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Steve Lukatherインタビュー (4/5)


ギタープレイについて

PCI:それでは次に、読者からあなたのギタープレイについて幾つか質問を預かってますのでお聞きします。 あなたのギターフレーズというか表現方法は、日々進歩、変化しています。 ある読者は、現在であればジェフ・ベックの影響が濃厚だと言っています。 80年代、スタジオワーク最盛期のあなたのよりどころはどこにあったのでしょう。

LUKE:やはりラリー・カールトンやジェフ・ベックなどのギタリストの影響が大きいね

Photo by Taro Yoshida (Copyright 2002 Taro Yoshida)  

PCI:あなたのスタイルはラリー・カールトンとバン・ヘイレンをたして2で割った様なスタイルだと言う人も多いのですが、自分ではどう思いますか?

LUKE:よく判らないよ。エディー・バン・ヘイレンは数年オレより年上だけど、多分同じ音楽を聴いて育ってると思うんだ。彼がジミ・ヘンドリックスが好きならオレも好きだし、オレがジェフ・ベックが好きなら彼も好きだと思うよ。 ジェフ・ベックなんかをマネしようとしても、ハートが違うんでなかなかその通りに出来ないんだ。 だからエディーもオレも好きなギタリストのソロなんかを何度も何度もコピーした。 レコードの前に座って、何度も何度もソロのパートを繰り返し聴いてコピーしたもんだ。 うちの両親には、「うるさい、何してるんだよ。 止めてくれ!」ってよく怒られたよ。(笑) 今はそうやってレコードを何度も聴いてコピーなんてしないよな。

PCI:弾き方の本がたくさん出てますからね。 

LUKE:それもそうだけど、最近では弾けることだけを弾けばいいっていう風潮じゃないかい? 必死でコピーして練習して上手くなろうとしてる人は少ないよな。 

PCI:そうかもしれませんね。 あるファンによると、あなたのソロは一瞬のひらめき、それに対してジェイ・グレイドンは、計算し尽くしたソロという認識がありましたとの事です。 頭にひらめく前に指が動くという感じでしょうか?

LUKE:ジェイはグレイトギタリストで、ユニークなスタイルを持っている。 確かに言う通り、彼はスタジオにこもって時間をかけて素晴らしいサウンドを創る。 ライブの時はそうでも無いけど。 彼はスタジオに入ると、とにかく細かく、細かく、細かく、細かく・・・チェックするんだ。(笑) あんな人はあまり居ないよ。 「さあもう一回やり直し、次は50回目。」って何度もやらされるんだ。(笑) まあ、そういう意味じゃオレはどこでも頭にひらめく前に指が動くね。 だからしょっちゅう間違えるんだ。(笑) いいミュージシャンが間違える時は、今までやったことのないことに挑戦してるんだと思ってくれ。 そして何か新しい事を捜そうとしてると間違えるんだ。 それで思い出したけど、オレが17才の頃ラリー・カールトンを見た時、プレー中に弦が切れたんだ。 そしたら彼どうしたと思う? ワイヤーカッターを出して、もう2本の弦も切っちまうんだよ。 そして低音弦3本でビーバップのソロを延々と演ったんだ。 そりゃ観客総立ちで大歓声さ。(笑)ラリーは弦を切るというミスをしたんだ。 だけどそれを逆に新しいチャレンジに利用したんだ。 若いギタリスト達は是非見習わなきゃな。 あのラリーの3本の弦でのソロは一生忘れられないよ。 

PCI:ラリー・カールトンについてですが、うちの読者によると昨年のラリーとのツアーの際、「ヤング・ギター」のインタビューでギター奏法の理論的な部分について答えていらっしゃいましたよね。 そうした発言は今までほとんどなかったとの事です。 ラリーとのツアーで影響されて、いやがうえにも理論に目が向いてしまったという事でしょうか? 

