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2009年7月 2日

E.W.S./MINI-HG AMP

こんにちは。
本日は、E.W.S.の“MINI-HG AMP”をご紹介したいと思います。

このオリジナル・アンプは、いわゆる“ポイント・トゥ・ポイント”ワイアリングで1人の手作業によって組み込みが行なわれています。そのため、今年の1月に発売以来、常に品切れ状態が続いていたのですが、ようやく予約分をすべて出荷し終えたことで、「PCI Online Store」にリストアップすることができました。

このアンプは、’50年代のフェンダー・アンプのようなツイード生地を貼ったキャビネットを採用しているためか、この世に数多く出ている’50年代の“ツイード・チャンプ”のレプリカものと思われている方が多いようなのですが、それは間違いです。

開発のコンセプトは、日本の住宅事情に合ったコンパクトな・サイズ、音量で「良質なディストーション・サウンド」を楽しんでもらおうというものなのです。'50年代のツイード・チャンプやそのレプリカものは、確かにサイズ的には小さいと言えるのですが、皆さんが期待しているツイード・チャンプのサウンドは、ボリュームをフル・アップにした時のサウンドです。よく引き合いに出されるので恐縮ですが、「いとしのレイラ」での「エリック・クラプトン」のサウンドは、まさしくツイード・チャンプをフル・アップにしたサウンドだと言われています。しかし、そうしたサウンドを期待して購入したものの、ツイード・チャンプの小さな出力(時期により3~4.5W)でも、一般家庭ではとてもフル・アップなどできないのが実情なようです。その結果、ボリュームはせいぜい2~3位で、ディストーション・エフェクター等を接続して使っているという“宝の持ち腐れ”状態になっているという話を聞きます。

その点、“MINI-HG AMP”でしたなら、Gainを上げて作り出したディストーション・サウンドを、マスター・ボリュームで音量を下げることができます。マスター・ボリューム付きのアンプのサウンドの“腰の弱さ”を気にされる方もいますが、ご心配は無用です。そのあたりは十分に考慮して設計していますので、十分に“太い”ディストーション・サウンドを楽しめます。ただし、やはりボリュームをフル・アップにした時のメイン・アンプが歪んだサウンドは別格なのは事実ですが・・。そのあたりは、自宅で使用する上での最低限の妥協点とお考えいただければ有難いです。

このアンプ開発の参考になったのは、'80年代前期に発売されていたフェンダーの名機とされている“スーパー・チャンプ”です。そのアンプの人気に秘密は強烈に歪んだディストーション・サウンドを、アスター・ボリュームによってコントロールできることにあると思います。しかし、そのややファズっぽいと評されるディストーション・サウンドや、ディストーション・サウンドを優先としたトーン・コントロールのためのブライト過ぎるクリーン・サウンドには賛否両論があります。このあたりは嗜好の問題なので、優越という話ではありませんが、E.W.S.のMINI-HG AMPではそのあたりの意見を参考入れ、サウンド創りに取り組みました。

また、昔から、音作りの一環として常に自分のアンプを持ち歩きたいと考えているプレイヤーが多いことは言うまでもありません。しかし、特に若い世代の方々ですと車を持っておらず、電車と徒歩で運搬するのが前提なのです。スタジオやライブ会場で使用するアンプはある程度は大型のものが好ましいと思いますが、そうした条件では小型アンプでなければ運搬は不可能です。E.W.S.のMINI-HG AMPは電車と徒歩で持ち歩くことも考慮して設計しました。MINI-HG AMPの4.5Wという出力は小型アンプの範疇だとは思いますが、あくまでもワット数は電気的な数値であって、聴感上の音の大きさとは別の次元の話になります。今までの4.5W~10Wクラスのアンプの音量が小さく感じるのは、基本的にはクリーン・サウンドを中心とした回路設計で、かつ小型アンプゆえの小さなサイズのキャビネットと小さな後継のスピーカーの影響が大きいのです。そこでMINI-HGでは、スタジオやライプでの使用時には、外部スピーカーを利用することを前提で開発しました。そのため、スピーカー接続端子のインピーダンスは4オームとしてあります。これは、スタジオやライブ会場に設置されているスピーカー・キャビネットやビルトインアンプ(スピーカーのみを使用)の多くが4オームなことに着目した結果でもあります。

MINI HG AMP SP JACK.jpg
また、MINI-HG AMPの内蔵スピーカーに8インチを採用しているのは、スピーカーの口径を大きくするとキャビネットが大型となり重量も重くなるため、運搬上の不利益になることを避けたかったからです。実は、開発の段階では音質的な面で10インチや12インチのスピーカーとすることも検討しましたが、8インチのスピーカーならコンパクト・軽量なアンプに仕上げられる魅力がありました。前述の名機スーパー・チャンプも10インチ・スピーカーということもあり、運搬の上で決して楽ではないという意見も多いのです。そして、8インチ・スピーカーなら4オームのものの種類が豊富という副産物も得ました。10インチや12インチには4オームのものが少ないのです。

12インチ・スピーカー2発入りにキャビネットに接続して、音をだしてみてください。とても4.5W出力のアンプとは思えないほどの音量ですので、ライブでも十分に使えるはずです。

今回はこんなところで。次回は、E.W.S.のMINI-HG AMPの応用的な使い方などをお話ししたい思います。

投稿者 ewsjapan : 2009年7月 2日 17:05