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FULL-TEN-VOLUME


山形県山形市

加来さん

2008年7月、お客さんが本当に望む楽器店のあり方を追求したユニークな新店舗が山形に誕生しました! ↓の開店前のインタビューでその秘密が分かります。

PCI:いよいよ新しいお店が開店ですね。今日は山形で一番おいしいと言われているお蕎麦屋さんでインタビューしています。

加来:「きりきり」って言います。「吉里吉里」と書きます。ここは十割そばで有名で地元でも穴場なんです。

PCI:ほんとにおいしいですね。よろしくお願いします。まずは新しいお店の名前を教えてください。

加来:FULL-TEN-VOLUMEです。全力でやるというつもりで付けました。

PCI:加来さんが今回自分のお店を出すに至ったいきさつを教えてください。

加来:13年間楽器店に勤めたんですけど、ユーザーが求めているものを満たしてきたかという思いがずっとあったんです。お客様が何を求めていて何をしたいのか、それを私なりに研究したその結果が、この新しい店のスタイルとなりました。

PCI:ご自身が長い間研究されてきたことを実現されるために店を開いたということですね。

加来:そうです。最初に結論を申し上げてしまいますと、楽器販売において単にアメリカ文化の模倣を続けていたことがよくなかったと思うのです。誰かが触ったもの、誰かが封を開けたものというのは、日本の方は嫌うんです。従来の楽器販売のやり方は、日本のやり方にあわないんです。アメリカの「ギターセンター」の売り方をしていても、日本の文化に合わないということを誰も気づかずに続けてきたということです。かといって楽器を弾くという機会提供は絶対必要なので開放したいのですが、今までのようなやり方で開放してしまうと、バッティングセンターのバットをそのまま売るようなことになってしまいます。ですから、その機会提供に微量なチャージを乗っけて、それはいっさい我々の利益にしないようにするんです。そういう新しい仕組みを作りました。

PCI:画期的な仕組みということですね。整理すると、楽器店とレンタルスタジオを融合させて、お店に並んでいる新品の楽器を有料で弾きたい人にはとことん弾いていただく。弾いていただいた時間にチャージをしてお客さんに払っていただき、弾いた分だけ楽器の売値を減価していくという仕組みですね。買わずに試すだけの人にとっても割安でとことん楽器を弾く機会を得ることができ、レンタルをされた楽器でもよいという人にとっては割安で気に入った楽器を買うことが可能になるということですね。そしてメーカーにとっては、新品で売った楽器を多くの試奏後に返品と言われることもなく、お店にとっても多くの試奏で傷などがついて安売りをせざる終えないという問題も解消できるということですね?

加来:そうです。万が一、返品が生じても、お客さんから頂戴した試奏に対するチャージはいっさい我々の利益にはしない姿勢でおりますので、取引先さんと折半とか、フェアに対応したいと思っております。

PCI:そういう細かい取引条件、値段などについては、新しく立ち上げられるウェブサイトに載せるられるんですね?

加来:そうです。すべての詳細をわかりやすくサイトに載せます。お客様の目的、手段、結果、価格を問わないで機会提供をしたいと思います。ギターも、フェンダー、ギブソン以外に素晴らしいものがたくさんあるんです。そういうことをできるだけたくさんの人にわかってもらいたいのです。

PCI:それからレンタルスタジオの料金体系についても、一方的な供給側サイドの料金設定ではない、新しいやり方を打ち出されているそうですね。

加来:スタジオについても、我々のテーマは、すべてのお客様のニーズに対して、平等公平にさせていただきたいと思っています。例えば従来のスタジオですと、スタジオにはすでに多くの機材が設置されていて、お客さんが使いもしない機材の料金負担も発生していたわけです。わかりやすい例が、アコースティックバンドの人たちは、ほとんど電源を使わないんです。であれば、本来部屋代だけでいいはずなんです。ところが従来のレンタルスタジオでは、すでにたくさんの機材が設置してあるわけでその分の費用負担がレンタル料に上乗せされているわけです。我々はスタジオを使う人たち個人個人にフェアであるために、まず、部屋代20分90円という料金からスタートします。ですから、自分の機材を持ち込んでいただいたお客様は、この20分90円の部屋代だけでよいことになります。うちの機材を使っていただく場合は、そこに機材の使用料が、使った機材に関してのみかかることになります。

