第9回 Eric Sardinas
Eric Sardinas(エリック・サーディナス)は6歳の時に聴いたDelta bluesに初恋してしまいました。その時、彼は1人のギタリストが演奏しているにもかかわらず、5人分にも相当するエネルギーに圧倒されたそうです。同時に彼はそのギタリストのハートと力強さに魅了されました。Sardinasが最初に影響を受けたのはBarbecue Bob、Charley PattonやBukka Whiteと言ったあまり知られていない人達です。その後、彼はElmore James、Muddy Waters、Big Bill Broonzy等から影響を受け、ドブロによるスライド・ギターにのめりこみました。
Sardinasは各地を点々とした後、1990年にロスアンゼルスへやってきました。初め彼は路上でアコーステックな初期のBlues folkを演奏していましたが、ベーシストのPaul Lorangerとジャム・セッションをしてみてLorangerはSardinasが求めていたblues-rockを演奏するのに最適な理想の音を持っていることがわかり2人でthe Eric Sardinas Project(ESP)を結成しました。2年後にはドラマーのScott Palaciosが加入。ESPは6年間にわたってコーヒーハウスでアコースティック・ライブをおこなったり、ハリウッドのクラブで他のバンドと演奏するなど毎年300近い演奏活動をおこないました。ある時など楽器会社の要請でJohnny Winterのツアーにオープニング・アクトとして同行したこともありました。演奏活動を続けるうちにSardinasたちのことが口コミで知れ渡りEvidence Recordが彼らに注目しました。そして、1999年にDick Shurmanのプロデュースによりデビュー・アルバム"Treat Me Right"を発表。2000年にはJ.B.Huttoの"Angel Face"を収録した3曲入りシングルを発売。2001年にはセカンド・アルバム"Devil's Train"を発表して順調に活動をしています。
Sardinasのステージを一言で言うなら「無軌道ワイルド」。コブラの細工の付いたカウボーイ・ハットを被り、胸にはこれまたコブラの刺青(なんと背中にも刺青が!)。雄叫びを上げながらステージ上で狂ったようにギターを弾きまくります。ビール瓶でギターを弾くことなど当たり前で、ジャンプして観客席に飛び降りそこで歩きまわりながらギターを弾きまくったり、時にはJimi
Hendrixのようにギターを燃やしてしまうことも。そんな無茶者のSardinasをLorangerとPalaciosががっちりとサポートします。サウンドはギター、ベース、ドラムスと言うシンプルな構成からも分かるように1960年代後半から1970年代前半に流行したblues-rockです。初めは皆、Sardinasの狂気的演奏ぶりに呆気にとられますが、最後はその「いかにもblues-rock」といったコテコテのステージに熱狂してしまいます。彼のステージは1度見たら忘れられない必見モノです。
Eric Sardinas公式ホームページ
http://www.ericsardinas.com/
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