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ブルースサミット実行委員会
神戸事務局 事務局長
田中 名鼓美さんのコメント

ウエストロードブルースバンドは、70年代前半に京都で生まれたバンドである。
当時の京都は学生運動も激しく、伝統を固持しようとする京都独特の体制と、地方からやって来ている多くの学生達の思想とが重なり合っていつも何かが渦巻いていた。

音楽シーンにおいても然り。ウエストロードがブルースを京都に輸入しブルース人間達の生産に取りかかると一気に血液型「ブルース」の人口が増えていったのである。そんな当時にブルース体験をし、今や全国に散らばった元学生達。今なおブルース熱におかされたままの生活を送っている人々もすくなくない。

「ブルース伊賀の乱」は、まさにそういう人々が中心となって行なわれているイベントである。今回で7回目、足かけ9年になる「ブルース伊賀の乱」。毎年コンセプトを決めミュージシャンを決定し大きなコンサートとしてその姿を現すのだが、その裏方に徹するのが上野市文化都市協会と一般市民ボランティアからなる実行委員会である。企画、宣伝、チケット販売から当日のコンサート運営まで大変な仕事である。

さて、今年のテーマはセッション。出演ミュージシャンは前出のウエストロードブルースバンド、近藤房之助氏、そしてニューオリンズからパパグロウズファンク。

ご存じの方も多いが、ウエストロードのギタリストのひとりである山岸潤史氏は現在ニューオリンズで活躍するミュージシャンでパパグロウズファンクは彼のバンドである。つまり、バンドごとニューオリンズから呼んでしまうという大事になったのだ。

飛行機の手配、ホテルの手配、関空までの迎えの手配、当日の器材のレンタルなど様々な仕事が浮上するのだが、それをこなさないとコンサートには近づけない。何度も交渉、企画会議を繰り返しながら実現に向けて走っていく。今回は、ウエストロードのギタリストであり、日本でその卓越したギタープレイで多くのファンを魅了し続ける塩次伸二氏にコーディネイトをお願いし、「セッション」という壮大なテーマのコンサートが実現していったのである。

実際チケット販売に入る前に、「伊賀の乱」のサイトをたちあげネット販売に踏み切ると、驚いたことに三重県外からの申し込み問い合わせの多いこと!
8割近くが県外からのお客様となったようだ。70年代にウエストロードによってブルースを伝授された人達、あるいは、そのうわさを知りつつも生まれた年代のせいでブルースブームを実体験できなかった若者達がこぞってやってきたのである。

サイトに寄せられた多くのミュージシャンからのコメントからもわかるように今回の「ブルース伊賀の乱」はその企画内容からかなりの注目を浴びつつ幕を開けた。

1時間にわたるパパグロウズファンクのご機嫌な本場ニューオリンズのファンキーな演奏。山岸氏のギターが唸る。ジョングロウズの骨太なオルガンサウンドはこのバンドの核となっている。

そして、そのあとウエストロードが登場すると一気に会場のボルテージが上がる。1曲目「TRAMP」からはじまったウエストのステージは熱いブルーズのリズムと音で観衆と自由にやり取りをする。途中近藤房之助氏が登場すると、また大歓声がおきる。彼も京都ブルーズシーンでブレイクダウンという超人気バンドのフロントとして活躍したミュージシャンだ。今も熱狂的なファンは多い。若いファンもものすごく多い。

ウエストロードの最後の曲「Mannish boy」になると日本ナンバーワン・ブルースハーピストの妹尾隆一郎氏が飛び入りし、会場のファン達は一斉にステージ前へとなだれ込む。

そしてアンコールでは、ウエストロード、パパグロウズファンクのメンバーが全員ステージに。そこに 妹尾隆一郎氏、京都在住ギタリストの西野やすし氏もくわわってまさに「乱」となっていったのであった。

「セッション」というコンセプトが実現した。「すごいものを見た!!」
観衆は興奮して口々にその様子を語りながら 会場を後にした。

田中 名鼓美

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