"Best Frets" & "Michael Tuttle Guitars"
Michael Tuttle氏のインタビュー (2/2)

PCI: ドン・グロッシュとあなたのギターの違いで、あなたの場合ラッカー塗装ではありませんね? 何故ですか?

ドン・グロッシュの工房で働いていた時に、日本からのお客さんから、ラッカー塗装のクラッキングを避けたいのでウレタン系塗装にして欲しい、との要望がありました。しかし、ウレタン系塗装はギタートーンを変えてしまうというドン・グロッシュ工房の方針で、取り扱っていませんでした。そこで、通常より薄く塗ってみたらどうだろうと考え、パット・ウィルキンスのところに行ってウレタン系塗装でより薄く塗ってもらいました。それを使って何10本ものギターを作って、完成品を丹念に弾き比べてみました。心配していたトーンの変化は分かりませんでした。ウレタン系でも、現在は塗料の質が良くなっていますので、薄く塗ることでトーンの変化なくギターを作ることが出来るのです。薄く塗ることはラッカーでも重要です。厚く塗ると、ラッカーでもトーンは変化してしまいます。それから、ラッカーは、ルックスが長持ちしない、という短所があります。ギターは見た目も長持ちするものを作りたい、という思いから、ウレタン系の塗料を薄く塗る方法を選択しました。

PCI: ピックアップはどれを使いますか?

特にこのピックアップ、というのは決めていません。お客さんのリクエストによってどんなピックアップでも入れられます。ただディマジオのスティーブとは8年位親密に仕事をしています。彼がバーチュアル・ビンテージ・ピックアップを開発していた時に、それを僕がギターにつけて、ピックアップのテストをしていました。Lindy Fralinの音を目指していたのですが、5~6種類のピックアップを開発した後、やっと、これだというものが作れましたね。スティーブとは長い付き合いなので、お客さんの要望に応じて僕のギター用に特注のピックアップもディマジオで作ってもらうことは可能です。

PCI: NAMMショーで出展したあなたのギターはプロミュージシャンの評価が高かったですね。それから、あなたに組み込みとフレット仕上げをして頂いたXotic Guitarsも好評でした。

 

僕のギターも、Xotic Guitarsも、僕の知っているベストなやり方で作り、組み込んでいますので自信あります。

PCI: フレットの他に、ギター作りのどの部分が、あなたの特徴だと思われますか?

全体的にタイトな仕上がりにすることですかね。やはり作り手自身が長年の現役プレイヤーだということはプラスだと思います。ギターは材料も一つ一つ異なっていますが、それをスタンダードにセットアップするのではなく、ギターの個性に合わせて完成させることが出来る、というところでしょうか。僕が作るギターは、出荷前に必ず30分から45分テストされ、その後またアジャスト、またテストと何回も実際に鳴らして調整が繰り返されます。

PCI: 今後は、Michael Tuttle Guitarsもあなたの組み込みによるXotic Guitarsも日本に販売することになりますが、日本の皆さんに何かメッセージはありますか?

Michael Tuttle GuitarsかXotic Guitarsに出会ったら、ぜひ一度手に取って、触って、弾いてみてください。それで、僕が話しているフィット感やナチュラルプレイを、わかってもらえると思います。太いネックが好きな人や細いネックが好きな人など、人それぞれ好みもあると思いますが、フレットとフィンガーボードのタッチだけで他のギターとは違う体験が出来ると思います。もちろんカスタムオーダー受付けますので、ネックなどは好みによって変えられます。プレイしてみたらきっとこれは「わたしのギターだ!」と家に持って帰りたくなるのではないでしょうか。ギターは生きている、と信じています。ギターをプラグインする前に、持ってアコースティックに鳴らすだけで良いギターだと分かって頂けると思います。