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F • Sugar
東京都中野区

佐藤店長

20年以上ずっとプロミュージシャンの駆け込み寺的存在だった佐藤さん。長年に渡るプロミュージシャンとの付き合いの中で培われた経験と知識が、今やF Sugarというお店から多くの皆さんに提供されています。必ず一度はチェックする必要ある店です。気に入った機材を、防音設備完備の地下室で誰にも邪魔されずとことん試すことができます!

PCI:F Sugarさんのオープンはいつでしたか?

佐藤:2000年です。オープンしてかれこれ3年半くらいになります。

PCI:それまでは何をされていましたか?

佐藤:前に勤めていた会社でプロミュージシャン向けの販売の仕事をやっていました。

PCI:その仕事は長かったんですか?

佐藤:20年くらいやってましたよ。前にいた会社は基本的にはプロミュージシャン向けのレンタル業務がメインで、その絡みのお客さんへの販売が私の仕事だったんです。だからほとんどお客さんはプロミュージシャンでした。 

PCI:どうして独立されることになったんですか?

佐藤:前にいた会社がレンタル業務だけに専念することになり、話し合いの結果、販売部門を私がそのまま持って出て独立することになったんです。 

佐藤店長

PCI:店の場所はなぜここにされたんでしょうか?

佐藤:前の会社の店がやはり新宿でしたから、あまり離れちゃうとお客さんにも迷惑がかかるのでこの界隈で物件を探したんです。なかなか見つからなかったですよ。いい所見つけると高いしね。(笑) 条件というのがまず音を出せるところという場所。やっぱりデカイ音を出せる場所じゃないと製品の良さが分らないんでね。 

PCI:結局ここは新宿駅からも近いし、いい所ですよね。

佐藤:そうですね。地下があったんでね。地下をちょっと変えれば音を出せるなと思ったんです。

PCI:音を出すのには理想的な環境ですよね。地下は改造されたんですか?

佐藤:単なる倉庫だったので防音工事をしました。

PCI:上が店で地下に気に入った機材を持って行ってガンガン鳴らせるっていうのは、プロミュージシャンの方々にも好評でしょうね。

佐藤:そうですね。プロの方はとにかくまず音を出したいですからね。開店した頃はあんまりアマチュアのお客さんは居なかったのですが、最近プロの方々も景気が悪くなり、やはりアマチュアのお客さんにもたくさん来てもらいたいと思い、ちょうどインターネットも盛んになったのでそちらにも力を入れてます。

PCI:F Sugarさんのサイトはたいへん人気がありますよね。海外からのアクセスも多いそうですね。

佐藤:エフェクターが流行り始めた頃、音を出してサイトで聞かせてあげれば喜ばれるんじゃないかと思ったんです。やってみたらこれはたいへん好評でした。

PCI:エフェクターの音源は私達も時々チェックさせて頂いています。サイトの更新はどなたがやってるんですか?

佐藤:うちの吉田です。

PCI:吉田さんはいつからF Sugarさんにみえるんですか?

佐藤:彼はバンドをやってて、前の会社の時のお客だったんです。この店を始めた時にちょっと手伝いを頼んでそれからずっと居てくれてます。

PCI:吉田さんはリペアも出来るし、お客さんの評判もたいへんいいですよね?

佐藤:なんでもやらしちゃうんで、出来る様になっちゃうんですよ。プロの人達はいつも時間が無くて、「明日使いたいんでこれなんとかしてくれ!」とかいう急ぎの要望が多いんです。楽器ってちょっとしたことで音が出なくなったりするじゃないですか。その辺の対応をすぐやってあげるうちに我々も仕事が早くできる様になりますよ。

PCI:今でもお客さんはプロの方々がほとんどなんですか?

佐藤:プロの方は多いですけど、アマチュアのお客さんも最近かなり増えて来ました。

PCI:年齢層は高いんでしょうか?

佐藤:高かったんですが、最近は若い人も増えて来ましたよ。やっぱりインターネットのおかげだと思います。 

PCI:今活気のある主力商品はなんでしょうか?

