第17回 Mountain
ハード・ロック・バンドMountain(マウンテン)は1969年にギタリストのLeslie West(レスリー・ウエスト)とCream(クリーム)のプロデューサーを務めたFelix Pappalardi(フェリックス・パパラルディ)によって結成されました。2人が出会った時WestはLong IslandのR&Bバンドthe Vagrantsのメンバーとして地元では既にヒーローでしたが全国的には全くの無名でした。PappalardiはWestがバンド脱退後に制作したソロ・アルバム"Mountain"をプロデュース。それがきっかけとなり2人はドラマーのN.D.Smart(N.D.スマート)とキーボード・プレイヤーのSteve Knight(スティーブ・ナイト)を加えてMountainをスタートさせました。 Mountainは伝説のWoodstockに4番目に登場して演奏。Woodstock後にSmartがグループを脱退し代わりにCorky Laing(コーキー・レイング)が加入。ハード・ロックの名曲"Mississippi Queen"が収録された彼らのデビュー・アルバム"Mountain Climbing"は1970年に発表されゴールド・ディスクになりました。その後に発表されたアルバム"Nantucket Sleighride"も成功をおさめたものの、1972年に"Mountain Live"を発表した後に解散。PappalardiはMountainのコンサートでの大音量のために難聴になってしまいプロデュース業をすることに。WestとLaingはCreamのベーシストだったJack Bruce(ジャック・ブルース)とWest,Bruce&Laingを結成しました。 1974年に短期間WestとPappalardiはオリジナル・メンバーでグループを再結成。 その後、WestとLaingはコンサート活動のために時々グループを復活させ、たまにPappalardiも共に演奏することがありました。また、Westは自身のバンドLeslie West Bandの活動も平行しておこないました。しかし、1983年にPappalardiは妻によって拳銃で殺害。その2年後にWestとLaingはMark Clarkをベーシストにして一時的にグループを結成しましたが結局は活動を休止しました。 1989年から1995年にかけてLaingはPolyGramのA&R副社長としてカナダで仕事をしていましたが、1996年にWestとClarkと共にMountainのアルバム"Men's World"の制作をするために音楽活動に復帰。2002年にアルバム"Mystic Fire"制作のために再びWestとLaingが組んだ後は、活動を共にして現在に至っています。 Mountainの名前は往年のハード・ロック・ファンなら1度は耳にしたことがあると思います。WestはCreamのプロデューサーであったPappalardiと組んだことからEric Clapton(エリック・クラプトン)の後継者と一時期注目を浴びました。そして、音楽ファンはCreamの再現をMountainに期待しました。しかし、Mountainは数枚のゴールド・ディスクを獲得はしたものの、時代の流れと共に音楽ファンたちから忘れ去られたような存在になっていました。私にとってもそれは同じことで、まさかあのMountainをこの目で見ることになろうとは思ってもみませんでした。 現在のMountainのメンバーはLeslie West (g)、Corky Laing (ds)、Richie Scarlet(リッチー・スカーレット、b)。Mountainの全盛期は1970年代前半。当然パワーが落ちていると思いきや、大音量でひたすらハードに演奏しまくりパワー炸裂。Westはギターで必殺フレーズを弾きまくり、Laingはスピード感一杯にドラムを叩きまくるという時の流れを全く感じさせない超ド迫力。まったく凄いパワー・トリオです。"Nantucket Sleighride" "Crossroader"といった彼らのお馴染みのナンバーが次々に演奏されるのですが極めつけ"Mississippi Queen"は感動の涙モノでした。 Mountain公式ホームページ 音楽びしばし写真館の今までのコラムはこちら。 |