池部楽器 Bass Collection

東京都渋谷区

岡崎店長

ハイエンド・ベースのみを集めた楽器店が渋谷にあります。敷居は決して高くなく、本当に良い楽器を探す人にとっては有り難い環境と親切な店長とスタッフが揃っていました。(2009年3月3日）

PCI：お店はいつ開店されたんでしょうか？

岡崎：2007年の11月23日にオープンしました。おかげさまで好評をいただいております。

PCI：池部楽器さんがこのお店を出すと決められた最初のコンセプトは何だったんでしょうか？

岡崎：もともと渋谷店でもハイエンドベースは扱ってきたのですが、単に高級なベースだけを集めた店を作りたいというわけではありませんでした。ベースだけ独立してお店を出そうという案は数年前からあったものの、なかなかスペースやタイミングの問題もあり、しばらく出来ずにいたのですが、ちょうどここの物件が空いた時に、社長から「岡崎君の好きなようにやってみないか？」と言われまして、即答したのがきっかけでした（笑）
良いものを提供したいということで今までずっと仕事をしてきましたので、基本的なコンセプトはそれに尽きます。渋谷店のベースフロアの方で、いわゆる一般的な範囲というのは全部網羅していますので、そこの中で敢えてハンド・メイド系のものを中心に良い物を集めたということになります。

PCI：他店と比べての具体的な違い、特徴を教えてください。

岡崎：いわゆるハイエンドと呼ばれている良質なベースを中心に取り扱っているというだけでなく、そのブランドの数、種類が大変充実しているということです。また、商品のセットアップに関しても、高額な商品とはいえ、入荷時の状態が常にベストとは限りませんので、弾きやすさはもちろん、その楽器のポテンシャルが最大限に引き出せる状態を目指して調整しているつもりです。

PCI：ハンドメイド系のベースだけでこれだけ品揃えが豊富な店は少ないと思いますが、どれくらいの点数があるんでしょう？

岡崎：在庫の数としては100本程度、ブランドの数はベース本体だけで30種類くらいでしょうか。

PCI：世界中のハンドメイド、カスタムメイドと呼ばれるブランドのベースはほとんど揃っているという感じですね。

岡崎：そうですね。すなわち量産で同じスペックのものがたくさん出されているものではなくて、一本一本に個性のある楽器を中心に取り揃えているということです。

PCI：お客さんの層としてはどんな方々が多いのでしょう？

岡崎：若い方から年配の方まで幅広い層の方々にご来店いただいています。購入層としては、やはり高額なこともあり、20代後半から40代のお客様が比較的多いです。

PCI：先ほどお店にお邪魔した時も、一人コアな方とお見受けするお客様がいろいろ質問されていましたね。ベースのことにかなり詳しいお客さんも多いのでしょうね？

岡崎：そうですね。今はインターネットでメーカーや楽器の詳しい情報が手に入りますので、お客様の方がよくご存知のことも多いんです。最近ではお客様から新しい情報を得ることも珍しくありません。

PCI：先ほどのお客さんも質問の内容はかなり専門的なことが多く、それに対する岡崎さんの回答やご説明が親切でわかりやすく感心して聞いておりました。やはり置いてある製品のことだけでなく、その背景の専門知識、情報などをかなり熟知していないと、ここに来るお客様の対応は難しいのではないでしょうか？

岡崎：お店に来ていただいたお客様にこちらが提供できるものは、まずは現物ですよね。そして、インターネットやカタログに掲載されたその現物のデータだけでなく、もっと大きな意味での楽器に対する理解や知識を持っていなくてはならないと思っています。一年ちょっとやってきて思うことですが、メーカーがカタログに記載しているスペックや謳い文句は、もちろんその製品を知るために大変参考になりますが、やはりそこはアナログの楽器ですので、やはり実際に弾いてみないとわからないことも多いです。まずは情報で固められつつあるお客様の先入観を少しずつ取り除き、なるべくフラットな視点で個々の楽器の良さをわかっていただけるようにしたいと思っています。

PCI：ここに置いてあるベースはそれぞれ一本ずつ個性があるものですから、それらの良さを全て把握するのは難しいことではないでしょうか？

岡崎：そうですね。まず当店に入荷した製品については可能な限り全てチェックし、スペックの数値だけでなく、全体のバランスやフィーリング、鳴りやサウンドといった感覚的な部分でもデータを取るようにしています。アナログの、特に弦楽器はなかなかスペックや数字では判断出来ない部分も多いので。

PCI：岡崎さんもベースを弾かれるんですか？

岡崎：もちろんです。

PCI：今でもバンド活動とかされてるんですか？

岡崎：そうですね。趣味で楽しみでやってる程度ですけど。

PCI：どんな音楽をやってるんですか？

岡崎：今は基本的にはファンク系のものが多いですね。ワンコードでジャムったりすることが多いです。最近はジャジーな曲にもチャレンジしているところです。

PCI：最近良く聴くお好きな音楽はどんなのでしょうか？

岡崎：以前はギターを弾いていた時期もありまして、それこそハードロック、ヘビーメタルからブルース、ファンクなどいろいろ通ってきましたが、最近はもっぱらジャズばかり聴いてます。ここ一年くらい完全に嵌ってますね。

