PCI:今年は創業25周年とのことですね。おめでとうございます。まずは
Groove Tubes社を作られたきっかけから教えて下さい。
Aspen:25年前チューブアンプについては皆よく分かっていませんでした。私も含めて。会社を起こす12年前、1967年、私はハリウッドのGuitar
Centerでセールスマンをやっていました。お客さんからチューブアンプに関してたくさんのフィードバックがありましたが、メーカーも店も私もお客さんの要望や質問にちゃんと応えることが当時できませんでしたね。その時に既に将来会社を起こす時のビジネスアイディアができていました。そのアイディアはシンプルです。ギターについて用意されている様なアクセサリー商品をチューブアンプにも揃えるということです。ピックアップ、弦、ナット、ブリッジなど多くのアクセサリー品目が揃っているのに、店に真空管が売ってなかったんです。当時から私はハイファイ・オーディオの真空管については結構こだわりがありました。マッキントッシュのチューブアンプを持っていました。ご承知の通り、マッキントッシュは大変高価な良い音のするハイファイ・チューブアンプを作っていました。ところで、アップルコンピューターのマッキントッシュとは全く別のものです。全然異なる技術ですね。(笑)
PCI:そうですね。マッキントッシュのチューブアンプからどんなビジネスのヒントを得たんですか?
Aspen:マッキントッシュがユーザーの為にクリニックを開催してくれたんです。そこへ自分のマッキントッシュ・アンプを持って行きました。そしたら、「あなたのアンプは60%しか機能していない。」と言われました。真空管は2年半前のもので毎日アンプを使っていたのでこういう状態になってしまったとのことでした。マッキントッシュの真空管を買ってマッチングさせ100%の状態にしてもらいました。真空管はギターの弦や車のタイヤと同じ様に消耗品であることを知りました。
PCI:Groove Tubes社を起こす随分前のことですよね? あなたの最初の仕事がGuitar
Centerのセールスマンだったのですか?
Aspen:いいえ、最初はオルガンの配達をやっていました。
PCI:当時のGuitar Centerでですか?
Aspen:Guitar Centerはその前Organ Center(オルガン・センター)と言う名の店だったんです。その後
Vox Guitar Centerになり、最終的に今のGuitar Centerに落ち着いたんです。本店は今やハリウッドの名所になりましたね。私はGuitar
Center Holywood本店の最初のセールスマネージャーです。当時18歳でした。それから6〜7年間 Guitar
Centerで働いている間に楽器のこと、アンプのこと、商売について多くを学びました。
PCI:それでGroove Tubes社を設立されたのですか?
Aspen:その前にアンプメーカーのセールスレップを数年勤め、プロミュージシャンとのつき合いが増えました。ドイツのフランクフルトの楽器展示会などにも参加しました。ジャコ・パストリアスと親しくなったのもその頃です。
PCI:ジャコパストリアスはGroove
Tubes社を設立する重要な人だったとか?
Aspen: その通りです! 1979年のことでした。その頃年間6~7ヶ月も出張に出ておりましたが、家庭の事情でそういう生活が続けられなくなったんです。家でできる仕事を考えなければならなくなりました。どうしようかと迷っていた時、ある晩ジャコが家に泊まりに来てくれました。朝の4時までビリヤードをやりながら話をしました。
PCI:彼はビリヤードの腕前は如何でしたか?
Aspen:凄く上手いです。彼は何をやっても上手いですね。(笑) 彼と一晩新しいビジネスについて話し合いました。すなわち、マッキントッシュがハイファイ・チューブアンプでやっていた事をギターアンプでやろうというアイディアです。2人で会社の名前を考えました。50から60の候補を出し合い、最終的に2人で一致した名前がGroove
Tubesだったんです。
PCI:ジャコ・パストリアスが名付け親ですか?
Aspen:そうです。あの時2人でビリヤードをしなければGroove Tubes社は無かったかもしれないですね。ジャコには大変感謝しています。
Jaco & Aspen
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