第8回 Canned Heat
ロックの歴史について書かれた本には必ずと言ってよいほどその名前が登場する1960年代を代表するブルース・バンドのひとつであるCanned Heat(キャンド・ヒート)はブルース・ミュージック研究家でありレコード・コレクターでもあったAlan WilsonとBob Hiteによって結成されました。彼らはMontereyやWoodstockといったロックの歴史に残る数々のフェスティバルに出演をしていることでも有名です。
Montereyに出演後ほどなく発表されたCanned Heatのデビュー・アルバムはthe original Paul Butterfield bandのようなブルース・ミュージックのルーツを追求したようなサウンドでした。Hiteはステージ上を大股でのし歩くところからHowlin' Wolfなどに"The Bear"というニックネームで呼ばれ、Wilsonは太いトーンとヴィブラートが特徴的な非凡なハーモニカ・プレイヤーでした。また、Wilsonはオープン・チューニングによるギター奏法も研究しました。
Canned Heatが成功の機会を掴んだのはセカンド・アルバムが発表されてからのことです。彼らは当時ライブ・ハウスの客であったヒッピー達によって"kings of the boogie"と呼ばれ人気を決定づけました。彼らが次に考えた事は自分達が敬意を表するミュージシャンと演奏することでした。そして大先輩であるJohn Lee Hookerとアルバムを共同で制作しました。このアルバムは若手白人ミュージシャンが黒人有名ブルースマンと競演したアルバムの中では最高の部類に入る出来になりました。"Goin' up the Country"とWilbert Harrisonの名曲をヘビーにアレンジした"Let's Work Together"の2大ヒットを飛ばした後の1970年Wilsonが謎の死(ドラッグが原因?)を遂げました。その後もHiteはメンバーを補充しバンドの活動を続けましたが1980年にコンサートが始まる直前に心臓発作で彼は他界してしまいました。現在もCanned HeatはドラマーのFito de la Parraによってメンバーの交代を繰り返しながらもツアーやレコーディングをおこない活動は続けられています。
私が観たThe CanyonでおこなわれたライブのメンバーはFito de la Parra(ds)、Stanley Behrens(vo,sax,harm)、Dallas
Hodge(vo,g)、John Paulus(g)、Greg Kage(b)でした。中心人物だったHiteとWilsonを失ってからは曲の出来がイマイチということもありここ暫くは「これぞCanned
Heat!」と言うアルバムがありません。しかし彼らの演奏が始まると「これぞCanned Heat!」と思わせる重量級のサウンドに圧倒されました。彼らはライブでこそ本領を発揮する根っからのライブ・バンドなのかもしれません。"Boogie
Music""Amphetamine Annie""Time Was""Let's Stick
Together"やBehrensのフルートをフューチャーした"Going Up The Country"、アメリカのライダー達に人気の"On
The Road Agein"など彼らの代表曲を聴いているとさすが「伝説のWoodstock」で演奏したバンドだけのことはあると実感しました。現在のCanned
Heatはヒット・チャートを賑わすようなバンドではありませんが、アメリカやヨーロッパで良い演奏活動をやっているからこそ今も根強い人気があるのでしょう。
Canned Heat公式ホームページ
http://www.cannedheatmusic.com/
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