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2006年07月27日
第33回 努力を怠らない事
皆さん、お元気ですか?真理です。
ロサンゼルスは連日40度の暑さで、
家にクーラーをつけた事のない私にとって、
大変厳しい毎日となっています。
サウナの中にいるような感じ、という例えでも追いつかないほど。
そのため、私はキッチンにあるストーブ(料理用のコンロ)を
買い換える事にしました。
なぜなら、我が家にあるガスコンロは、たぶん
この家を建てた家主が家を建築した当時(1940年代)に
取り付けたと思われるアメリカ1のアンティークで、
いわゆるパイロットライト(種火)が一年中つきっぱなしの代物。
今までも、夏がくる度に(暑くて仕方ないなあ。)
と思って来た私ですが、
この異常とも思われる暑さで、私は買い換えを決意しました。
今では、家を何ケ月も空けるケースは少ないにしても、
今回2週間ほど日本にいた際も、実はその種火の事が気になって
仕方ありませんでした。
そのストーブの左となりが、
私の音楽のミニスタジオ=ワークステーションなので、
器材もあたたまってしまいますし、これを書いている今も
暑くてヒーヒー言っています。
新しいガスコンロは500ドル弱で買えました。
一番シンプルなものを選びました。明日の配達が待ち遠しいです。
さて、7月の9、10日に、
私は約1年半ぶりに東京は渋谷のクアトロでライブを行いました。
沢山の方々に足を運んでいただいて、本当にありがたかったです。
実は、直前までなかなかセットリストが決まらず
どうしようかと思っていました。
マネージャーの方から、”英語曲を控えめに”
というリクエストが来ていた事。
それから、現在ニューアルバムの制作中で、
アルバム完成に達していない
微妙な時期のライブである事。(ニューアルバムは英語がベース。)
過去リリースして来た19枚のアルバム達の中から
あまり歌いたい歌がなかった事。
結構うなってしまいましたね。
それでも、なるべくお客さんよりの選曲をと、
私なりに頭をひねった結果が今回の曲目となりました。
Mari Iijima Live in Tokyo 2006
1 Broken Computer
2 Anticipation
-talk-
3 ひとりぼっちが好き
4 ガラスのこびん
-talk-
5 今は
6 セシールの雨傘
-talk-
7 December
-talk-
8 私の彼はパイロット
9 愛おぼえていますか
10 Blueberry Jam
-talk-
11 Oh, England, My Lionheart
12 名前のないアベニュー(1日目) 瞳はエンジェル(2日目)
13 Fly Back To The U.K.
-talk-
14 The Most Beautiful Thing
-talk-
15 Forbidden Rain
アンコール
16 I Love Youは言えない(1日目) ガラスのダーリン(2日目)
セカンド アンコール
17 The Power Of Your Love
秋発売予定のニューアルバムからの曲達も
ご披露させていただきました。
1985年にリリースしヒットしたシングル、
”セシールの雨傘”は、
その当時のコンサートツアー以来
歌っていなかったかもしれない曲で、
キー(音程)をどのあたりにしたら、
今の自分が気持ちよく歌えるかなど
考えながら、今回のライブ用に新しくアレンジ、
レコーディングして会場に持ち込みました。
実は、日本へ発つ前の晩まで、
音程をオリジナルのキーからいくつか下げた状況で
アレンンジして録音したトラックを用意してありましたが、
前の晩歌ってみてどうも感じがしっくり来なくて、
勇気を出して思いっきり1985年の
オリジナルキーに繰り上げてみたら、
何と、一番声に艶があるではありませんか!
なので、出発日の明け方まで、
全てのトラックを録音し直していました。
声がかわる事、失う事の恐怖ととなり合わせで
生きている私にとって
(たぶん、長く歌っているシンガーはみな考える事だと思う)、
胸にぐっとくる嬉しい発見。
もう少し自分に自信を持っていいんだなって。
最初から怖がったり控えめに進む必要は
ないのだという事がわかりました。
おかげさまでライブはいい手応えが得られ、
お客様も皆さん楽しんで帰られたようで、
また次へのチャレンジへの一歩となりました。
一人のアーティストを、20年以上もずっと好きで
いつづけるというのは大変な事。
会場には、私がデビューした時から
ずっと応援して下さっている
人々の顔ぶれも多く、何てすごい事なんだろうと感嘆します。
継続は力なり。
これはアーティストの私にも、
応援して下さっている皆さんにも当てはまる事。
ステージ上で輝きながら生き生きと歌えるのは、
皆さんからのエネルギーが私の太陽だからです。
私が本番に強い理由はそれ。
だから、皆さんに、本当に心から感謝しています。
帰国すると、何だかんだと忙しくなってしまうもの。
久しぶりに友達と顔を合わせたり、もちろん、
両親との時間を大切にしたり、
そのほか、仕事の打ち合わせとかも入ります。
子ども達が今年の秋から高校3年生で、勉強の方も
シリアスになってくるので、夏休みに親子三人で
ゆっくり日本に帰れるのも、今年が最後かしら、、、
と思い、今回は2週間ほど日本に滞在しました。
滞在中のお楽しみの目玉は、
18日に行ったCOLDPLAYの武道館コンサート。
彼らのライブは、数ヶ月前に一度ロスで観ているので、
長いツアーの最終地である東京でのライブが
どんなものになるか興味津々でした。
開演直前、クリス マーティンの奥さんである
女優、グウェネス パルトロウが
長女アップルちゃんを抱いて
客席入り。すぐ隣を歩いて行ったので、
私の子ども達もちょっとびっくり。
コンサート自体は、
