2007年05月10日
第35回; ご無沙汰なんてもんじゃありませんね...
前回このコラムに投稿したのが...
昨年の9月12日、ずいぶんと間が空いてしまった...。
デボラ・コールマンとのプロジェクトが空中分解してすぐに、
自己のアルバムのレコーディングを再開したり、
またガスハウス・ゴリラというスゥィング・ブルース・バンドへジョインしたりで、
ネタには全く事欠かない毎日をおくってはいるのだが、
正直に白状してしまうと、
以前は自分の中に常に強烈にあった「どうしても書きたい!」という欲求が、
全く失せてしまったのだ。自分でも理由が全くわからない。
最近PCIの堀場社長からメールがあり、
「レコーディングもはかどっているようですし、
日本での演奏も間近ですし、そろそろ書いてみてはどうですか?」
と心暖まる(!)お言葉をいただいた。
堀場さん、そして三浦さん、黒川さん、本当に申し訳ありませんでした。
これから少しづつでも再び書き続ける方向に自分を持ってゆこうと思っています。
そして今回の帰国でも、エンドーサーの一人として
できるだけのことはしますんで、
どうか多めに見てやってください...とほほ...
それから、「楽しみにしてます。」とメッセージを送ってくれた読者の皆さん、
ほんとすんません、これからもよろしくお願いします。
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初めてニューヨークを訪れたのが1990年の10月、
滞在は一ヶ月で、その時はまさかこんな風に
こっちに生活するなんて夢にも思っていなかった。
今日、本棚を整頓していると、
その一ヶ月間の滞在をつづったメモが出てきた。
目にするもの全てが驚きだったそのときの興奮が
文字通り手に取るように蘇ってくる。
そしてその中の、10月16日のメモに、
マジソンスクエアガーデンで観た
ブルースフェスティヴァルのことが書かれている。
これが、このフェスティヴァルの出演メンバーが、物凄いのだ。
確かにこれがとてつもないフェスだったことは今でもはっきり憶えている。
でもこうやってリアルタイムで綴られたメモを読むと、
現在と17年前との音楽シーンの勢いの差を改めて感じざるを得ない。
フェスティヴァルは大きく分けて3部構成になっていた。
まず、第一部のバックバンドがアル・クーパー・バンドで、
ドラムスがミック・フリートウッド。
そこに加わるのが、まずジェイムズ・コットン、
そしてすかさずアルバート・コリンズが。
さらにヒューイ・ルイス、ボ・ディドリー、
そして最後にジョン・リー・フッカーが加わる。
第二部。バックバンドがライ・クーダ・バンドで
ドラムスがなんと、ジム・ケルトナー。
そこに再びジョン・リー・フッカーが加わり、
最後にはボニーレイットが参加する。
第三部。これがさらにとんでもない。
バックバンドが、なんとリトルフィート。参った。
勿論、キーボードはビル・ペインだが、
ここにもう一人オルガンが加わる。グレッグ・オールマン。
このユニットに...書いててドキドキしてきた...
ジョニー・ウィンターが加わる。
そして、そこにヴォーカルが二人、
ジョーコッカー、そしてこのフェスのヘッドライナー、大トリが、
ウィリー・ディクソン。
はぁはぁはぁ...
こんなフェス、今ではまず考えられないだろう。
ブルースにまだまだパワーがみなぎっていた、
良き時代の思い出である...と言い切ってしまいたくはないや、やっぱ。
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最近、二つの異なるネットワークサイトに自分のページを開いた。
アメリカ側はMyspace、日本側はMixiと呼ばれるサイト。
どちらのネットワークもそれぞれの国ばかりでなく
ヨーロッパやアジアでも非常にポピュラーになっており、
爆発的に会員数を増やしているのだそうだ。
一見似たり寄ったりのこれら二つのサイトではあるが、
実際に始めてみるとそれぞれ微妙にキャラクターが異なるのがわかる。
Myspaceは外部からの閲覧も可能なので一度覗いていただけば一目瞭然だが、
プロアマ問わずミュージシャンや芸術家、俳優、コメディアン、ダンサー等々が、
自分を見てくれ、自分を聴いてくれ、自分を試してくれと、アグレッシヴにアピールしている。
最近ではこれをホームページ代わりに使ったり、
極端な場合には連絡先を聞かれたときに「Myspaceを見てよ。」と答える、
いわば名刺代わりに使う奴もいるほどである。
そして確かに、このネットワークによって横の繋がりを広げることも大いに可能で、
かく言うこの俺も、最近参加しているスゥイング&ロカビリー・バンドとは「Myspaceつながり」だし、
