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2001年10月 2日
第四回:Knitting Factory
ここ最近、マンハッタンへの交通規制が一段と厳しくなりつつあり、橋、トンネルなど至る所で検問が行なわれています。ドラムセットを車にめい一杯積んでいるのを怪しまれるのもやだし、ましてやドラムセットを全部ケースから出して確認されるのもめんどくさいので、マンハッタン内でのギグの時、クラブがハウスドラムセットを持っている場合は スネア、シンバル、スタンド類だけを持参し、そこのドラムセットを使わせてもらう事の多い今日この頃です。
さて、今回は最近の活動状況でも書こうと思っていたところ、このコラムの〆切り直前にタイムリーにも僕とAdam Holzmanとのプロジェクトでもベースを弾いてくれているMatt GarrisonのライブがKnitting Factoryであったので、その事について触れてみようと思います。
Matt のギグはMain Space, Old Office, Tap Bar,Knit Active Stageと4つあるライブスペースの内Old Officeで 行なわれました。8月中は僕も毎週金曜日の晩にOld Officeの上にあるTap Barで演奏していました。 NYのKnitting Factoryはフリー、アバンギャルド系からジャズ、ファンク、ロックまで基本的には何でも有りのいつも非常に賑わっているクラブで、場所はトライベッカ地区にありWTCから北へ10ブロックの所で現在でも直接車では行けません。 車をソーホーに停めてから歩いて行き、まだ始まるまで時間がちょっとあったのでグラウンド ゼロに近よれるぎりぎりの所(Chambers Street)まで行き一部始終を自分の目で確かめて来ました。未だに煙が上がっていて、そこに居るだけで喉が痛くなるほどです。 それぞれの通りの角に警察官が配備され、瓦礫を積んだトラックや関係車両だけを通していました。 煙に霞んで見える半壊したビルやその回りの人気の無い建物を見ると、今まで映像や写真で見て想像していたものより広く、大きなエリアでした。 肉眼ではほんの一部しか見えません。 その辺りではまだ閉まっている店もありますが、営業しているレストランなどもあります。 しかし、まだ電話が不通な所も多くクレジットカードが使えないため"Cash Only" と書いてある店もあります。 中には自分達の営業は停止して、働いている人々のために食事を出している所もあり様々な様子を見て、ここは復興の為にみんなが自分の出来る事を精一杯頑張っているなあと痛感しました。
当日の彼のバンドは、キーボード、ベース、ドラム(JoJo Mayer)のトリオ編成で、だいたい彼のファーストアルバムからの選曲で、各自のソロとバンド全体のインタープレーを強調した約1時間45分のステージでした。 Mattって超絶技巧のテクニックを持っていながら 超強力なグルーブ感、ドライブ感も持ち合わせていて、テクスチャーをつけるのがまた本当に上手い。 一緒に演奏してても「えっ、この曲ってこんな風になっちゃうの」みたいにどんな方向にでも持って行けて、またそれが凄くかっこいい。 よく回りを聞いている証拠ですよね。 今回改めて傍から見てやっぱり凄いわ、と唸ってしまいました。この夏、Harbie Hancockのバンドに入ってから また一段と大きくなったような気がします。NYでテロがあった時、ミュージシャン仲間で一番早くにAre you OK?っとメールをくれたのも彼です。ほんと、ナイスガイです。
今回はこの辺で。
又来月お会いしましょう。
投稿者 admin : 2001年10月 2日 08:24