佐藤:今は高い物が動きにくく、本体物は厳しいですね。やはりエフェクターが調子いいです。それからケーブルとか小物も好調です。 

PCI:リペアの方はいかがですか?

佐藤:リペアは結構忙しいです。安く早くやっていますので。別にそれで食べてる訳じゃないんでお客さんへのサービス部門としてやっています。

PCI:PCIサイトの読者にF Sugarさんのポリシーなどを語って頂けますか?

佐藤:本当に良いものを買って頂きたいということに尽きます。物が氾濫しているので、無駄な物やとんでもない物を買わなくてもいい様に、本物だけをちゃんとお客さんに伝えて行きたいと思っています。もちろん音っていうのは好みなんで、一概に決めつけることは出来ませんが。こちらも勉強して色々試した所で良い物だけを置く様にしています。売れるからと言ってなんでもかんでも置かないというのがポリシーです。 

PCI:中古やビンテージ物も扱っていますか?

佐藤:若干置いています。あえて仕入れてるんじゃなくて、ミュージシャンの皆さんが持っている物を売りたい時に紹介する程度です。だからうちで良いものが出ると安いですよ。それで儲けようと思っていませんし、プロミュージシャンも「これ使ってないし安くていいから誰かに弾いてもらった方がいいんだよ。」という人が多いんです。 

PCI:地下にはたくさんアンプが置いてありますが、最近のアンプについてはどう思われますか?

佐藤:最近色々なアンプが増えましたがなかなかこれだという物は少ないですね。動く物はデカイスタック系のマーシャルとか、あるいは小さな18ワット程度の物とか両極端ですね。そんな中でDr. Z Ampはなかなかいいですね。最近のアンプの中では久々のヒットじゃないですか?

地下のアンプルーム

PCI:そうですね。Dr.Z Ampはアメリカでも火がつきましたね。エフェクターの販売が好調だそうですが、どんな物が今お気に入りですか?

佐藤:エフェクターも乱立ぎみで、特にこれと選ぶのは難しいですね。ひずみ系というのは好みで色々あっていいと思います。お客さんに色々な選択肢を提供するために結構たくさん扱っていますよ。そんな中でAC Booster, RC Boosterは使いやすいエフェクターなので最近大好評です。余分な色をつけずにギターやアンプの本来の音を活かしてくれるので気に入っています。だからプロの評価も高いんでしょう。値段も、手作りでしっかりしたアメリカ製のわりにリーズナブルですからね。 

PCI:ケーブルとかパーツ、小物は如何ですか?

佐藤:ケーブルは基本的にうちはベルデンしかやってません。ベルデンについては、正直言って日本ではやらしたのは僕じゃないかと思っています。 

PCI:いつ頃からベルデンケーブルに注目されたんですか?

佐藤:もう20年も前から、まだ日本でどこもやっていない頃ベルデンケーブルを売ってました。 ギターケーブルとしてだけじゃなくて、放送局向けにマルチケーブルもたくさん売ってましたよ。特にTBSやNHKには結構売りましたね。 

PCI:ベルデンケーブルのどこが良かったんでしょうか?

佐藤:とにかく丈夫だってことです。当時は音がどうのこうのより耐久性が重要でした。ベルデンケーブルはジャケットが堅くて何年使っても大丈夫だったんです。ギターケーブルにしてもその頃はロンドンブーツなんか履いて平気で踏んづけるという時代で、柔らかいジャケットのケーブルだとすぐイカレちゃったんです。ベルデンケーブルはどういう使い方をしても平気だったですね。

PCI:最近はサウンドの面からもベルデンケーブルは見直されていますね。 

佐藤:やっとね。(笑) ベルデンはケーブルの供給しかしていなかったので、楽器屋さんにはギターケーブルとしては商品が無かったんです。だから楽器業界ではあまり売られていなかったんですね。でもプロの間では昔から結構皆が使っていたんですよ。僕がケーブルを調達してシールドとかを作っていましたからね。今でもベルデンしか使ったことないっていうプロのミュージシャンが結構いますよ。(笑)

PCI:その他、小物はどんな物が売れますか?

