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David Garfieldインタビュー (1/2)

Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2003 Hiroshi Mochizuki)

とにかく彼の周りにはたくさんの素晴らしいミュージシャンがいつも集まります。音楽だけでなく人格、気配りというか多くのミュージシャンを引きつける魅力を持った人なんです。ルークとランドーの比較、少林寺拳法との係わり合いなどおもしろい話を聞かせて頂きました。

David Garfieldのサイトはこちら。http://www.creatchy.com/

「KARIZMAの結成と数多くのミュージシャンとのコラボレーション」

PCI:出身はどちらなんですか?

David:1956年9月27日、シカゴで生まれ、ネブラスカ州に6歳の時に移りました。そしてニュージャージー州を経て、ハイスクールのときにセントルイスに移ったんです。

PCI:どのような音楽を聴きながら育ちましたか?

David:ビートルズ、モンキーズ、1967年頃からはプログレッシブ・ロック、クリーム等を聴きました。ロック、特にプログレッシブ・ロックにはとても興味を持ちました。その後、ハイスクール時代にジャズに傾倒するようになったんです。マイルス・デイビスや、ジョン・コルトレーンなどをよく聴きましたね。

PCI:いつピアノを弾き始めたのですか?

David:小学2、3年生くらいからです。このピアノは僕の祖母がくれたもので、よく弾いていたんですよ。ハイスクールに入ってからはドラムに転向したんです。 

Photo by Hiroshi Mochizuki (Copyright 2003 Hiroshi Mochizuki)

PCI:まずドラマーとしてハイスクールでバンド活動をスタートしたんですね?

David:そうです。ハイスクールのオーケストラやジャズ・バンドでドラムを担当しました。そしてすぐにセントルイスのプロミュージシャンの目に止まったんです。その頃ドラマーはたくさんいたんですが、キーボードを弾く人が少なかったんですよ。結局ドラマーとしてだけではなく、キーボードプレイヤーとしてもプロミュージシャンと一緒にセッションするようになりました。これはハイスクール卒業前のことで17歳頃だったと思います。 これが僕にとってのプロ活動のスタートになります。普通ならレコードを聴いたり、勉強するという年頃なのでしょうが、ニューヨークと同様、セントルイスはコンサートなど外に出かける機会が多いと言う土地柄のためか、よくコンサートには足を運びました。ミュージシャンとの接点も結構豊富にありましたよ。ハイスクール卒業後はニューヨークで活動するか、それともロサンゼルスで活動するか随分迷いました。結局自分の好きな音楽を考え、ロサンゼルスに拠点を移す事に決めました。ニューヨークはストレートアヘッドなジャズが主流でロサンゼルスではクルセイダーズなどが活躍していましたので。 

PCI:その頃はフュージョンが開花しだした頃ですよね?

David:そうでしたね。ハービー・ハンコック、ハービー・メイソン、それからクインシー・ジョーンズなど、とても魅力的でした。

PCI:ハイスクール卒業と同時にLAに移ったのですか?

David:そうです。誕生日の4、5日後でしたね。1974年のことです。

PCI:LAに来てからはどのような音楽をプレイしたのですか?

David:フュージョンバンドに入りたかったのですが、ほとんどのバンド、例えばチック・コリア、ハービー・ハンコック、ウェザー・リポート、クルセイダーズといったバンドは設立当初のメンバーでプレイしていたので僕の入る余地はありませんでした。それで1975年に自分のバンド、"KARIZMA" を結成したんです。

PCI:カリズマのオリジナルメンバーを教えてもらえますか?

David:オリジナルメンバーは、Richard Tokatz(リチャード・トキャツ、Percussion)、Domenic Genova(ドメニク・ジェノーバ、Bass)、Ralf Rickert(ラルフ・リカート、Trumpet)、Carlos Vega(カルロス・ヴェガ、Drums)、そして僕です。

PCI:カリズマは1975年に活動を開始したとのことですが、その当時はどこでプレイしていましたか?

