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2010年12月25日

第52回; 2010年、年末。

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アコースティック・ブルースのセッションが最近多い。

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photo by Mr.Will Bachman

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photo by Mr.Will Bachman

大抵はアコースティックギターをアンプに通さず
ダイレクトボックスでPAにつなぐのだが、
最近は必ずこのペダルボードをはさんでいる。

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左からディレイ、イコライザー、そしてエキゾチックEPブースター
このブースターをアコースティックギターの音創りに使うということが
どれだけメイクセンスするかどうかはわからないけど、
とても暖かい音が創れて自分ではとても気に入っている。
もしEPブースターをお持ちなら、是非一度試していただいて、
御感想などを聞かせていただけるととても参考になる。


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そしてやはり最近、参加しているのがこのポップ系バンド。
ご多分に漏れずこのユニットでも一人で平均年齢をおもいっきり吊り上げているぜ!

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演奏の日程が何故かいつも突然決まるバンドで、
さらにこのメンバーの中では俺が一番の新人メンバー。
何曲かまだ構成が頭に入っていないので
柄にもなくマジ面で譜面を読んでいる。
似合わねぇ...。

そして、このバンドでのペダルボードはこれ。

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このバンド(Proud Simon)だけではなく、
恐らくポップ系、ロック系の演奏のときの、
言ってみれば定番のボードといえるかもしれない。
ただこの写真の下段左から2番目のコーラスペダルはあくまでも代用で、
いつもメインで使用しているArion/Xoticのコーラスまたはフルトーンのコーラルフランジは
現在PCIにメンテナンス修理に出しているところだ。
また、例えば数年前にジョー・ルイス・ウォーカーとツアーしたときなどは
よりパワフルなオーヴァードライヴサウンドでジョー本人と一騎打ちしなければならなかったので、
その時は下段左から3番目のチューブスクリーマーの代わりにBBプリアンプを置いた。
上段左から2番目のRCブースターはもう言わずもがな、常設のペダルだ。
ペダルボードとはギター、アンプと並んで、そのボード一枚が大切な楽器だ。


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いまのアパートに住み始めてもうすぐ10年になろうとしている。
高校を出て東京下町と千葉浦安に暮らしたのが「10年」、
NYに移りマンハッタンのイーストヴィレッジに暮らしたのが「10年」、そして現在。
どうやらいまのところ、「10年」とは時間的にみて
大きな節目の到来する長さであるらしい。
だからなおさら、自分にとって「10年」という言葉には、
時の流れの速さをしみじみと痛感させる強い響きがある。

多くを得てここまできた。
そして、どれだけを失ったことか。

現在のアパートでの近所付き合いはとても良好で、
親しい同士が申し合わせて演奏を観に来てくれたり、
誰かの部屋に料理や飲み物を持ち寄って
ちょっとしたパーティーなどが催されたり、
けしてべたべたおせっかいな付き合いではなく
お互いが心地よい距離を保ち合いながらの
良い友達づきあいが続いている。
また国際色がとても豊かで、
例えば前回のホームパーティーは
ビルの2階に住むウルグアイ人男性とベルギー人女性の
カップルの部屋でおこなわれ、
そこに集まったのはざっと思い出しただけでも
コロンビア人、アメリカ人、ブラジル人、ポルトガル人、インド人、
ドイツ人、ルーマニア人、トルコ人、フランス人、そして日本人と、
家族の住む母国から遠く離れてアメリカに生活しているという点で
ほぼ全員が共通する。

もう一ヶ月ほど前になるだろうか、
アパートの管理人をしている50代中頃のブラジル人の男が
玄関先を掃除しているところに出くわした。
いつも明るい彼がどうも元気がない。
どうした、元気ないな?、と聞くと、
さっき母が亡くなったという連絡がブラジルから届いた、と。
帰らないのか、と聞くと、
いまから準備しても間に合わないので帰らない、と。

近所連中の一人が「親元を離れて海外に住む者の宿命だよね。」と言った。
まったくその通り、他人事ではない、身につまされる。
ましてや芸人のはしくれのとして、例えば単純な話、
あわただしく日々を駆け抜けるツアーの真っ最中にそんな連絡が届いたら、
まず間違いなく間に合わないだろう。
そんな日は早かれ遅かれ確実にやってくるのだろうから、
覚悟をしておくようにと自分自身に常日頃から言い聞かせているつもりだ。

先日リハーサルスタジオに向かう地下鉄で偶然ある友人と一緒になった。
大きな買い物袋を持っていたので「買い物?」と聞くと、
日本のお母さんへ送るプレゼントなのだという。
「母に喜んでもらいたいのはもちろんだけど、
もしかしたらそれより自分自身への気やすめかも。
こんなに遠くに離れてしまって申し訳なくて。」という彼女の言葉に
ここでもやはり身につまされることひとしきりだったが、
でも同時にそんな彼女の、
遠く離れたお母さんを気遣う優しさに
心が温められる思いがした。

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photo by Mr.Will Bachman

今年一年、またまた本当にお世話になりました。
昨夜でピークはとりあえず峠を越したものの
まだまだ年末ホリディの慌しさは続く。
さあ心も体も寒さに負けないように、
ハッピーホリディ、
そして心から、
良いお年を。

投稿者 hirosuzuki1 : 2010年12月25日 13:59

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