日響楽器・池下店
愛知県名古屋市
鈴木店長
左が統括マネージャーの鈴木さん、右がスタッフの大町さんです。
品揃いと鈴木さんのこだわり、豊富な知識は業界でも有名です。お店の外観からは伺い知ることのできない底の深いお店でした。「楽器店さんとは何か?」を改めて考えさせられたインタビューでした。
PCI:今日はお忙しいところ有り難うございます。まず、日響楽器さんはいつから名古屋でご商売されてこられたか教えて頂けますか?
鈴木:ちょうど55年になります。中部地区では老舗中の老舗だと思います。ヤマハの鍵盤を一番始めに小売りとして始めたお店ですね。
PCI:今は何店舗あるんでしょうか?
鈴木:名古屋に3店舗、岐阜に1店舗です。
PCI:その中でこの池下店の特徴は?
鈴木:この池下店だけが輸入品を扱っているんです。
PCI:輸入物のギター、アンプ、エフェクターなどがたくさん並んでいますが、こういう物はこの池下店だけの取り扱いなんですね?
鈴木:そうですね。池下店がメインでやっています。
PCI:鈴木さんの日響楽器での役割は何でしょうか?
鈴木:池下店の店舗統括マネージャーです。従って鍵盤販売も見ています。
PCI:輸入物のメイン商品は何でしょうか?
鈴木:基本的に中部地区でギブソンとフェンダーのカスタムショップの両方の認定ディーラーはうちだけなんです。それがまずメインとなります。
PCI:中部地区というとどの辺まで入るんでしょう?
鈴木:北陸まで入ります。
PCI:かなり広い範囲の中で唯一のギブソン、フェンダー両方の高級カスタムギターを取り扱っている店ということですね。その他のアメリカのカスタムギターも並んでいる様ですが。
鈴木:いい物はやはり入れて行きたいと思っています。市場が今は低迷して活性していないと思いますが、いい物をお客さんに提供することによって市場は活性すると思います。そういう意味で小さく地道にやるべきことをやっているだけなんですよ。
PCI:最近の楽器市場についてどう思われますか?
鈴木:価格破壊という言葉が良く使われて、基本的に楽器という物をとにかく安い所で買おうっていう状況になっていると思います。私達は、楽器というのは本来その値段ではなくその内容が大事なんだといつも主張しています。内容が伴わないとお客さんもお金を払ってはくれないのです。だからうちの場合、競合店との価格比較はあまり意識していません。PCIさんとお付き合いをてもう2年程になりますが、その前から輸入物のエフェクターというのは力を入れていたんですよ。国産メーカーの大量生産品も扱っていましたが、結局どこの楽器店に行っても国産一流メーカーの物を進めれば間違いはない、安心だというのが常識でした。私達は高額なギターを販売しています。服で言いますといいズボンを買ったらいいベルトが欲しいですよね。良いギターを買ったらやはり内容の良いエフェクターも欲しくなると思うんです。それに合わせてアンプだってケーブルだって良い物が欲しくなるんです。良いギターを購入して頂いた時に良いサウンドを出して頂ける様、サウンドコーディネーターとしてアドバイスできることが重要だと思っています。それが出来ないとお客さんとの繋がりもそこで途切れてしまう様に思います。良いギターを置くのであれば必然的に良いアンプ、エフェクターも用意することになるんです。これも1つの提案に過ぎませんが。
PCI:なるほど良く分かります。アンプなんかは具体的に何を取り扱って見えるんでしょうか?
鈴木:やはりフェンダー、マーシャルが中心なんですが、他メーカーのブランドで私達が気に入る物、自信を持っておすすめ出来る物は積極的に取り入れています。例えばコンフォードのアンプですとかDR.
Zアンプですね。出来るだけお客さんに合ったアンプを提供出来る様頑張っています。 お店に展示が無くても音と内容を私達が勉強すれば提案は出来ます。
PCI:DR. Zアンプの話が出ましたがどんな評価をされていますか?
鈴木:Carmen
Ghiaには非常に感動しました。つまみが2つだけというあの無駄の無いトーンは素晴らしいです。
PCI:この池下店に来られるお客さんは若い方が多いんでしょうか?
鈴木:スタジオも持ってるんですが、10代、20代前半の客層は20%です。残りの80%は20代後半以上のお客さんですね。一番多いのは35歳以上で全体の50%くらいです。
PCI:輸入品のターゲットは35歳以上のお客さんということですね?
鈴木:そうですね。35歳以上となるとバンドブームからジャパメタブームとかを経験された人達が多いんです。昔音楽をかじってた人がまた何かのきっかけでギターを弾きたくなった、というお客さんが一番多いんです。
PCI:今度は鈴木さんご自身についてお聞きしたいと思います。ギターは弾かれるんでしょうか?
鈴木:ギター、楽器は好きですけど本来本職はPAとかレコーディングを勉強していたんですよ。それがどういう訳かよく分らないんですけどこういう楽器店に就職してしまったんです。(笑)
PCI:もう何年になりますか?
