ギター作りの名匠、Don Groshに聞くFeb 2001 Don: 今リードタイムが3、4ヶ月なのですが、これ以上カスタマーを待たせたくないので2ヶ月後にここより大きな所へ移る事になったんです。他の所みたいに大きな所ではないですよ。 <確かに去年来たときから、よくここでやっているなあと思うぐらいだったのだが、更に手狭になっていた。> -DONのギターは細かい所が丁寧で行き届いているのですが、それは心配ないですか? Don: 私はプレイヤーですから、ポリシーは良い音が出て、弾きやすいという事を念頭に置いて作ってゆきたいのです。カスタマイズギターとしてのベストな物を作りたいのです。ですから、今まで他の大手会社から一緒にやろうという話がいくつかありましたが、断ってきました。 <いわゆる、量産するのではなく、単に場所が狭くなった為、移るのだそうです。>
DON GROSH ネックを科学する Don: まず従来の物だと、ここ<指板面からヘッドのTOPへのスロープ>のカーブがもっと下まで下がっています。そうするとヘッドが薄くなるわけです。でも私達のヘッドはもっと厚いでしょ。 質量がTONEに影響するんです。出来るだけ多くの木材をネックに使い、ヘッドも厚い。質量が大事なんです。 『では、ネック裏のヘッドとの境目も殆ど残しているというのも、そういう理由からですね? 』 Don: そうです。ここも故意に削り落とさないようにします。それから多分 私達の薄いネックサイズでも他のメーカーのネックより厚いと思います。 ただ、実はヒミツは色々な所に気を使い、それを感じさせない工夫をしているんですよ。 ネックエンドや、サイドとかにね。 音の為に木を一杯使っていますが、同時に弾きやすいフィーリングにする為に気を使っているのです。 『この雑誌のインタビューの時にDON GROSHのBASS弾いたTUBEの角野さんは、昔からずっと持っていた楽器のようなネックのフィールがあるよねと言っていましたよ。』 Don: そこなんですよ。狙いは。CNCマシーンでネックを削る時、なるべく多く木の部分を残したいので、完璧に機械で仕上げてしまうのでは無くわざと荒加工で止めて、後は手作業で時間を掛け丁寧に加工してゆくのです。 <かなり荒く削ってあり、木の部分が多く残っている状態だ。まだネック裏が丸くない。 これをネックの状態までするには、かなり時間がかかるのでは?> 『CNCマシーンって殆ど最後の状態まで加工出来ましたよね。確か?』 Don: やろうと思えばインプットしておけば全然出来ますよ。でもヒューマンフィーリングを残したいんですよ。 逆にネックポケットや指板のアールなどはキッチリしておかなくてはいけないので、マシーンで正確に加工しておきますが、それ以外の所は手作業で落としてゆきます。 そして1000分の1インチの間でばらつきが出るように測りながら1本1本手作業で削り落とします。 木の部分が多ければ多い程サウンドはベターです。そして ばらつきをわざと出して、その手作業の感触を残しています。 『それではネックが薄いと、どういうサウンドになりますか?』 Don: アタックが無く、パンチが無く、サステイーンも乏しいものになります。 なるべく弾きやすくするというのは大事な事です。でも同時に音が良くなければ何もならないので、一番気を使わなくてはならないネックですね。 ネックは重くて質量がある程良いサウンドなのですから。 『それでは今度は木自体のサウンドについてはどう考えますか?』 Don: 1つ1つ個体によって違うので、それに気をつけます。<指板材、BODY材をタッピングしながら> 全ての木はそれが持っているサウンドがあります。聞いてみてください。ほら! 『あっ、こっちの方がブライトなサウンドがしましたよ』 Don: それで、こっちのブライトな指板にこっちのダークなネックを合わせるとどうなるかな? とか考えて、お客さんは確かブライトが好みだったか? ファットが好みだったか? ソフトが好きか? なんて具合ですね。 始めてのお客さんは、それなりの普通の組み合わせをするのが多いのですが、何回も来ているお客さんには、こういう組み合わせならもっとブライトに出来ますよ、とか好みに合わせるのです。 それとこのネック材ですが、最初バンドソーでカットした時は凄く綺麗で真直ぐだったのですが、どう言う訳か少し変なソリが出てきました。 ほんの少しですし、もうかなり加工してあり、トラスロッドで何とかなるし、もったいないような気がします。でも何か気持ち悪い動きなのです。ナチュラルなソリではないんです。 普通だったら使うのでしょうけれど、私達はハネました。 将来もしかしたら、、、??という事は私達の高いギターではあってはならないと考えます。
|
|
|
|
||