緻密なサウンドメイクと簡潔な操作性を両立させた新製品

“AC〜”“RC〜”“BB〜”の3機種がリリースされ、瞬く間に「現代の名機」として定番化する中、そこで得たユーザーからのフィードバックを反映して開発されたのが、2007年に発表された“AC+”、続いて2008年に発表された“BB+”である。以下は前刊『The OVERDRIVE BOOK』では開発の伏せられていた、それらニュー・モデルに関するインタビューだ。製品写真を見ればわかるように、同ブランドの製品を2台組み合わせたような“AC+”“BB+”は、“AC〜”+“RC〜”、“BB〜”+“RC〜”というようにコア・ユーザーの間で裏技的に広まっていた使用方法を汲んだものに、さらに使い勝手の面で工夫を施したもの。常にユーザーの意見を真摯に受け止めようと心がけている同ブランドならではの新製品と言えるのではないだろうか。

――新製品である独立2chシリーズ2機種の開発の経緯を教えてください。どういったコンセプトの下に開発を進めていったのでしょうか?
xotic effects(以下XE):“AC〜”“RC〜”“BB〜”に対して多くのユーザーからのフィードバックを頂きました。近年のギタリストの方々が2個以上のオーヴァードライヴやブースターを同時に併用するのは珍しいことではないようです。そして、ユーザーの多くの方々が“AC〜”と“RC〜”、“BB〜”と“RC〜”という組み合わせで多様な用途に対応していることも分かりました。それらのデータを元に2年程前から我々の製品のコアなファンの方に向けて、よりパラメーターを増やした製品の開発を進めていたのです。

――それぞれ「AC」、「BB」の名前を受け継いでいますが、開発のベースになっているのは“AC〜”と“BB〜”と考えていいのでしょうか?
XE:そう考えて良いと思います。

----とはいえ、いずれのモデルのCH-A、CH-Bともに“AC〜”、“BB〜”とは微妙に違うサウンド特性にチューニングされていると感じました。各チャンネルそれぞれのサウンド特性を決定するのは大変だったのではないでしょうか?
XE:そうですね。ひとつ注意しなくてはいけないのは、同じ回路を組んで音を出してみたとしても、2チャンネルのフォーマットやレイアウトの違いでかなり音に影響が出るんです。ですから全く別のものとは言いませんが、その微妙なニュアンスの違いを逆手に良い方向に変えていくというのが、このシリーズの開発で大変だったところです。

----最終的に市販品のようなサウンド特性の組み合わせに落ち着いた理由は?
XE:私たちの基本的な開発理念は、繋がれる楽器の持っている良さを殺さずに伝達させること、そしてプレイヤーがインスパイアされるような楽器的な完成度を持たせることです。それを実現するために、耳が一番敏感に反応する朝に15分、夕方に15分という形で何ヶ月間も費やして最終形になりました。

----MIDコントローラーを追加した経緯は? 前回の取材では、「中域はできればいじりたくない……」とおっしゃってましたが。
XE:確かに、以前のモデルに関するコンセプトはそうでした。それは今も変わりません。4つのノブのスタイルはタイムレスなデザインで、多くの人が直ぐに好みのトーンを得るのにとても便利です。しかし、近年、我々の製品はそれなりに浸透してきました。そういう状況もあり、既に我々の製品に馴染みのある方たちには、利便性が多少犠牲になっても、さらに操作性を増してあげたほうがいいのでは?という試みで今回の仕様となったわけです。

----“AC+”について、CH-A、CH-B、それぞれのサウンド特性を教えてください。
XE:CH-Aは、幅広いゲイン設定で良いトーンを得られるようにデザインされています。一般的なペダルは“低いゲインで良いペダル”、反対に“高いゲインで使えるもの”といったように、あまり広範囲に良い音を作れるものが少ないと思うのですが、“AC+”に関しては良いバランスでそれが実現できました。CH-Bについては、元々の“AC〜”の“クセ”を出したかったんです。なので、こちらのチャンネルにはオリジナルに近いニュアンスがより多く含まれていると思います。

----“AC+”のCH-Bはかなり中域を強調した(モコモコした)サウンド特性ですよね?
XE:元々CH-Bは、CH-Aをブーストするように開発したのですが、フラットな特性でブーストさせたところ、かなり耳障りな音になってしまったんです。ゲイン・ステージをスタックするのは、それなりに用途は限られてますから、この場合はデッカいヴァイオリンのような、太いリード・サウンドをイメージしました。その結果かなり暖かめの周波数域が強調されたように思います。ですがゲイン設定により、フラットなレスポンスも可能ですから、かなりオールマイティに使えるように考慮しています。

----“BB+”についても、同じく各チャンネルのサウンド特性を教えてください。
XE:“BB+”の両チャンネルの基本的なコンセプトは“AC+”と同じですが、オリジナル“BB〜”の持つ良さを十二分に出せるような設計となっています。まずはCH-Aですが、ピークになる中域はオープンな伸びのあるものになっています。ミッドの倍音がリッチで、その特性は「BB」の名にふさわしいブリティッシュ・コンボ・アンプを彷彿させるものにしました。CH-Bはうってかわって凝縮したミッドが特徴です。フル・スタック・アンプが持つパンチのある歪みが得られるよう設計しました。

----確かに“BB+”のCH-Bはよりアンプ的な作動をすると感じました。中でも特にハイ・ゲイン・マーシャルを強く意識したのでは?
XE:特にハイ・ゲインというのは意識していません。ハイ・ゲイン・サウンドが作れる、というのは多くのエンド・ユーザーの望みだったことは確かなのですが、基本姿勢はギターのシグナルに対してリニアに反応するもの、というのが1番になります。そうすると、最近のマーシャルで採用されているような初段での増幅回路をカスケードするブーミーなニュアンスは避けたかったのが事実です。あくまで、アウトプット・トランスがプッシュされているような感じに仕上がるよう意識しました。

----“BB+”の各チャネルにはCompスイッチが付いてます。これを装備した意図は?
XE:シングルコイルとハムバッカーの使い分けが瞬時に出来る利便性がひとつと、音作りの幅を持たせるためですね。

----“BB+”のCH-Aに装備されたCompスイッチは、Softだと500hzから上をブースト、Hardだと1kHより上がブーストされると説明されています。この数値にした意味を説明してください。
XE:これは長い間、弾き込んで決めました。異なるピックアップとの組み合わせや、音のヴァリエーションという面で最もバランスがとれている数値を探し、たどり着いたのがこれだったのです。

----CH-Bに装備された方は、Softが350hzから上、Hardだと1kHと、数値を変えてありますよね?
XE:CH-Aに対して少し低くすることにより、両チャンネルを組み合わせた時、より複雑なハーモニクスを生み出すことができるのです。

----いずれのモデルも多彩で細かい音作りができる反面、音作りは難しくなります。どういう方法で音決めをしていくのが早道でしょうか?
XE:確かに最初に見て圧倒されるような感じがありますが、両製品ともその点では極めてシンプルに操作出来るよう考慮してあります。まずはすべてのノブを12時に設定して音を出してみてください。大体はそこから直ぐに欲しい音を探せると思います。“BB+”に関しては、どんな設定でも“使える音”が出せる非常に稀なペダルなのでユーザーの方には、是非その操作性の簡単さを試して欲しいですね。

----今後の展開として、“RC〜”の発展型は考えていないのでしょうか?
XE:面白いと思いますが、新しいものを一度に市場投入するとユーザー側が混乱するので、まずは新製品に慣れてもらってからにしたいと思います。

 

 

 

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