PCI:そういえば、そういう料金設定のスタジオは聞いたことがありませんね。

加来:それから、同じバンドのメンバー間でも負担料金がフェアになるようにしました。例えば手ぶらで来た人はマイクを借りなくてはいけないですよね。一方、ヱフェクターとかその他機材を自分でいっぱい持って来られた人も、今までは頭割りで同じ料金負担だったと思います。うちのスタジオの料金設定だと、機材を自分でたくさん持ってきたひとは負担が大幅に軽減されます。それから、出入りの個人差も管理します。例えば4人のバンドで3人が定時で入っているのに、一人だけが後から来た場合、あるいは途中で一人だけが早くスタジオから出た場合、そういう場合も個人ベースでスタジオを使った分だけ請求するということにしています。

PCI:なるほど。バンドの楽器の担当、それからスタジオにいた時間の差、などについてのレンタル料に対する負担が公平になりますね。

加来:レストランで注文するときのことを想像してみてください。例えば4人のバンドメンバーで食事をしに行くと、それぞれが好きなものを注文して食べますよね。それに対して、それぞれに食べたものを個人別に請求することができますよね。レストランのように、それを個人ごとに払うかグループとしてまとめて払うか、支払方法は選択できるようにしてあります。

PCI:これは面白いシステムですね。ということは、お店にめったにお目にかかれない珍しい楽器が有った場合、使用料さえ払えば、レンタルスタジオでバンドの中で使って試すこともできるということですね。

加来:そうです。特にエレキギターなどは、バンドの中で使ってその良さがよくわかると思うんです。ぜひそういう使い方をして欲しいです。今まで楽器店に勤めていた時、たくさんのお客さんに試奏をしていただきましたが、多くのお客さんが「ここではいい音するけど実際バンドで使ってみないとよくわからない」と言われることが多かったんです。それをぜひうちの店では実現させたいと思いました。

PCI:レンタルスタジオで練習するだけではなくて、そこにあるお店においてある普段弾けないような楽器の数々を練習しながら試すことができるというのは有り難いですね。

加来:もっとつっこんだ選定とか結果が得られると思うんです。大きい音が出せないようなお店で楽器を選ぶより、買うまでにとことん試すことが出来る方が良いと思います。それから、よく楽器店で特価品として売っている物がありますが、「何で特価?」と聞かれても答えられる店員さんはほとんどいないんです。うちは、その楽器が特価になる履歴がすべてデータとしてお見せできます。もちろん試奏した方々の個人データは見せませんが。

PCI:ということは従来の楽器店にあるような特価品というのはなくなりますね。新品か、もしくは安くなったものについては、これだけの試奏が入ってこういう値段になりましたという物の2種類になりますね。

加来:そうです。そしてすべての値段が一枚のプライスカードに出ています。在庫取り寄せの価格、現在の価格、レンタル料金すべてがプライスカードを見ればわかるようにしてあります。

PCI:そういう取り扱い商品の詳しい情報も、サイトで公表されるわけですね。

加来:はい、そうです。ただし、ウェブ販売は行いません。あくまでお店に足を運んでいただいたお客様を対象に商売をしていく予定です。

PCI:お店の広さはどのくらいでしょうか?

加来:店は160平米で、スタジオが8畳と8畳強と10畳の3つです。

PCI:品揃えはどういうものが中心になるのでしょうか?

加来:常時在庫しているものとしては、比較的ライトミュージック寄りですけれども、多くの取引さんとの口座も開設できましたので、PAから管楽器までその他もろもろ大丈夫です。ギター、アンプ、PA、ドラム、管楽器、教育、ほとんど全般取り扱います。

PCI:ギターまわりの品揃えはどういうものが中心になるのでしょうか?

加来:量販店に絶対あるという定番はむしろ置いていかないようにしようと思っています。お客さんが興味を示したものとか、我々がこれは良い製品とおすすめできるものを揃えていこうと思っています。どちらかというと売れるものよりは、我々がご案内したいものを置いていくようにしたいです。

PCI:いわゆる売れ筋商品にはあまりこだわらないということでしょうか?

加来:従来の売れ筋商品というのは気にしないです。それと、取り扱うパーツの種類でいくと、おそらく東北一だと思います。電装系からReplacement系まで幅広く揃えています。相当用意しておりますので、在庫の量を比べると大型店には及びませんが種類を見ていただければかなりかゆいところに手が届く範囲となっています。それから、メーカーさんから入荷したロットを小分けしてお客さんが買いやすいロットにしています。

PCI:具体的に言いますと?