遠く離れたアトランタやロスのバンドとも親しく情報交換できるようになった。
自分の音源や画像映像、そして活動状況を簡単にアップロード出来て、
それらが広範囲に極めて簡単に閲覧し試聴されるこのネットワークの、
外部に大きく開かれた「環境」は、アーティストたちにとってとても価値のある存在になっている。
そしてMixiの方は、こちらはぐーっとプライベートでしっかりした管理のもとに開かれている。
会員登録し自己のページを持たない限り外部からの閲覧は不可能だし、
また会員の誰がいつ何時頃自己のサイトを訪れたかが「足あと」と呼ばれる記録ページに
全てリストアップされる仕組みになっている。
また他の会員と趣味趣向を共有できる「コミュニティー」を開設し、
そこでも更に参加登録することでより突っ込んだ情報のやり取りが可能になってくる、といった感じで、
この「足あと」を逆に遡ってみたりキーワードで検索したりして
何処にどんな会員やコミュニティーが存在しているのかを知ったり、
相手に自分の存在を知らせてネットワークを横に広げる、
という点ではこちらにも十分に利用価値のあるサイトであるといえる。
しかし、音楽をやっている立場から言えばこの日本のMixi,
音源のアップロードがいまいち容易でないのがやっぱり痛い。
このMixi 内の「検索」を利用すれば地域や担当楽器や音楽志向などで
どんな利用者がいるのかがかなり絞り込めるのは確かなのだが、
さすがに実際の演奏が聴けないとなると、やはりどうしてもそこから先に話を進めづらい。
プレーヤーが自己の音源をアップしているホームページなどの環境を持ち合わせていて、
そのアドレスをMixiのページに掲示しているのならまだなんとかなるのだが、
それでもやはり、せっかくここまで多くの利用者がいるのだから、
ただの会員制「窓口」にとどまることなく、こちらのMyspaceのように、
ページを開けた途端にそのアーティストの作品がスピーカーから流れ出るような、
そんな積極的な環境作りをどうしても期待してしまう。
動画のアップロードは言わずもがな、
写真や画像のアップロードさえも特別料金を払ってキャパを広げない限りは
僅か3枚までしかできないというのも物足りない。
また利用者側をみてみると、例えばMixi会員の非常に多くが、
たとえその会員が俳優とかミュージシャンとかパフォーマーとかでも、
自分の顔写真やパフォームしている姿をサイトの表紙に貼らないケースが非常に多い。
こういったネットワークサイトにわざわざ自分のページを設ける以上、
それは早い話が外部に向けた自己アピール、
他者から「見てもらう」ための積極的手段に他ならないはずなのに、
猫の写真だとか、犬の写真だとか、自分の赤ん坊の写真だとか、アニメのキャラクターだとかを使ったり、
極端な場合には管理人の配偶者や恋人とイチャついている写真などをアップしている。
Myspaceに限らず、過激と言えるほど自己アピールに徹するこちらアメリカでは、
こんな傾向はまず考えられないことだと思う。
他者から「観られる」ことを生業(なりわい)としているのだから、
せめて顔形くらいはさらけ出せば良いのに、
などといぶかしく思っていると、Mixiつながりの仲間からこんな話を聞かされた。
要約すれば、こういった公のスペースに自分の顔写真をアップすることを
極力避けようとする傾向は日本ではかなり普通なことで、
その理由は写真を悪用する連中が日本社会のそこかしこでトラブルを繰り返しているから、
なのだそうである。なんともまぁ、寒々としたもの悲しい話である。
いずれにしても、このMixiという一つのネット社会に一度参加してみると、
ここには見事なほどに「日本」が投影されているのがよくわかり、
アメリカのMySpaceとの違いは機能的なことよりむしろ、
それらに参加する人々の考え方の違いに大きく起因していることが次第にわかってくる。
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ところで、さっきも少し触れたが、
今月(5月)末から来月の始めにかけて、
つくば市、東京都内(荻窪、新中野)、藤沢市と、
合計4箇所で演奏をすることになった。
メンバーはDrとBが昨年と同様、嶋田吉隆さんと渡辺茂さん、
ギターは、俺が二十そこそこの頃にある東京のバンドで一緒させていただいた、三恵勉さん、
この三人が俺をバックアップしてくれる。
昨年は3週間の滞在の中で10本以上のギグをこなした。
自分にとってこれはとても貴重な経験で、多くを得ることが出来たのだが、
同時にスケジュールに忙殺されるあまり
肝心の音楽に対して精神を集中できなかったことにいくらかの後悔が残った。
というわけで、今年はギグの本数をぐっと減らし、
その代わり出来るだけ長い時間をリハーサルにあてて、