佐藤:うちの場合オリジナルピックがたいへんよく売れます。お客さんのオリジナルデザインのピックを結構安く手配しているんです。

PCI:それは耳寄り情報です。ちょっと話が飛びますが、F Sugarさんの名前の由来はなんでしょう?

佐藤:バカバカしい程単純なんです。僕の名前がFuminori Satoなんで、ファーストネームのイニシャルFとラストネームのSato→佐藤→砂糖→Sugarと英語にして、F Sugarとしただけなんです。深い意味はまったく無いんです。(笑)

PCI:なるほど!(笑) でもゴロがなかなかいいです。 F Sugarさんのセールスポイントに戻りますが、リペアについては如何ですか?

佐藤:最近よく他の店でリペアをやってもらったという楽器を持ち込むお客さんが多いんです。驚くことにとんでもないセッティングの物がよくあるんですよ。

PCI:そういう話は最近本当に多い様ですね。

佐藤:リペアの学校を出て本だけ読んでやってきたという人が結構居るそうです。メジャーで測ってどうのこうのという理論より、楽器という物のリペアは経験が必要なんです。最近リペア屋さんというのが別によくできてきましたが、本来は楽器屋さんがリペアまでちゃんとやるべきだと思います。

PCI:ギターは使う人それぞれによって好みも違いますからその対応も難しいのでしょうね。

佐藤:確かにね。セッティングとかでも弦高一つ取っても、人によって1本1本違うはずなんです。それを本に書いてある寸法を見て、メジャーで測ってセッティングしていちゃダメです。弾いてみて、そのお客さんに一番しっくりくる様に調整してあげる必要があります。いいセッティングをしてあげれば弾きやすくなり、いい音も出ます。

PCI:家電の安売り店の様な楽器屋さんが多過ぎるという話をミュージシャンの方からよくお聞きします。

佐藤:そうですね。楽器を売るのであれば、その場で簡単なことは直してあげる様なお店でなきゃダメだと思います。僕はリペアの学校も行ってないですが、とにかく実践だけで覚えて来たことでサービスしています。

PCI:前の会社にみえた頃からずっと実践でプロミュージシャンと仕事をされて来た訳ですね?

佐藤:そうですね。プロミュージシャンが突然やってきて「今日レコーディングあるんだけどネックの調子が悪いのですぐ直してくれる?」みたいな話はしょっちゅうでした。 

PCI:待った無しですね。

佐藤:とにかく即なんとかしなくちゃいけないんです。すぐその場でね。そういうことをずっと積み重ねて来たんです。

PCI:それが今のF Sugarさんの強みですね。では佐藤さんご自身のことを少し聞かせてください。ギターは弾かれますか?

佐藤:まぁー 好きでずっとやってます。

PCI:最初はどんな音楽から始めたんですか?

佐藤:最初に入ったのはやっぱりベンチャーズです。世代から言うと。(笑)

PCI:バンドもやってたんですか?

佐藤:そうですね。ロックはずっとリアルタイムで来てますよ。今聴く音楽のジャンルはもう色々ですけどね。

PCI:お付き合いするプロミュージシャンの方々の音楽も千差万別ですからね。

佐藤:プロミュージシャンのお客さんが多いので、あんまり好きじゃない物でも聴かなくちゃダメなんです。分ってないと全然話が見えないんで。(笑)

佐藤店長と吉田さん

PCI:今後の新しい展開とか何かお考えですか?

佐藤:自分の納得の行くエフェクターが少ないので自分で作ってみようかと思っています。でも、うちの場合それを量産してバンバン売るつもりはないですけどね。

PCI:それは楽しみですね。我々でお手伝い出来ることがあればご連絡下さい。今日はお忙しい中ありがとうございました。(9/18/2003)

F ・ Sugar
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