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チューブアンプについて日米のエキスパートが語る!

Paul Rivera編 (1/3)

今回より3回に渡って、下記の3人の日米のチューブアンプのエキスパート達に語って頂きます。

第1回:RIVERA by Mr. Paul Rivera (USA)
第2回:Groove Tubes by Mr. Aspen Pittman (USA)
第3回:ドクターMusic by 藤原氏

まずは第1回 「RIVERA by Mr. Paul Rivera (USA)」のインタビューをお楽しみ下さい。

(1)事務所の移転、新会社と合併後の新戦略は?

PCI:まずは最近の変化についてお話してもらえますか? 大きな場所へ移転されましたね。

Paul:シカゴの Sound Enhancements(www.soundenhancements.com)という会社と合併しました。彼らは Accutronics Spring ReverbやMorley Wah Pedalという製品を製造しています。この会社の製造スペースや人材などをお互いに有効に使い、お互いのノウハウや資源をシェアして、助け合いながら両社を育てていこうということになりました。 昨年の7月に交渉しはじめ、2004年2月7日にサインしましたから最終合意に8ヶ月かかりましたね。

PCI: そして、その合併の結果このLA 郊外のArletaという町に引越したんですよね?

Paul:いいえ、その前にちょっと色々あったんですよ。このArletaの物件は2003年9月に見つけました。以前の場所では、2つ問題がありました。ひとつは建物のオーナーがビジネスのことを全くわかっていないロシア人のおやじだったということで、その結果彼が建物を売らなければならなくなったということです。それも、ロシア系のマフィアに。ある日、黒いベンツから長いレザージャケットを着た3人組の男が降りてきて、低いロシアのなまり英語で「いつ、引っ越すんだ?」と私の事務所に乗り込んで来て言ったんです。私は怖くて、「すぐに引っ越します。」とすかさず言いました。(笑)もうひとつの問題は、限られた建物のスペースが会社の成長を不可能にしていると感じたからです。オフィススペースも充分に作れなかったし、アンプの製造工程においても不便なところがでてきていたのでいつかは引っ越さなければ、と考えていました。

PCI:今回見せていただいたスペースは前の場所の2倍以上ありますよね?

Paul:そうですね。プラス、合併した会社のイリノイ州のスーペースを合わせると、かなりの大きさになりますよ。

PCI:これからもチューブアンプの製造を中心とした事業をされるのですか?

Paul:はい。アンプ製造に集中し続け、前よりも大きな製造スペースを使って、より小さなチューブアンプをお手頃な価格で提供できるようになります。ただそうなると大きな場所で数をたくさん作らないと採算が取れません。

PCI:Sound Enhancements社との合併は、その小さいアンプを作るのに適しているんですね?

Paul:はい。クォリティーも損ねないよう今までのアンプと同じ部品を使っています。コンデンサもポットも同じですが、多くの部品が小さくなりフィーチャーもシンプルに全体的にコンパクトになりました。前のように小さな会社ではこれはできませんでした。たとえば、あなたが小さな車のメーカーで一年に500台しか作れないとしたら、ベンツやポルシェ、フェラーリなど、大量生産しないですむ高価なものを作る事を選ぶと思います。今まではそれと同じ感覚でした。

PCI: なるほど。そのあなたの今までの素晴らしいチューブアンプに興味あるPCIサイト読者からの質問です。まずは、リべラアンプを作り始めたのは、その当時のフェンダーやマーシャルよりもよい製品を求めていたからだと思うのですが、自分のアンプを作りたいと強く思われた理由は何でしたか?

Paul:うーん。頭おかしかったんじゃないかな?当時あんなに仕事を増やしちゃうなんて。(笑) いやいや、理由はいくつかあるんですよ。個人的にいうと、大きな会社で働くのが嫌になったからです。フェンダー社内の政治的な事への係わり合いの方が、実際アンプを作るのより大変で時間がかかったんです。まあ大きい会社は日本でもアメリカでも多かれ少なかれ皆そうですよね。

PCI:それは本当によくわかります。

Paul:何か新しい大きいことをやろうとすると、それを実現させるまでに500人ぐらいの人を納得させなければならない。その頃には、始めに思いついた頃のフィーリングは壊れてしまっていますよ。私がフェンダーで働いていた1981年、82年、83年は、ラックマウントタイプのアンプがとても人気あったんです。ラックマウントタイプのアンプを量産すべきと提案しましたが、経理担当重役に、「何個売れるんですか?」と聞かれたました。「プロのハイエンド仕様だから、最初はあまり売れないだろう、でも今大切なのは最初の数ではなくて、会社のイメージアップだ。」と正直に言いました。プロにステージで使ってもらうことに意義がある、と言う主張だったんですが、ぜんぜん聞いてもらえませんでした。それで会社を自分で始めました。まずはラックマウントタイプのアンプのデザインから始めたんです。ほかにやっている人もいなくてチャンスだと思いました。社員は7人プラス私と奥さん、合計9人で始めました。お隣さんのガレージも借りて、庭にも倉庫を作って。えーっと質問の答えは、ひとつは自分の会社を持ちたかったことと、自分達がアンプ市場を変える製品を作れると思ったからですね。

 

(次ページへ続く)