Steve Lukatherインタビュー (5/5)
PCI:それでは、機材についても幾つか質問が来ていますのでお伺いします。ラリー・カールトンとの日本ツアーを見た読者からの質問ですが、キャビネットの数が3コから6コになっていたとの事です。 あれは予備ではなくパワーアップですか? LUKE:あれはパワーアップだよ。 生音を大きくするためさ。 PCI:ステージでの中音はかなり大きいんですね? LUKE:大きいよ。Very BIGだよ。 PCI:読者からですが、「日本ツアーでは、ブルーノート以外でも公演されました。 札幌、盛岡、仙台の3カ所でしたが、このうち2カ所は大きなホールでしたよね。 どこか印象に残った場所はありますか? 私は東京と盛岡の両方で見ましたが、盛岡のライブは最後に拍手すら出来ないほど神聖で感動的なものでした。」 LUKE:有り難う。 日本の会場はどこも素晴らしかったよ。 どのステージでもベストを尽くしてるしね。 PCI:アーニーボール(Musicman )のLUKEシグネチャーモデルの発売に至った経緯を教えて頂けますか? LUKE:1993年にスターリン・ボール(Sterling Ball )というオレの親友でもあるんだが、ミュージックマンのオーナーがオレのギターを作りたいって言ってきたんだ。 それでよしやろうという事になった。 それまでオレのギターを作ってたValley Artsの職人ダッドリー・ギップルがミュージックマンへ行く事になったんで、結局同じ人間がずっとオレのギターを作ってくれた訳さ。ちょうどその頃、スターリンはエディー・バン・ヘイレンのギターを作っていてオレもヘルプしたんだぜ。 その後、何度も打ち合わせをして色んなプロトタイプを作って、最終的にこのルークモデルになったんだ。 スターリン達がどれだけ真剣にこのギターを作ったか、楽器屋へ行ってルークモデルを弾いてみればすぐ判るよ。 どのギターもオレの持っているギターと全く同じで素晴らしいんだ。 オレのギターは特別なカスタムメードのアーティストバージョンではない。 日本の楽器屋へふらっと入って、ミュージックマンのルークモデルを持てば、弦のチューニングさえいじるだけでここにあるこのギターと同じ音になるんだ。 ほんとにいいギターだよ。 このギター製作にオレの名前を使ってくれて誇りに思うよ。 また実際オレも儲かったしね。(笑) 普通シグネチャーモデルを作ったって、その時だけで何も起きないじゃないか。 アーティストに渡すやつだけがいいギターって事が多いから。 もし誰かがミュージックマンの悪いギターを見つけたら、金を払ってもいいぜ。 そんなの無いはずだから。 PCI:Valley Arts のギターも、あなたのイメージの一つとして多くのファンに焼き付いている様ですが、現在でもCherryやROBOTなどのValley Artsギター はお持ちですか? LUKE:今は使ってないけど持ってるよ。 日本のファンでオレのギターを売ってくれっていう人がいるんだけど、好きだった楽器は愛着があるんで出来るだけ持っていたいんだ。 まあ、とんでもない馬鹿げた値段で買ってくれるんであれば、娘が車欲しいって言った時に考えてもいいけどね。(笑) PCI:あなたは長いことEMG のピックアップを愛用されていますが、どのような所が気に入っているんでしょうか?80年代、一声を風靡した時にEMGを使っていたミュージシャンも、90年代に入るとパッシブタイプのピックアップへと移行していってる人が多いのですが? LUKE:とにかくオレに合ってるんだな。 スターリンが色々なピックアップを試させてくれたけど、結局EMGが良かったんだ。 オレの指のタッチとか、要はオレに合ってるんだ。 勿論、機材との相性やノイズ問題も関係してるけどね。 PCI:読者からの質問ですが、PCM70を2台Delayとして使っていらっしゃいますね? 独特のDelay音はあなたの音創りの中でも重要な要素だと思いますが、PCM70の魅力について教え頂けますか? LUKE:あらゆるDelayを試してみたんだけど、結局ほかのは気に入らなかったというだけさ。 最近ではほとんどエフェクターを使わず、このDelayが唯一のよく使うエフェクターと言ってもいいね。 だからオレのシステムはシンプルだよ。 3チャンネルのアンプに2つのDelayを使うか使わないか、そして、時々Vibeを使う事がある。 それだけさ。 PCI:Black Cat Vibeは今でも使われてますか? LUKE:ああ、ボブ・ブラッドショーが作ってくれたやつね。 PCI:スコット・ヘンダーソンはBlack Cat Vibeのコーラスが気に入って使っていると言ってましたが、あなたはどのような使い方をしているのでしょうか? LUKE:Vibeとして使うね。 スコットも素晴らしいギタリストだ。 PCI:以前はポール・リヴェラが改造した、コーラス、CE-1を使っていましたよね? LUKE:ああ、それは100年以上前の話だよ。 コーラス自体あまり好きじゃないんでもう使わない。 PCI:アンプについてですが、ポール・リヴェラのアンプを使ってみえますよね? LUKE:もう一切使わないことにした。 PCI:何かあったんですか? LUKE:30年も付き合って来たのに、彼はオレのアイデアを自分のものとして、自分の名前でパテントを取ったんだ。 オレはあまり敵は作らない方だし、たいがいの事は許す。 誰でも間違いは犯すもんだから。 でもこういう裏切りは許せない。だけど彼はオレを裏切ったとは思ってないんだ。 それが最も信じられないことさ。(PCIコメント:本件については、ルークのインタビューの後ポール・リベラ本人にも聞いてみましたが、リベラ側の主張は全く異りました。 PCIとしては、本件が円満に早期解決される事を祈っております。2002年2月14日) PCI:それでは、Doves of Fireの日本ツアーでは何を使うんですか? LUKE:まだ決めてないけど、多分ブラッドショーになると思うよ。 間に合わなければあるいは名前を隠して今のアンプを使うか。 PCI:もし新しいアンプも試す機会があれば、最近ディーン・パークスが購入されたDr. Zアンプなんかを試してみてはどうでしょう? LUKE:彼がいいと言うんならいいアンプなんだろうな。 今度スタジオで会おうよ。 試させてくれ。 彼は偉大なギタリストだ。 スティーリー・ダンでのプレイは本当に良かったよね。スタジオワークをやってる頃よく彼の横に座って色々なことを教わったよ。 本当に尊敬している。 人間的にもあんないい人には会ったことがない。 ギタリストの中では本当に有名な人なんだぜ。 スタジオプレイヤーの中のスタジオプレイヤーだ。 PCI:ジェイ・グレイドンも、ディーンのおかげでスタジオプレイヤーとしてのドアが開かれたと言ってました。凄い人なんですね。今日はレコーディングでお忙しい中、長い時間有り難うございました。 今度は是非スタジオでお会いしましょう。
(その後、見晴らしのいいルークの自宅の庭でギターを持って撮影。 再婚するに伴い近いうちに引っ越しするそうだ。 44才でまだ乗りに乗っている熱いギタリスト。 率直に今の気持ちを多く語ってくれました。 色々な意味において今後目が離せない人です。)
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