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Simon Phillips 2/4

PCI:それは是非見たかったです。(笑)  ジェフ・ベックとあなたのプレイは本当に素晴らしかったという人が多いのですが、彼はどんな人ですか?

Simon:ジェフ・ベックという人は他のどのミュージシャンとも違うタイプですね。 まず第一に、彼は自分では曲は書きません。 彼はソロ・アーティストなんですが、音楽を創るには他の人達に依存せざるを得ないんです。 それと彼のもう一つのユニークな所は、セッションの時の音作りの順番です。 通常はソロ・アーティストがコンセプトや自分の希望や意向を示し、さあこれでやっていこうと音楽を創っていくんですが、彼の場合は全く逆なんです。 「ジェフ、さあどうする。」って聞いても、最初は「I don't know.」って言って、他の人にまず弾かせそれを見てるんです。 それから自分が加わって音楽を創っていくんです。 

PCI:まず一緒にやるメンバーにプレイさせてそれを聴いて音作り、自分のエッセンスを加えていくんですね。 そういうユニークなアプローチが彼の個性ある音楽になっていくんでしょうか。 彼とは今でも接触はあるんですか?

Simon:ええ、時々会いますよ。 またいつか一緒にやりたいもんです。 先日も彼の誕生日に留守電残しておきました。

PCI:彼とのプレイが実現すると喜ぶファンは多いと思います。 ジェフ・ベックとの86年の日本ツアーは豪華メンバーでまたみなさんも楽しまれた様ですね。 

Simon:このころは本当に楽しかったです。 78年、80年の日本ツアーと違ってお客さんのノリもとても良かったんです。 このころ80年代の後半から世界中の多くのミュージシャンが日本へ行ったんじゃないでしょうか。 日本のオーディアンスの反応も大変良くなったと思います。 そして今では日本からたくさんの素晴らしいバンドが出るようになりました。 この15年間で大きく変わりましたね。 

PCI:ほんとに変わりました。 今回飯島真理さんのCD(Right Now)製作では全面的に協力された様ですが、ジェフ・バブコが橋渡し役をされたそうですね。 最近ジェフ・バブコとセッションをよくされてますが、彼とやるようになったいきさつを教えて下さい。 

Simon:ジェフ・バブコと出会うまでには面白いいきさつがありました。 以前、自分のアルバムの製作をしようと思いミュージシャンを誰にするか考えてたんです。 誰がプレーするかによって曲創りの構想も変わってきますので。 最終的に、ギターはレイ・ラッセル(Ray Russel)、ベースはアンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson)、ホーンはウェンデル・ブルックス(Wendell Brooks)で決まったんですが、キーボードを決めるのに苦労しました。 それでレコード会社がミッチェル・フォーマン(Mitchel Forman)を紹介してくれたんです。 彼は素晴らしいプレーヤーです。 LAのキーボードプレイヤーの人達には他と比較して奇妙な特徴があるんですよ。 LAのほとんどのキーボードプレーヤーはエレクトロニクスについてダメな人が多いんです。 プログラミングとかできないんです。 イギリスでは、プロのキーボードプレーヤーは、プログラミングができなければ食べて行けません。 ニューヨークでも同様です。 LAだけ違うんです。

Photo by Taro Yoshida (Copyright 2002 Taro Yoshida)

PCI:それは初めて聞きました。 そんなに状況が違うのですか?

Simon:そうです。 名前は言えませんが、LAで有名なキーボードプレーヤーとセッション、レコーディングした際、ピアノのプレイは素晴らしいのですが、プログラミングとか全くできないので驚いたこともあります。 ちょっと信じられませんでした。 だからいつもLAではキーボードプレーヤーを探すのに苦労してたんです。 プレーも最高で、プログラミングもできる人をいつも捜してたんです。 そういう意味でミッチェル・フォーマンは申し分の無いグレートなプレーヤーです。  それでこの5人でレコーディングする事を決めたんですが、土壇場でアンソニーができないことになり、ベースはジミー・ジョンソン(Jimmy Johnson)、ジョン・ぺーニャ(John Pena)、マイク・ポーカロ(Mike Porcaro)の3人のグレートベーシストに助っ人を頼んで録ったんです。
95年のSYMBIOSISというアルバムです。 その後、ヨーロッパツアーへ行くことになり、オリジナルバンドのレイ・ラッセル(Guitar)、アンソニー・ジャクソン(Bass)、ウェンデル・ブルックス(Horn)、ミッチェル・フォーマン(Keyboard)でやりたかったんですが、ウェンデル以外全員都合が悪くなったんです。 それでベースはジミー・アール(Jimmy Earl)に頼んだんです。彼はチック・コリアともやっており是非一緒にプレーしたいと前から思っていたんで。 ギターは以前一緒にやったことがあり安心できるので アンディー・ティモンズ(Andy Timmons)に頼んだんです。 ミッチェル・フォーマンはツアーの直前に奥さんにベイビーができツアー行けなくなるとの事で、またまたキーボードプレイヤーを見つけるのに苦労することになったんです。 それで、ミッチェルが、「いいやつがいるので紹介するよ。」と言ってくれたんです。 「彼の名前はジェフ・バブコ(Jeff Babko)ですぐ会ってみてくれ。」ということになったんです。 

PCI:そしてジェフが訪ねて来たんですね?

Simon:そう、彼が私の家に訪ねてきたんです。 そしてドアを開けたんです。 ところが、そこに立っていたのは子供じゃないですか。 彼は若いし童顔だから。(笑)