LUKE:もちろんラリーには影響を受けたよ。 彼は天才だ。 ツアーの間中ラリーのギターレッスンを受けたんだ。 毎晩ショーの前と後に。 「ラリー、きょうのレッスンは何ですか。」って、毎回教えてもらってたんだ。 毎晩ホテルで20回のラリーのレッスンを受けたんだぜ。 そりゃ影響もされるし、本当に勉強になったよ。 ラリーのギターレッスンなんてお金払っても受けられないからね。 オレはただで、というかギャラを貰ってレッスンを受けたんだ。(笑) 

PCI:そういう新しい事を学ぼうという姿勢が、あなたのギターフレーズや表現方法を進歩、変化させるんでしょうね。 また読者からの質問ですが、「あなたのパワフルかつ正確なピッキング・指遣いは惚れ惚れします。 似たような弾き方でゲーリー・ムーア(Gary Moore)がいますが、彼についてどう思いますか? 国も違えば、音楽も違うお二人ですが、似通った部分も多いように思うのです。 80年代初頭の頃は、彼は絶対にあなたのプレイに影響されていたと思うのですが?」 

LUKE:去年、ゲーリーとラリーと一緒にモントレージャズフェスティバルで共演したんだ。 メシも一緒に食ったんだ。 実際オレはゲーリー・ムーアのファンなんだ。 ほんとにいい人だし、彼と比較されるなんて誇りに思うよ。 

PCI:他に、マイケル・ランドー、ダン・ハフもあなたのフォロアーだと言われますが、3人はどのような関係でしょうか? 活動を始めた時期は同じなんでしょうか?

LUKE:ダンが活動を始めたのはずっと後だよ。 最初ダンのプレイを聴いた時は、これはオレかって錯覚したよ。(笑)ダンは今ナッシュビルでプロデューサーをやってるよ。 マイケル・ランドーは11才の頃からの友達さ。 一緒にプレイしたことも何度かあるよ。 同じ音楽を聴いて成長してきたギタリストだ。 オレの知っているギタリストの中ではNO.1だよ。 

PCI:今でもよく連絡とるんですか? 

LUKE:もちろんベストフレンドの一人さ。 先日ベイクドポテトで彼が、トス・パノスとジミー・ジョンソンと演ったライブは凄かったね。 感動したよ。 彼はもっと世界中で認められるべきだ。 世界で5本の指に入るトップギタリストだよ。 いつも彼のライブを見ると驚かされる。 マイケル・ランドーは言葉で言い尽くせないほど凄いギタリストだ。 彼と二人で何かプロジェクトやろうと時々話してるんだぜ。 

PCI:それが実現したら面白いですね。 次にジェフ・ベックについてですが、あなたはかなりジェフ・ベックフリークだと思うんですが、一緒に仕事してみてどうでしたか? 

LUKE:実は彼のアルバムをプロデュースしたんだよ。 だけどリリースされなかったんだ。 

PCI:それはいつの事でしたか?

LUKE:1997年だった。 ロンドンのテムズ川のボートの上でレコーディングしたんだ。 ほんとに素晴らしい作品なんだよ。 だけどジェフはそんなに新しくないと思ったのか、気に入らなかったようなんだ。 

PCI:それは幻のレコードですね? 確かジェフと一緒に日本に来ていますよね? 

LUKE:1986年にサンタナとジェフと一緒に行ってるよ。 あっ、その時に初めてサイモンに会ったんだ。 

PCI:そういえば、サイモンが軽井沢でのあなたとのエピソードをインタビューの時に話してました。 

LUKE:あの時は酔っぱらいのコンサートだったね。(笑) 

Photo by Taro Yoshida (Copyright 2002 Taro Yoshida)  

PCI:ジェフ・ベックとの付き合いはその時以来なんですね。 あなたがプロデュースした幻のアルバムがリリースされる可能性はあるんでしょうか?

LUKE:ジェフがOKと言えば可能性はあるんだけど、多分難しいだろう。 2年程前にジェフに会ったんだよ。 今でもいい友達さ。 ジェフ・ベックのギターの音は誰にも出せないね。 「ジェフ・ベックの音だね。」って言われる事はギタリストにとって最高の褒め言葉さ。 今でもオレのヒーローさ。