一言でいうなら、量より質、又は、クオリティー最優先、でゆきたいと思っている。
お近くにお住まいの方、
それからちょっとヘヴィーなロックブルースが好みの方、
冷たいビールを飲みながら、私と私のメンバー達1人ひとりがどうブルースするか、
是非聴きに来ていただけたら嬉しい。
(さらなる詳細はここ!!![ http://blog.livedoor.jp/bloghirosuzuki/ ])
5月26日(土)つくば「サヴォイ」
(http://savoy.midi.jp/)
5月31日(木)荻窪「ルースター」
(http://www.ogikubo-rooster.com/)
6月 1日(金)新中野「弁天」
(http://www.benten55.com/top.htm)
6月 2日(土)藤沢「ベック」
(http://www.beatbarbeck.com/)
G.J.JUKE
ヒロ鈴木(Vo,G)
http://blog.livedoor.jp/bloghirosuzuki/
嶋田吉隆(Vo,Dr)
http://ameblo.jp/yoshi-shimada/
トリプル・ダイアモンド、Char、ボ・ディドリー、チャック・ベリー、
ジョン・パリス、喜多郎、バーニー・ウォレル、遠藤賢司、
カルメン・マキ、ジョージ吾妻、ゴダイゴ、アン・ルイス、
山内テツ、山岸潤史、etc…
渡辺茂(B)
http://www.songrecords.com/Gel/shigeru.html
庄野真代、うずまき兄弟、もんた&ブラザース、松山千春、
菊池桃子、オメガトライブ、真田広之、時任三郎、
ジョージ川口、谷村有美、岡本真夜、伊勢正三、山梨遼平、
タケカワユキヒデ、世良公則、森川美穂、北島三郎、桂銀淑、
西城秀樹、野口五郎、渡辺はま子、クニ河内、尾崎豊、
ブレッド&バター、鈴木康博、財津和夫、
由起さおり&安田祥子、モーニング娘。、中村幸代、溝口肇、
小堺一機、EPO、内藤やす子、今陽子、PINK LADY、上田正樹、
桑名正晴AIKO、古川昌義、野村義男、加藤登紀子、シブガキ隊、
本田美奈子、島倉千代子、ダ・カーポ、ハイファイセット、
やしきたかじん、早見優、MIE、Suzi Kim &RFB、
おおたか静流、米光美穂 、CARA JONE'S、etc…
三恵勉(G)
小坂忠、エディ藩、子門真人、尾崎紀世彦、なぎら健壱、
その他多数!
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日系の新聞やテレビニュースには連日吐き気をもよおすような記事ばかり、
同じ日本人同士で他人の写真を悪用したり、ホームページを荒らしたり、
「日本人ってダメじゃん...。」と、つくづくくじけそうになってしまう。
日本人にとって「個」とは、いったいなんなんだろう?
2007年5月9日
HIRO SUZUKI
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追伸
6月1日の新中野「弁天」は昨年同様、
今年も“G.J.JUKE”プラス スペシャル・セッション、
大好評だった昨年を上回る「超」濃厚でヘヴィーな内容で
ブルース、そしてロックと、遠慮なく悪乗りさせてもらう。
ファースト・セットが“G.J.JUKE”、
セカンド・セットが
G.J.JUKEハウス・バンドによるスーパーセッション。
性別、年齢、経歴、ベテラン、ルーキー等々の
精神衛生上最悪の「しがらみ」を全て無視し、
現役バリバリ個性豊かで高い実力のプロフェッショナルミュージシャン達が
おもっきり音でぶつかり合う。
「すっげぇミュージシャンが、日本にもこんなにいたぜぇ!」と、
みんなビックリしやがれぃ!。
現在のところのセッション参加予定者
森永アキラ(Vo)
佐藤イサム(Sax)
ROCKY 北村(G)
金澤サオリ(D,Per)
藤倉ツグヒサ(Vo,G)
山田トモユキ(Per)
北沢ナオコ(flute)
田中ナコミ(Vo,G)
高橋マコト(Vo,G)
ヨシオカユウゾウ(D)
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蛇足
レスポール、やっと良い音出てきました。
オリジナルのパーツはボディー、ネックそのものと
チューンOマチック・ブリッジ・ベースのみ、
あとは全て交換しました。
やっぱお金と愛情を注ぎ込まなければ、
ギターは良く鳴ってきてくれません。
生き物ですね。
投稿者 hirosuzuki1 : 2007年05月10日 11:52
コメント
久々のコラム、待ってました。日本でのショウは行けませんけど楽しんできてください!もしこの夏NYへ行けるなら連絡しますね。
投稿者 OR州のHiro : 2007年05月13日 13:38