David : ベニスビーチのカムバックインというクラブです。今はもうありませんが。LAに来た時、ベイクドポテトやダンテなど有名なクラブはたくさんありましたが、僕はまだ18歳の子供でどこにもコネもなく、これらのクラブに出入りする事はできませんでした。そこで、あまり有名ではないけれども小さなクラブ、カムバックインというのを見つけ、毎週金、土と演奏したんです。その頃の僕たちにはとてつもないパワーがあったので、1年半もの間休まず毎週金、土とライブを続けました。 

PCI:そこでのカリズマの評価はどうでしたか?

David:僕たちはそこですぐに高い評価を受けました。それは凄かったですよ。それで常連も増え、僕たちのライブの良さが評判になっていきました。 

PCI:カリズマは日本でもとても人気が高いです。特にプロのギタリストやミュージシャンの間では。 

David:本当に?

PCI:うちの読者の多くの方から、「カリズマでジャパンツアーをしてくれませんか?」とあなたに聞く様に言われてるんですが? 

David:近いうちに是非日本には行きたいと思っています。 

PCI:現在のカリズマのメンバーを教えていただけますか?

David:今はちょっと休止中なんです。これからどんなメンバーにするかはまだ流動的です。近いうちにまたカリズマでの活動も再開したいと思ってます。 

PCI:その際には新メンバーになるんでしょうか? 日本の読者も興味津々だと思いますが? 

David:今仲間のミュージシャン達のスケジュールがどうなるのか様子を見ている所です。マイケル・ランドーはジェイムス・テイラーのプロジェクトのツアーから戻りましたし、ヴィニー・カリウタは別の仕事で大変忙しい様ですが、戻ってくれるかもしれません。皆の状況を見ながらメンバーを決めたいと思います。 

PCI:12月にカルロス・ヴェガのトリビュート・ライブが行われましたが、これは毎年恒例なんですか? (ライブレポートはこちら

David:そうです。毎年彼の誕生日、12月7日にできるだけ近い日を選んで演っています。今年は僕がジョージ・ベンソンのツアーがあったので遅れてしまいました。 

PCI:いつもあなたとブルー・ジョンソンで手配するんですね? 

David:そうです。最初の年1998年はCafe Cordialeで演りました。 1999年、2000年はハリウッドのBaked Potato。そして2001、2002年はLa Ve Leeです。 できるだけ毎年色んな場所で違ったライブを演っていきたいと思ってます。 

PCI:実にたくさんのミュージシャンと数多くのセッションを行われていますが、面白いエピソードなどがありましたらお伺いしたいのですが。

David:カリズマのセカンドアルバム、"Cuba" ではスタジオにカルロス・ヴェガ、マイケル・ランドー、スティーブ・ルカサー、ブランドン・フィールズ、ジミー・ジョンソン、ネーザン・イースト達に集まってもらい一発録音しました。その中の一曲でマイケル・ランドーとスティーブ・ルカサーが一緒に弾いているんです。他にはこんなテイク無いんじゃないですかねえ。それからカリズマの4枚目のアルバムでは、カルロス・ヴェガとヴィニー・カリウタが一緒に叩いている曲があるんですよ。"Dream Come True" というアルバムではジェフ・ポーカロと初めて一緒にプレイできました。これはたいへんエキサイティングな経験で彼からは素晴らしいバイブレーションをもらい、スタジオのメンバーが皆ハッピーになりました。こういう素晴らしいミュージシャン達から素晴らしいバイブレーションが伝わってくるというのが、セッションの醍醐味なんです。スタジオではリラックスしてジョークを言い合い、楽しんでミュージシャン達と時間を過ごします。そうやっていつもパッピーにプロジェクトを完成させていくんですよ。 

PCI:それだけたくさんの人たちを一同に集める力を持っておられるのは驚きです。

David:基本的にミュージシャンが集まってコラボレート(共同制作)することはとても素晴らしいことなんです。私にとってコラボレーションは大変重要です。多くの人がコラボレーションを嫌い、自分だけで自分の創作活動をすることを好むようですが、私にはコラボレーションにこそ興味があります。2002年3月、ドイツでジェフ・ポーカロ・トリビュートコンサートを演ったんですが、マイク・ポーカロと大変楽しくコラボレートできました。 

PCI:ヨーロッパと日本へはよくツアーに行かれますが、観客の反応は違いますか?

