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2001年9月12日

第3回:ティナ・マリーとわたし

ティナ・マリーといえば、R&Bの歌える白人といわれて70年~80年代に活躍した女性シンガーだ。 “SquareBizz” “Portugese Love”など数々のヒット曲をとばしアルバムの数も12枚をこえている。ひょんなことから私はそのティナのキーボード奏者として今年の7月から仕事をすることになった。とはいえ、先月のコラムにも書いたようにずっとさだまさしかジャズしか聴いていなかった私なので、実際ティナのライブテープをもらった時、前14曲中知っている曲が2曲というのがちょっと恥ずかしい事実であった。
  初仕事はニューオーリンズのエッセンスという大きなフェスティバルで7月7日(七夕)の日だった。こんなことをいったら、本人からおこられるかもしれないが(まぁ日本語だからいいか。)エッセンスの本番であまりにもたくさんの人が「ティナー、ティナー!」と叫んでいるのを見て私はとっても感心し、 “ティナ・マリーってたくさんのファンがいるんだなぁ”と、しみじみ思ったのを覚えている。本当のところ彼女がそんなにたくさんの人の前でショーをすることも知らなかったし、これはまさに期待がいい方に裏切られた結果になった。
  冒頭でもいったように、R&Bの歌える白人というだけあって客層はほとんど黒人が多い。それも女性。ティナのバラードはいろいろな女性の気持ちを歌い込んだものが多いので、バラードになるとみんな“うん、うん”とうなずきながら聴いている。このエッセンスフェスティバルの会場は大きなドームになっていてステージ上の巨大スクリーンにコンサートの模様が映し出されるようになっていたが、私は、コンサートの後半にソロをとったときに自分が超どアップで映っているのを見て思わず目をむいてしまった。といいつつかなりうれしかった。

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サウンドチェック中のステージの様子

メンバーは、ミュージックディレクターのダグラス・グリスビー、フィラデルフィア出身のすごくファンキーでパワフルなベースを弾くおっちゃん。パメラ・ウィリアムス、超美人の黒人のおねえさん、すごくソウルフルなサックスを吹く。モリス・オーコーナー、さすがスティービー・ワンダーのギタリストだけあって幅広いジャンルの演奏が出来る人。サウンドチェックの時にジャイアントステップスをさりげなく弾くのがかっこいい。その他、ドラムはジェフ・サドルズ、ピアノのジミーに、パーカッションのダレル。そして極めつけはバックコーラスの3人。この3人が揃うと部屋中の色がローズ色に変わりお色気むんむんになる。ティナが用意してくれたお揃いの衣装でショーにのぞんだ。

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左からリリー、トレイシー、ディーディー。
お色気むんむんの3人に私もたじたじ

ティナの印象はやっぱり大スターとして君臨していただけあってかなり気が強そうだなと思った。ビブラートのきいたソプラノでばんばん歌いまくる。私はまだバンドに入って日が浅いので彼女の人となりについてはあまり細かいところまで話せないけど、彼女もわたしと一緒で9歳の子供が一人いて、シングルマザーでがんばっているのだ。

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もうすっかりおばさんだけど、とてもチャーミングなティナ。 声は若い時のままパワフル!!

ティナとの仕事は私にとって確実にステップアップといっていいだろう。理由が2つ。まず1つは本番前にスタッフの人から「ステージでは何を飲みますか?」と聞かれること。水以外にチョイスがあっただなんて。といっても私はめったにお酒を飲まないのでいつも水ばかりだ。ほかのバンドのみんなはワインやらシャンペンやら飲んでけっこう盛り上がってるけど。2つめは、キーボードの指定したモデルのものがサウンドチェックに行くときちんとセットアップされているということ。テックの人がしっかりしているので、その辺の心配は全くないというのは私にとっては頭痛の種が1つ減ってうれしい限りなのだ。
  ティナとはこの10月12日にロスのUniversal Amphitheaterで、また13日にはサンフランシスコでコンサートがある。近くの方ぜひ遊びにきて下さい。いろいろエピソードは尽きないけど今回はこんなところかな。また来月のコラムを楽しみにしていてくださいね。

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それではまた来月!
ダグラス・グリスビーとモリス・オコーナーと一緒に、
口にくわえたシガーはただのかっこつけです

投稿者 admin : 10:41