加来:15年間楽器業界にいますが、パッケージ売りのペグとかは6個セットなんです。でも6個セットでペグを替えられるお客さんはほとんどいらっしゃらなかったんです。必ず「一個だけください」というお客様がほとんどでした。我々は「メーカーさんがこうだから一個では売れません」と断ってはいけないと思います。我々の方で、お客さんが購入しやすい値段と単位に分割して一個から販売するようにしています。芋ネジも一個から売るようにしています。

PCI:リペアはどうされるんですか?

加来:リペアについては、木工加工以外については店頭で承ります。難易度の高いものについてはEWSとか外注さんにお願いします。もちろんお客さんの注文はここで受け付けます。

PCI:木工加工以外は、加来さんともう一人のスタッフ高橋さんで対応されるということですね?高橋さんとはどういうおつきあいなんでしょうか?

加来:山形の同じ楽器店で勤めていました。そのときからの長いつきあいです。

PCI:お二人の新しいお店での役割分担はどのようになっているのでしょう?

加来:テクニカルな部分とマネージメントは私が担当し、広報とその他もろもろ対外的なことは高橋に担当してもらっています。本人も楽器やっていましてベース弾くんですよ。地元のバンド仲間もたくさんいるようなんで期待してます。

PCI:この山形での競合店とかの状況はいかがでしょうか?楽器店も何店かあると思うんですけども。

加来:こんなことを行ってしまうと偉そうかもしれませんが、楽器店は3,4店舗あるんですが、競合と私は捉えていないんです。私たちがやろうとしているような店は全国的にもないと思うんです。

PCI:山形という町で店を開かれるにあたって、計画されているようなやり方で需要は十分あるんでしょうか?

加来:あると思うんですが、感覚で申し上げているのではなくて、私が今回起業するにあたっていろんな資料を調べた上でそう思うのです。一家庭あたりの楽器に費やす一年間の出費というのを全国で調査している資料があったのです。どうやって調べたのかわかりませんがおそらく聞き取り調査をした総務省にあるデータだと思います。日本全国市町村の中で山形市が4位だったんです。静岡とか前橋がその上だったと思います。そして意外とそういう所に良い楽器店がないんです。だから本当は供給側がいないだけなんです。山形にはそういうコアな楽器を買う人たちがたくさんいます。

PCI:そういう隙間を埋めるために、今回店を出そうということになったのでしょうか?

加来:そういうことではなくて、単純に面白いというのが優先してましたね。山形のお客様は大変興味深いコアな人たちが多いんです。ですから私たちが店を出すのは必然だったのかと思います。たまたま調査したらそういう客観的なデータも出てきて「そうだよな」と納得しているところです。

PCI:お客さんの年齢層はどうですか?

加来:年齢層は結構広く中学生から年配のもう退職された方まで来られます。

PCI:最近よく言われる、団塊の世代の人たちが趣味に今後お金を使うのではないかということについてはどうでしょう?

加来:十二分にそういう傾向が見られます。これは銀行筋の話なんですが、山形は他に大きな繁華街とか娯楽がないので、音楽とかの趣味に没頭される人が多いそうです。それから都内みたいにマンション住まいの人が少ないので、過去に一番大型アンプが売れたのは山形でした。トランジスタのアンプで練習しててもなかなか上手にならないじゃないですか。真空管の大きいアンプで弾かれてる人が山形には多いのでみんな上手ですよ。

PCI:うちの取り扱い商品の中で、特に気に入っていただいているのは何でしょうか?

加来:私の一押しはXoticのRC Boosterです。Xoticは全般に好きですけど、RCは特に個人的に気にいってます。

PCI:ギターは弾かれるんですか?

加来:もっぱらエレキギターを弾いてます。

PCI:どんな音楽をやっているんですか?

加来:最近は仕事が忙しいのでやってませんが、昔ハリウッドのMIに通ってた頃はパンクミュージック系に興味があってやってました。

PCI:最近はどんな音楽を聴かれるんですか?

加来:最近はボサノバばっかりです。将来的にボサノバを演奏したいと思っています。ボサノバは奥が深いのでまだ詳しくは研究してませんけども。

PCI:最後にうちのサイトの読者にメッセージがあればお願いします。

加来:量販店に行ってよく経験する、がっかりするようなことがないような店を目指します。デパートの店員のようにただいるだけということのないように、お客さんからたくさんのことを学ばせていただき、それに応えることができるようになりたいと思っています。ぜひ勉強させてください、というのが私からのメッセージです。私の15年間の楽器業界での経験から言わせていただくと、実はお客さんの方がいろいろなことをよくご存知なんです。

PCI: 開店前の忙しい時にどうも有り難うございました。

          
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