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2005年4月26日
第29回目:音の洪水
子供は、あれよあれよという間に大きくなるものだ。
ここ数週間、それを実感している。
私の息子たちは、少年の域を越えて青年に成長した。
そしてもちろん、彼らはミュージシャンズである。
音楽をやる両親から生まれて来たのだから、
その要素が彼らの中にあるのは、自然な事と言えるであろう。
約10分の間隔を置いて生まれた二卵性双生児。
音楽の方向性も全く違う。
私が、自分以外の二人のミュージシャンと同居したのは生まれて初めてで、
正直言って、これがかなり、、、、、(咳払い)忍耐のいる事である。
私の家は、こじんまりとした2ベッドルームハウス。
キッチン、バスルームが2つ、
それにプラス大きめのリビングルームといった具合である。
どちらかというと、
大きなリビングルームの中で部屋が区切られているような感じで、
どの部屋も近距離にありつながっている。
何と、我が家には4つのパソコンがあり
(ちなみにアップル3台、ウインドウズ1台)、
子供たちが高校から帰って来ると、彼らはそれぞれのパソコンの前に座り、
それぞれの作業を始める。そして私も、多くの時間をパソコンの前で過ごす。
子供たちが小さかった頃は、私は自分の音楽を作り、
そして自分の好きな音楽を聞いていればよかった。
ところが、だ。
今は私達3人が、それぞれのパソコンの前で音楽を作り、音楽を聞いている。
これは私にとって、人生最大のチャレンジかもしれない。
普段の私はとっても静かで、あまり外に出かける事もなく
電話も得意でないので、ひとり平和に過ごす。
音楽に接したい時とそうでない時がはっきりしていて、
そういう意味では、音楽と称するものを耳に入れない時間もかなり多い。
反面、たとえばあるバンドに夢中になると、彼らの音楽を繰り返し、
まるで恋におちたかのように聞く。
そして、自分の好みでない音楽はパスする。
アンディーはジャズ系を。ライアンはヒップホップ系を。
そして私はポップスを、それぞれのパソコンで作曲する。
みなヘッドホーンを使わないので、家の中は音の洪水になり
最終的に私は悲鳴をあげる事になる。
(その上、テレビまでついている。絶句。)
ライアンは、最近John LegendというR & Bアーティストに傾倒していて、
彼は私に、どうしてもその人の音楽を好きになって欲しかったのだが、
私の心は、なぜだかピンクに染まらなかった。子宮にぐぐーっと来なかった。
それをライアンは気に入らなかった。
”人の気持ちや好みをコントロールする事は出来ないんだよ?
音楽でも映画でもそう。人の好みも尊重して、分かち合う事を覚えなさい。”
ゴキゲン斜めの彼の耳には私の言葉は届かない。
彼は50Centとか、いわゆる今流行りのヒップホップが大好きで
私にどうしても!と言って聞かせるのだけど、
楽曲のベースラインとかがよほど私の好みでない限り、
私はなかなか" I like it. "とは言えない。
彼にとって私は”ヒップホップのわからないかっこ悪いかあちゃん”
にうつるかもしれないが、こればかりは好みの問題だから仕方ない。
ある日、やはり音楽の事で彼と口論していた時に、
彼は私が人種差別主義なのじゃないかと言ってきた。
その時ばかりは、私も腹が立った。
例え相手が自分の子供とはいえ、ちょっと許せない思いだった。
”あなたが好きな2組のアーティストを私があまり好きじゃなかったからって、
あなたはマミーにそういう事を言いわけ?”
はっきり言っておくけど、私はそんな人じゃない。
いろいろな友達がいて、それぞれの個性を尊重する。
肌の色が違っても、相手のセクシャリティーが違っても。
それを一番知っているのは私の子供たちのはずなのに、ほんと、悲しかった。
それにしても、人種問題を持ち出すなんて、
O.J.やマイケルの裁判じゃあるまいし、やっぱりアメリカの子なんだ。
そこで忘れちゃいけないのは、私の息子たちは今15才で、
いわゆるピューバティーというのを経験している最中。
(まあ、日本語で言うと、思春期なのかしら?)
身体の成長が著しい中、心はまだ半分子供で半分大人のような、
もうお母さんなんか必要ないと言いたいけど、でもいなくなられては困る、
そういうホルモンがもんもん騒ぎ立てている時期。
だから私も、一緒になってまともに喧嘩してはいけないの。
でも純な私は(笑)、傷つくときは、
相手が子供でも真っ正面から傷ついてしまうんだなあ。
私、Neptunesが大好き。
彼らは、いわゆるアフリカンアメリカン(Pharrell Wiliams)と
アジア系アメリカ人(Chad Hugo)で形成されたグループ。
それに、今さっきもスティービーワンダーを聞いていた。
何故かというと、夕べライアンに再びJohn Legendを聞かされて、私はとっさに
”あなた、この人がそんなに好きなら、この人のオリジナルともいえる
スティービー ワンダーを聞いてみたら?”と言ったから。
それで、今スティービーの名曲をまとめて、ライアンにCDを焼いてあげていた。
もうひとりの息子、10分おにいちゃんであるアンディーは、
ジャズ+フュージョン系の音楽を作るのが得意である。
彼はとってもまじめな人なので、
あまり考え過ぎないように、頭の中に入り込み過ぎないように、
気の向くまま音楽を作ってね!と言ってある。
ピアノを使いながら作曲をする時のウイークポイントは、
指癖(コード癖)に、楽曲が規制されてしまう可能性がある事。
だから、浮かんだメロディーを大切に、あまりコードにこだわらず、
そこから音楽を広げていくといいよと、アンディーにはアドバイスをします。
家の中の音の洪水に関しては、まだ現役音楽家の私にとって大きな問題なので、
本格的にまいってしまう前に、何とか音楽作りの環境をオーガナイズしようと、
今ガレージを真剣にお掃除中です。
ところで、久々に、大手レコード会社から私のCDsが発売になった。
”Mari's Picks Ultimate Collection "と言って、
いわゆるグレイティスト ヒットアルバムであるが、
実は私が所属した2つのレコード会社(ビクターとワーナー)
から、それぞれお違った内容で4月20日に発売された。
今年の初め、(さて、今年はどうやって生き残って行こうか。)と
ひとりじっと考え込んでいた夜、ワーナーでずっとお世話になっていた
バイスプレジデントの石原孝氏から突然電話が入り、
今回の企画を伝えてくれた。暗がりにきらめいた一筋の光のようだった。
そして、1990年に私がロスのミュージシャンを引き連れて行った
東京でのライブの模様が収められた映像 サムシングスペシャル”が
DVDとなり、同日再発売された。
これには、秘蔵のPVや、
昨年行われたロスでのライブの模様もボーナスで収められており、
かなり楽しめる内容になっている。
関西で大変な電車の事故があり、心が痛みます。
人の心は非常に繊細なもの。
ストレスをため過ぎないように、自分をねぎらいながら生きて行きましょう。
それでは次回までお元気で!
4.26. 2005 Mari
追伸 :次のロスでのライブは、
6月18日ハリウッドにあるホテルカフェにて8時からです!
写真は、3月19日、東京でのライブの舞台そでにて
アンコールでステージに戻る直前の私と
私の様子を見に来た子供たち(^^)/
Photo by my stage manager
(真理さんのサイトはこちらまで)
投稿者 admin : 2005年4月26日 11:43