ロスのコンサートのスモールスケールバージョンというか、
やはり、長いツアーで疲れも出ているし、
セットリストにもう飽き飽きしているかも
しれないし、何というのかな。
ちょっと流してやっている感じがしたかもしません。
でも、私が思わず涙ぐんでしまったのは
彼らが"Trouble"(トラブル)という楽曲を演奏した時。
音楽が宇宙と一体化する瞬間というのが、
自分がステージで演奏している時もあるのですが、
あの曲は、ボーカリストのクリスにとって
そういう瞬間だったのでは。
力の抜けた、気持ちのこもった、透明なパフォーマンスでした。
私はグループの中では、ドラマーの
Will Champion(ウィル チャンピオン)が好き。
何故?と言われても、こればかりは
何と答えていいかわからないなぁ。(笑)
ごっつい感じの人ですが、
もしかしたらとても繊細な神経の持ち主かも
と思わせるのです。彼にとって、
ドラムは彼の最初の楽器ではなく、
バンドにドラマーが必要という事になり、
急遽彼が叩く事になったという事。
ピアノをはじめとする楽器全般に才能があり、
歌もとっても上手。
でもドラムを叩くときは、木こりさんのように、
脇目も触れず豪快にビートを打ち出します。
ちなみに彼は既婚者なので、心がハート型になっちゃうような
好きになり方は、最初から控えております。(笑)
先週ロスへ戻り、たった2週間ほど家を空けただけなのに、
ロスでの生活に慣れるのに時間がかかっています。
あまりに静かで。誰からも電話がかかってくるわけでもなく、
(ああ、ここで私がひとりぶっ倒れていても、
誰も気付いてくれぬままミイラになってしまうかも。)
という懸念が、再び頭を横切りました。
(息子は”Mom, ロサンゼルス警察が気付いてくれるよ。”
とさらっと言いました。これでは、何の慰めにもなりません!笑)
日本にいる時は、
皆さんにスペシャルな気持ちにさせていただき、
その気持ちを引きずったままでこちらへ帰ってくると、
パンチ!という感じ。
ここ数日、私は機嫌が悪くて、必要のない喧嘩を
子ども達に売ってしまったり最悪でした。
彼らは今日から、彼らの父親の家族と共にハワイへ。
私はロスにぽつり。
別れの瞬間は辛かったけど、
最近私は気持ちの切り替えが早いので
何とか乗り切れそうです。
今日から、ヴォーカル レッスンに戻りました。
まだ疲れも完全にとれていないし、ここのところ、
ちょっとデレデレしてしまっていたので、
声が思うように転がらず、コーチのリズに
”ちょっと怠け過ぎじゃないの?
休むのも大事だけどいい加減にしないとね。”
と言われてしまいました。涙がぽろぽろと出てしまった。
(ステージではあんなに気持ちよく歌えて、
沢山の方々からお褒めの言葉も
いただいたのに。)
コーチのリズは、言いたい事をずばずばと言う性格だし、
私の作ってきた音楽の歴史や私のアーティストとしての
ポジションなどは全くおかまいなしなので、
たまに、”お願いだから、もう少し大切にして下さい!”と
言いたくなってしまう時があるのだけど、
声が出ない時は、私の自己管理に問題があるという事なので、
言い訳は禁物ですね。
でも、私の涙を見たら、彼女もちょっとやさしくなって、
”声というものは、そういうものなの。
状況によって常に変わるんだから。
いちいち繊細に気にしすぎたらいけないわよ。
飛行機で空を飛べば体が浮腫むのと同時に
声帯も浮腫むものだし、
体に水分が不足していれば、それもすぐに影響するしね。”
私が ”でも、どんな声のエクササイズにもぐらつかず、
どの音も、毎回スムーズに転がせる人も世の中には
いっぱいいるんでしょうから。”と言うと、
”だから何だと言うの?
そういう人たちにはそういう人たちが抱える
別な声の問題や悩みがあるものなの。”と言ってくれて、
少し胸がほっとしました。”疲れた、疲れた。”と言って
自分に甘くなって練習を怠るのは良い事ではありません。
また明日から毎日、発声の練習に励みます。
アルバム制作の追い込みにも入ります。
しかし、暑いデスーーー!
皆さんも、夏バテしないように、水分を上手に補給しながら
夏を乗り越えて下さいね。
イイジマも努力努力で前に進みます。
最後に、ロス近郊でのライブスケジュールをお知らせします。
I'll perform during this year's Nisei Festival
in Down Town L.A. on August 12
between 4-6 PM
at the Mitsuwa Store in Little Tokyo
333 S. Alameda St.,
Los Angeles, CA 90013
(213)687-6699
Visit Mari at www.marimusic.com
7月26日 ロサンゼルスより
真理
Photo by Fumihiko Nojima
ライブ終了後、ファンの皆さんと
那須へ一泊2日の旅行をしました。
参加して下さった方から届いた写真を
掲載させていただきます。
他にも、写真を送って下さる方がいらっしゃいましたら、
追加しますので、気兼ねなくどうぞ。:)
The Coldplay at Budoukan
写真撮影禁止と言われたけど、みんな携帯で
撮りまくっていたので私も便乗。
私のデジカメの性能は今いちなので
ぼけぼけ写真が多かった中、
この写真は結構面白く仕上がったかな。
左側に妖怪人間青ーいクリスが!
本当は、もっと前の席を期待して行ったのだけど、
ステージからの距離はこんな感じでした。
これが私のアンティーク料理コンロ。
手前が引き出しのように中へ押し込めます。
オークションに出したらもしかしたら
高値がつくかもしれないけど、
明日、配達やさんに持って行ってもらっちゃいます。
16年間、これで料理して来たので
ちょっと淋しいけど、バイバイ。
投稿者 mari : 2006年07月27日 16:37