David:そうですね。ヨーロッパでは体で喜びを表現するんでステージの前で皆よく踊ったりしますが、日本では礼儀正しく我々の音楽をリスペクトして聴いてもらえますね。

PCI:ヨーロッパではドイツ以外にはどこへよく行かれるんですか?

David:北欧へ自分のバンドのツアーでよく行きます。デンマークやスウェーデンなど。北欧にも素晴らしい音楽ファンがたくさんいるんです。

PCI:特にジャズ、フュージョンのコアなファンが北欧には多いと聞きます。

David:その通り。デンマークも素晴らしいファンが多いですね。カリズマではなく、自分のバンドで最近はよく行くんです。カリズマとして行きたいのはやまやまですが、それぞれのミュージシャンが多忙でツアーをアレンジするのが大変難しいんです。

PCI:全員一緒にツアーに出るというのは皆さん忙しいだけに至難の業でしょうね。

David:ほんとに。あるメンバーは9ヶ月ツアーでいないとか。そこで自分の名前のバンドでツアーに出ることにしたんです。1991年から始めました。ご存知がどうか知りませんが、その最初のGIGは東京だったんですよ。BluesAlleyというクラブでした。BluesAlleyはワシントンDCの有名なクラブですが、ニューヨークのBlueNoteと同様に日本にもBluesAlleyJapanができたんです。マイルス・デイビスがオープンしたんです。目黒にあります。

PCI:そうでしたか。その時のメンバーは?

David:Larry Klimas (sax), Jimmy Earl (bass), Michael O'Neil (Guitar), Tom Brechtlein(drums) でした。 

PCI:ジミー・アールにもインタビューさせて頂きました。気持ちのいいベーシストですよね。 

David:もちろん。彼がチック・コリアのエレクトリックバンドで演ってる時に会ったんですよ。それ以来の友人です。 

PCI:1991年に初めて日本ツアーへ行ったんですか? 

David:カリズマでその前に二度日本へ行ってますが、デビッド・ガーフィールド&フレンズで行ったのは91年が初めてです。この頃から自分のソロレコードやカバー曲を演るようになりました。アルバム " I am the cat, ....man" ではビートルズソングやエリック・クラプトンの歌など、カバー曲のアレンジも演っていますが、そういうことをやる転機を迎えたのも91年でした。カリズマではオリジナルソングばかりを演っていましたからね。 

PCI:2003年はカリズマとデビッド・ガーフィールド&フレンズの2本立ての活動になるんでしょうか?

David:そうですね。 新しいソロアルバム、"giving back" も出たので、しばらくはこちらの宣伝をしたいですが。

PCI:ティム・ピアースポール・ジャクソンJr.リー・リトナーなど豪華メンバー参加のアルバムですね。楽しみです。 

David:ティムもポールもおそらくアメリカで最も忙しいセッションギタリストの二人でしょう。二人とも素晴らしいアーティストです。 

PCI:そうですね。そう言えばティムが言ってましたが、あなたとの仕事はものすごく気持ち良く出来ると言ってましたよ。段取りもミュージシャンに対する気配りも万全で、一緒に仕事をするのが楽しいと言ってました。音楽的な部分だけでなく、あなたのこうしたミュージシャンに対する気配りや思いやりがいつもこれだけの豪華メンバーが集まる理由なんでしょうかね。 

David:それは本当に嬉しいコメントです。サポートしてくれるミュージシャンにはいつも楽しく仕事をしてもらいたいですからね。セッションやレコーディングだけでなく、ヨーロッパや日本へのツアーともなると長い時間一緒にいる訳ですから。