PCI：このお店を開店される前もベースを担当されてたんですか？

はい、もうかれこれ9年くらいになります。

PCI：その９年間によく売れるベースとかお客さんの好みとか変わってきましたかね。

岡崎：最近では、当時から人気があったブランドはもちろん、更にその次の世代の新鋭ブランドも続々と登場してきたことで、我々が扱っているような"ハイエンド"楽器の市場も更に大きくなったと思います。９年前はほんとにマニアックな一部の層の人たちだけが手にしていたのが、もっとたくさんの人に興味を持って頂いているように思います。今まで以上に情報や商品の流通も良くなりましたね。

PCI：お客さんの質問、要望も突っ込んだ専門的なことが多くなってきたんですね？

岡崎：そうですね。これまでに良い楽器をたくさん触ってこられた常連のお客様などは、特に自分の好みがはっきりしていて、いわゆる当たり障りの無い、無難な楽器では満足できず、常にもっと良い物や、普通のものとは違った"特別なもの"を求めてこられるわけです。特にカスタムオーダーの場合、最近では、見た目の豪華さに重きを置いたものよりも、より機能面、サウンド面に拘りを反映したスペックや材の要求が多く、よく相談を受けます。塗装や細部の仕上げに関しても、より高い質が求められるようになってきたと思います。

PCI：Xotic Bassも何本か置いていただいているようですが、お客さんのリアクションはいかがでしょうか？

岡崎：使っているアーティストの影響もあり、そこからどんな楽器なんだろうと興味を持たれるケースが多いですが、おかげさまで実際に試奏されたお客様からは非常に高い評価を頂いております。もっと広く多くの人に試してみていただきたいですね。重厚なサウンドにも関わらず扱い易いので、好きな人はかなりツボに入ると思います。

PCI：最近多弦ベースに対してお客さんの反応はどうでしょう？

岡崎：今は完全に５弦ベースが普及して安いものから高いものまで品揃えが幅広くありますし、いろんなメーカーが作り慣れてきて、バランスの良い5弦ベースが圧倒的に増えましたね。個性的なモデルも多いので、最近はどれを選んだらいいのかと迷われるお客様も多いです。また、一方では5弦や６弦等の多弦モデルに一度トライしてみたもののやっぱり４弦でいいかな、といった具合に、ある程度淘汰されてきている感もありますし、他方では、より弦の数を増やして７弦、8弦といったスタイルに挑戦される方もいらっしゃいますね。

PCI：お客さんはプロの方も多いんでしょうか？

岡崎：そうですね。特にセッション系のミュージシャンの方にはよくご利用いただいています。プロのミュージシャンの方からのフィードバックから得るものは大変大きいです。おかげさまで大変参考にさせていただいております。

PCI：渋谷には池部楽器さんの店舗がたくさんありますが、特にこのお店を差別化するために、冒頭に言われたこと以外に気をつけている事はありますか？

岡崎：本来なら、一つのビルの中にフロア毎にそれぞれの売り場があるのが理想的だと思いますが、渋谷という土地柄もあり、総合店である渋谷店を中心に、当初はやむを得ず近隣のビルにテナントとして各専門店を立ち上げ、年々少しずつ数を増やしてきました。今はそれが逆に功を奏したのではないかと思っています。それぞれの専門店が一つの独立したショップとして、それぞれのコンセプトを持っており、よりショップの個性を出しやすい構造になっているんです。そこが魅力的な品揃えをするにも重要な点だと思っています。仕入れる商品に関してもそれぞれの店長にほぼ一任されていることから、その自由度の高さがそのお店の面白さに繋がるんではないでしょうか。

PCI：景気はずいぶん悪くなってきたとは聞きますが、売れるものとかも変化は出てきたんでしょうか？

うちの場合は、マニア向けの商品が多いことから、不況の影響は今のところ直接的な売り上げにはそれほど感じられませんが、こういう時こそ、いかに魅力的な商品を押さえられるかが重要だと考えています。やはり常に気は抜けないですね…。

PCI：Bass Collection 専属のウェブサイトもあるんですか？

はい、Bass Collection専用のページも立ち上げて当店の在庫が全部見られるようになっています。遠方の方でなかなか普段東京に来られない方には、そこで製品を事前にチェックして頂き、ご来店頂いた際に現物を試していただくということもよくあります。

PCI：地方のお客さんにネットで製品を見てもらって商品を発送することもあるんですか？

岡崎：通信販売ももちろん可能です。極力ネットにはこちらでお伝えするべく情報をお出ししているつもりですが、その他にも色々と確認したいお客様はお気軽にお電話、もしくはメールをいただければお答えします。

PCI：最後にうちのサイトの読者のみなさんにメッセージがあればお願いします。

岡崎：良い楽器をコンセプトに、今後も魅力的な商品をご紹介していきたいと思っていますので、究極のベースをお求めの方はBass Collectionスタッフまで是非お気軽にご相談下さい。その際に、お客様のイメージや好み、こだわりのポイントなどを出来る限り詳しくお教え頂ければ幸いです。できれば店頭で実際に楽器に触っていただければと思います。可能な限り同じ条件でいろいろな楽器を弾き比べることがここでは可能です。またセッティングや弦の種類等で楽器のイメージががらっと変わる場合もありますので、その辺の些細なこともどんどん相談していただけたらと思います。

PCI：店の雰囲気もゆったりと落ち着いた感じで、世界中の素晴らしいベースがほとんど揃っています。それらを同じ条件で弾き比べできるという贅沢な空間です。こんな店はアメリカにもなかなかありません。今日はお忙しいところありがとうございました。

岡崎：こちらこそありがとうございました。

　　　　　　　　　　
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