さて、私のツアーの内訳は、ロック系のイベントゲストや、ジャズ系のアットホームな会場で2〜3ステージやる場合、クリニックとライヴをミックスする場合など様々だが、クラブイベントのゲストライヴアクトに呼んでいただく場合も多い。DJがプレイする間に入ってソロをやるのだが、イベントによっては「前のDJで客が踊っているそのままの状態を、メインアクトのベースソロでさらにアゲて、次のDJにつないで欲しい。」という要望。今ではBASSNINJAのライヴではすっかり当たり前になってしまったスタイルの一つ。90年代後半のヨーロッパのクラブサーキットは、BASSNINJAパフォーマンスといえばほとんどこんな感じのオファーが定着して、クラブを転戦した。 もちろん、最初からこんなスタイルができていた訳ではない。 ベース1本持って海を渡ったばかりの頃に、様々なアーティストとコラボレーションする過程で、通常のベースプレイヤーが要求されないようなむちゃくちゃな事を、ダンスや映像関係など、音楽以外のアーティストに要求されたのがきっかけである(笑)。「ベースで風の音を出してくれ。」「光り輝くような音を出してくれ。」「DJがいないので、代わりにトランス風の雰囲気を作ってくれ。」などなど。(だったらDJ呼べって(笑))その時期にディレイマシンと格闘しながら、ボディやピックアップをヒットさせながら、踏むタイミングを色々と変化させながら、ツマミを瞬時にいじりながら、スラッピングとタッピングをミックスさせながら、ベース1本で踊れるリズムを模索した。 象徴的だったのは、ベルリンのクラブ、”die insel”。水辺の真ん中の島にあるクラブ。 会場に行くと、ターンテーブルが5台とマーシャルのベースアンプが1台。 ロッテルダムガバ(テクノ)からデジタルハードコアまで、高速bpmのDJが続く。 私のソロは5番目。ラストはアレック・エンパイア。 会場いっぱいの客は、最初から速めのbpmに身をまかせて、身体を躍らせたり、痙攣させていた。4番目のDJがかなり客をひきつけ、まだまだ客は暴れ足りない様子で終了。 実は間抜けなことに、私はこの日はこういう主旨のイベントとは知らずに、ブッキングされるがままに、ツアーの流れでこの会場に来ていた。そして来てみてビックリ。 ここで、本来ならバスドラのキック音がないなど、音圧的にどうしてもDJに負けてしまうベースソロで、どうやって暴れたい客の欲求に応えていこうか、悩むところもあった。 しかし、そんな心配はスタートした瞬間に吹き飛んだ。 それまでに模索し、会得したスキル(トンデモ芸の数々とも言うよね(笑))をつめこんだ結果、客はそれまで以上に暴れ出し、ヘッドライナーのアレックの前だというのに、何度もアンコールが起きて、演奏時間は大幅に伸びてしまった。 この日のパフォーマンスがヴィデオで出回り、さらにドイツ以外の色々なクラブからオファーが来るようになり、客の方も暴れる気満々で(笑)私のライヴに来るようになった。 大きなクラブから、イリーガルな小さめのクラブまで、沢山のクラブでこのスタイルでやっているうちに、ベルリンのpyonenというオーガナイザーが私を気に入ってくれて、当時150万人が集った巨大イベントのラヴパレードにつながっていった(ラヴパレードについては、またいつか書く予定)。 今でも毎年、大晦日のカウントダウンイベントはクラブに呼ばれてこのスタイル。そして、夏の野外イベントでもこのスタイルでのオファーを時々頂く。今でも毎回新たな発見があり、気がつけばどんどん新しいものを取り入れて、ベースプレイヤーであることをこえて、パフォーマンスのレンジが日々拡大されていくのが楽しい。 今回は“BASSNINJAといえば、これ”というスタイルのきっかけは、もともとは偶然だった・・・というお話でした。 そんなBASSNINJA、今沢カゲロウのツアー、4月は福岡、山口宇部、広島(インストアライヴ)、岡山笠岡、姫路(トークショウ)、神戸、和歌山、東京、旭川、苫小牧、江別、札幌、帯広・・・とまわりましたが、5月は14日以降は下記の会場に行きます。近くの街に来たら、ぜひ遊びに来てください。楽しいですよ。これからも応援よろしくお願いします。(5/9/05) 5月14日(土) 5月17日(火) 5月18日(水) 5月21日(土) 5月22日(日) 5月27日(金) 5月28日(土) 5月29日(日) 6月1日(水) 今沢カゲロウ/Quagero
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