鈴木:20年になります。
PCI:ずっと日響楽器さんだったんですね?
鈴木:そうです。15年くらい前から輸入物のギターに力を入れてきて、それから色んな経験を積んで今日に至るんです。
PCI:音楽はどんなのがお好きなんですか?
鈴木:やはり70年代のロックですね。
PCI:特にお好きなアーティストは?
鈴木:あの当時流行っていたQueenやらエアロスミスをよく聴きました。実は私はミーハーで、KISSから入ったんですけど。(笑) やはり音楽シーンがちょっと変わって来たのはあの時代で、衝撃を受けたのはバン・ヘイレンですかね。
PCI:そうですか。話は変わりますがこちらではギターのリペアとかもされるんですか?
鈴木:リペアは得意中の得意なんですけど、限界がありまして塗装の絡む物とか大きなバフが必要なのとか、そう言った物は外注に出します。それ以外のことはほとんどこちらでやります。
PCI:ギターの各種パーツもたくさん取りそろえられていますね。ピックアップやパーツの交換はお手の物ですね。
鈴木:その辺はもう当たり前の最低の仕事ですね。
PCI:Xotic
Partsもずいぶん扱って頂いている様で有り難く思います。
鈴木:ここにPCI専用バインダーというのがあります。PCI取り扱い製品の全ての情報が入っているんですよ。ここにあるもの全部在庫に置けばそれにこしたことはないけれども、そういう訳にも行かないのでこういう資料があると助かるんです。これを見せながらお客さんに詳しい説明が出来ます。PCIさんから新しいインフォメーションがあると、このバインダーにどんどん足していくんです。PCI取り扱い製品の中では最近Arkayの弦に注目しています。ブランド名はまだあまり知られていませんがこれは本物ですね。張ったその瞬間から一番馴染んだいいサウンドになりますからね。一度使った人は高い確率でリピーターになっていますよ。もっと宣伝をすれば近いうちににブレークするんじゃないんでしょうか。
PCI:ありがとうございます。インターネットを通じてのご商売もやってみえますか?
鈴木:わりとネットの商売は多いんですよ。月に1回は遠方のお客さんがギターを購入されます。 先日も九州の佐世保から注文が入りました。
PCI:それはすごいですね。では最後にPCIサイトの読者にメッセージをお願いします。
鈴木:この日響楽器・池下店というのは、路面店で道路に面していて、外から見るとヤマハの鍵盤店に見えるんです。確かにそれが目的の商売もするんですが、一方でLM商品に対しては、大型店に置いていない商品、本当の本物指向ということで、ハイグレードの商品を扱い、ここ10年以上そういう物が扱える店に育てて来ました。遠方から来られた方でもがっかりしない、後悔させない商品をいつもディスプレイしてます。楽器、音楽の情報も、お客さんががっかりしない様なノウハウと知識を持っているつもりです。遠方から来られても、遠慮なく私達に色々とご相談頂きたいです。本当にいい楽器を購入出来るきっかけ、素晴らしいエフェクター、アンプを購入出来るきっかけ、真剣に音楽ライフ、楽器ライフっていいますかね、を楽しんで頂けるきっかけになると思います。輸入物の楽器販売に関してはうちは不景気知らずなんです。特に自慢やでしゃばった言い方をするつもりはないんですが、この景気の悪い世の中によく偉い方が言われる言葉があります。「景気が悪い時こそビジネスチャンスがある。」と。誰もがそういうことは知ってるんですけど、いかにそのチャンスを行動を起して掴むか、そしてそれを発展につなげるか、それが難しいのかもしれません。私達はもっと時限の低い簡単なことを地道にやって小さなビジネスチャンスを少しずつ実績に結びつけているだけなんです。
PCI:そうですね。不景気だからといってお客さんはいい楽器でいいサウンドを出したいことに変わりはないですからね。
鈴木:趣味を持っている方で、例えば釣りをしている人は一本何10万円もする釣りざおを買ったり高いルアーを買ったりしますね。車だったらもっとすごいですよね。チューンアップするのに何百万円と使う人もいます。そういう方々の中にもギターをやってる人多いんです。ただ趣味の中で優先する順位が楽器については後ろの方なだけなんです。趣味の中の楽器の優先順位を上の方へ持っていって頂ける様に提案するのが私達楽器店の仕事なんです。ギターを弾くという趣味をお客さんの中の優先順位のトップに持ちあげて頂くことで楽器販売が出来る様になるんです。そうして頂けるための提案を私達楽器店がやり続けなければいけないと思っています。
PCI:同感です。楽器店さんだけでなく、楽器業界全体で足を引っ張り合うのではなく、楽器と音楽の素晴らしさを多くの人にあらゆる提案を通じてアピールしていく必要があると痛感しています。 鈴木さんの様なお考えの楽器店がこれからどんどん増えることを期待します。お忙しい中本当にありがとうございました。(9/11/2003)
日響楽器・池下店
〒464-0848
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TEL: (052)751-6161, FAX: (052)762-0305
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