第6回 The Marshall Tucker Band
1970年代の代表的なサザン・ロック・バンドのひとつThe Marshall Tucker Band(マーシャル・タッカー・バンド)は1971年にSouth Carolina州SpartanburgでシンガーのDoug Gray、ギタリストのToy Caldwell、Toyの兄弟でベーシストのTommy Caldwell、ギタリストのGeorge McCorkle、ドラマーのPaul Riddle、リード・プレイヤーのJerry Eubanksによって結成されました。グループのサウンドはリード・ギタリストのToy Caldwellの嗜好もありロック、カントリー、ジャズの要素を取り入れた幅広いものになりました。
バンドはCapricorn Recordsと契約し1973年3月にデビュー・アルバム"The Marshall Tucker Band"を発表しました。The Allman Brothers Bandとのツアーで評価を高めた彼らが70年代に発表したアルバムのほとんどはゴールド・ディスクを獲得しました。彼らの頂点を示したのが1977年に発表されたミリオン・セラー・アルバム"Carolina Dreams"とトップ15シングル"Heard It in a Love Song"です。
1980年に起こったTommy Caldwellの自動車事故死を契機にバンドの勢いは衰え1982年以降はアルバム・チャートを賑わすこともなくなりました。1983年にToy
Caldwellがソロ活動をするためにグループを脱退しましたが、Doug GrayとJerry EubanksはNashvillのスタジオ・ミュージシャンを加えてバンドの活動を継続しました。
暫くしてGrayとEubanksは彼らの故郷であるSouth Carolina州Spartanburgへ戻りギタリストのRusty Milner、ベーシストのTim
Lawter、ドラマーのAce Allen、ギタリストのStuart Swanlundと共に新たにThe Marshall Tucker Bandをスタートさせました。その後はメンバー・チェンジを繰り返しながらも根強いファンに支えられ、ツアーやアルバムの発表など地道にサザン・ロックのパイオニアとして活動を続けています。
私が行ったコンサートのバンド・メンバーは次のとおり。Doug Gray(vo)、Rusty Milner(g)、Stuart
Swanlund(g)、Tim Lawter(b)、B.B.Borden(ds)、Clay Cook(key、flute)。
観客は歴史のあるバンドらしく、年季の入ったロック・ファンが一杯でした。バンド構成はサザン・ロック・バンドのお約束であるツイン・ギターですが、フルートを取り入れているところが彼らの特徴です。アルバムではカントリーやアダルト・コンテンポラリーなども演奏していますがライブとなると話は別。パワー溢れる重量級の豪快な演奏で押しまくります。スピーカーの前にいた私は振動で身も心もしびれました。はじめは大人しく聴いていた観客達も演奏の熱気に熱くなったのか、後半はステージ前に押し寄せ踊り狂っていました。まさに「これぞサザン・ロック」と実感したコンサートでした。
The Marshall Tucker Bandは男性向きのバンドと思われるかもしれませんが、アルバムには美しいバラードやハーモニーの素晴らしい曲もありアメリカでは女性ファンも多いです。彼らの曲はアメリカ南部の乾いた哀愁を感じさせます。
The Marshall Tucker Band公式ホーム・ページ
http://www.marshalltucker.com/
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