奥なのでガソリンスタンドも見あたらない。さらに30分経過。これ以上我慢できない私は、「あっ、そういえばギターのおじさんがさっきココアを飲んでたよな。」と思い出しおじさんの飲んだカップを探してキョロキョロ。「あった、あった。」ウィンターコートで下半身をかくして、なんと、車の後部座席で用を足してしまった私だった。その後、ことのなりゆきをさっきからニヤニヤ見ているギターのおじさんに「はい、これ捨てて!」とカップを渡した。おじさんは、「なんだこれ、なまぬるいぞ。」といいながら窓を開けてカップごと捨ててくれた。
それだけでなくチャカ・カーンとツアーに行ったときもポルトガルの高速道路で大渋滞に巻き込まれ、バスの後部座席で、、、という経験もある。そのときは音が聞こえないようにバンドのみんながわざと大合唱してくれた。それに懲りて、長いドライブのある時は、水分を極力とらないようにし、あと日本人町のマーケットで“緊急トイレ”というのを買ってきて肌身はなさず持っていくことにしている。
ということで体験談どうだったですか? 楽しんでもらえたかな。
また来月に第2弾を書きます。よろしく!
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投稿者 admin : 12:09