銀ちゃんの音楽放浪記 ー カラザース2/4

ージョン・カラザース、 バジー・フェイトンシステムについて語る

バジー・フェイトン・チューニングシステムの開発について以前聞いた時に『あれは僕が開発したんだよ。バジーは名前をどこにも入れてくれなかったみたいだけれど…でも別にいいんだ。僕はみんなが何か困った時に相談してくる、駆け込み寺みたいな存在だからね。』と言っていた。
ジョン: 最初彼が困ってどうしたら良いか相談してきて、それに僕がアイディアを加えながら共同で開発していったんだよ。コンサルタントした訳だね。
<そう言えば去年訪れた時は『これは特許出願中だから、誰にも言ってはいけないよ。』と言って、ジェニファー・バートンと開発しているパーツ<ヒントは彼女がよく使っているダンパーがあるものと一体型になっている>を見せてくれたっけ。小さなアイデアだったけれど、なるほど良いパーツだよなあ、と感心したものです。コンサルタントという仕事はミュージシャンの要望を実際の形にしていくという事なんだね>

ジョン: 使うゲージによってずれるチューニングのパーセンテージを、フィンガーボードをずらす事で補うという計算式のパテントを取ったんだ。ナットが少しずれているんだよ。
厳密にいうと、09、10、11のゲージでは変えるべきなんだが、まあそれでもかなりうまくいったと思うよ。
でもそれには2つの大事な事があって、1つは弦高、もう1つは弦自体の柔軟性を頭にいれておかないとね。

日本では革新的なアイデアと評されていて、単音でもこのシステムを取り入れる事によって、音が良くなるとか、楽器のクオリティーが上がるから安いメーカーは取り入れるベきだとか言われているんですよ。
ジョン: うーん、でもチューニングに関しては2ノート以上の音で、おのおのの音のディスタンスが、、、という事がコンセプトだからなあ。
でも1つの音を弾いても、絶対に他の部分もバイブレーションしている訳で、実はそれが音色を作る上でかなり重要な事だしね。
あながち間違いでとも言えないね。
そういったら、このシステムは非常に誤差が厳しいので安いメーカーはつけるといいかもね。それだけきちっとするしね。パーツの共鳴がよくなると思うんだが、許容差、誤差に厳しいのでKORGのチユーナーで正確にやらないと意味がないよ。
そもそもこのチューニングシステムのコンセプト自体はなにも新しいものでは無くては400年前からあるよ。テンパードチューニングとかね。
コンサートピッチはドイツ人が、名前は忘れたけれど、、、、。
高い音はより高く、低い音はより低くというあれですよね。
ジョン: その通り。とにかく新しいコンセプトではなくて、理論の応用なんだよ。でも60年代にサンフランシスコにあったメーカーでマイクロフレットカンパニーという会社がTRYしてるんだけれど、全然実用的ではなかったよ。

そういえば、リッケンバッカーがななめになったフレットのギターを出してましたよね。
ジョン: そうだね。最近だとノバックスとかね。皆やっているんだけれど実用的では無いんだよ。こっちに来てごらん。これはフランスのメーカーで<フレットモービル社>フレットやナット各弦、各フレットが動くようになっている
<全然実用的じゃないじゃん。まあガットギターだからチョーキングはないにせよ音色は?>
ジョン:これはYAMAHAと開発したフランク・ギャンバレのスペシャルフレット『ベントフレットだよ』
<横まっすぐのフレットでは無く、2弦とか3弦の所がグニャっと曲がっていて、しかも交互になってたり、まっすぐのフレットもあったり、、、>
ジョン:それぞれ3つの違うこのシステム開発に関わっていたんだよ。これをみてごらん。『VAI』と書いてあるのはスティーブ・ヴァイの事だよ。ちょっと古いネックさ。
<IBANEZ JEM777の白いマッチングヘッドNECKに先ほどの『ベントフレット』が。ネックヒールには『VAI Los Angeles Custom Shop Sanple FLO』の文字が。これはスティーブ・ヴァイの本人のものだ>
ジョン: こんなものもあるよ。


スティーブ・ヴァイ現在使用中のTree of lifeネック

<今度は同じネックに電池がついている。SWを入れると何とフィンガーボードのツリー・オブ・ライフが光るしくみだ>
ジョン: これもスティーブ・ヴァイのネックだ。スーパーセットネックのホローBODYもあるよ。


カラザースのスーパーセットネックを見せてくれるジョン。メチャメチャ軽い!

このマーチンは、バジーフェイトンチューニングシステムを施して、ついでにSBからナチュラルにリフィニッシュしているところだよ。バジー・フェイトンのだ。
えっバジー・フェイトン本人のやつ?
ジョン: そうだよ。バジーのだ。他にカラザースのナイロンのエレクトリックガットも使っているよ。リトナーと同じモデルだよ。
<さっきのフィル アップチャーチに作っているやつと同じやつ>
他に2本のエレクトリックのソリッドBODYを作ってあげたので、普段はそちらを使っているんだが、セッションとかにはガットも弾くみたいだよ。もうすぐダン・アールワインの本が出るので、そのギターと私達2人が写っている写真が出るはずだよ。
カルロス・リオスには?
<彼の今のメインはストラトサウンドが出るという335タイプのギターだ>
ジョン: 2本作ったよSEALにも作ってあげたよ。
<今、カルロスはシールのツアーに出ているとのこと>
ラリー・カールトンには?
ジョン: 何本もやったよ。じゃあこっちに来てごらん。ギタープレイヤーの表紙が出てるポスターを見ながら話そうか。
<67〜92年までの表紙が出てるポスターを前にして>
77〜87年までは本当に良く色々な仕事をしたよ。