さて、私が現在いる南九州エリアは、他の九州エリアに比べて、ライヴハウス状況に関しては、少し遅れて発展してきた。しかし、その分地元の皆さんが色々なところで演奏できるように手作りで苦労してきた結果もあり、個人的に記憶に残る公演会場も南九州にはいくつかある。 たとえば、昨日行った宮崎県日向市に私が初めて来たのは2003年9月20日。「米の山」という素晴らしい野外ステージでの公演の為に行ったのだが、当日は大雨。代わりの会場がまったく見つからず、急遽PA機材を運んだのは、なんと・・・“青果卸売市場”(笑)。“宮崎ピーマン”、“日南ぽんかん”“次郎柿”“日向夏”“中国たけのこ”などの山積みダンボールをステージセットに、リフトカーが後ろで八の字に動き回る中、ライヴが行われた(笑)。MC中に後ろの車のリフトの音がBGMとなり、市場のおじさん、おばさんが心配そうにこちらをのぞき込んでいた(笑)。 一方鹿児島では、平川屋楽器の主催で、瓦そば屋「花よし」でベースクリニック&ライヴを行っている。瓦そば屋さんに簡易PAとベースアンプを入れて、お客さんが会場いっぱいになる中で行い、終了後は会場に瓦がいくつも用意されてそばが焼かれる。これがまたユニークで、鹿児島ならではの楽しい会場だ(瓦そばは下関の名物だが)。 前回のコラムでも書いたが、私の年間250本の公演のほとんどはベース一本のパフォーマンス。会場にベースアンプとマイクがあれば公演は成立する。少々の事では驚かない。 しかし、そんな私の“驚かない”精神の礎を作ったのは、スザンナ・オーケルンドというスウェーデン人ダンサーとの出会い、そして、彼女とのスウェーデン公演ツアーだった。 95年、ポーランドとの国境沿いの町、ドイツ・ブルーリンで行われた欧州芸術展覧会。そこで私は自分のベースパフォーマンスをプレゼンし、様々なヨーロッパのクリエーターと交流。ダンスカンパニーを率いてスウェーデン第3の都市、ウプサラからやってきたスザンナと意気投合。さっそく会場でコラボレーションを行った。スザンナが主宰するSU-ENダンスCo.は、山奥の鶏小屋を会場に選び、鶏小屋の中にロシア製のベースアンプを運び込み、公演が行われた。ダンサーはわらの中にもぐりこみ、蚊の多い、真っ暗で静かな会場で、蚊をたたく音が客席からきこえる。そして私自身も何度も体をたたきたくなる気持ちをこらえて、彼女達の動きにインプロヴィゼーションで応えた。その後も、ウプサラのEkebyQvarnという広大な野外ギャラリーで行われた国際芸術展覧会では、川の上に用意された鉄板の上でベースソロを行い、それを橋の向こうのお客さんが観るというライヴを、水しぶきによる感電を恐れながら行った。舞台監督はやはりスザンナ。 そして、2万人を動員したノルウエー国境近くのスウェーデン・アルヴィカフェスティバルでは、ショベルカーと共演した。演奏中にスザンナたちがぶら下がるショベルカーが私の周りを動き回るという演出。(かんじんのベースアンプが会場に届かず、フェスティバルで一緒になったバイオハザードのマーシャル・ベースアンプを借りるというトラブルもあった(笑)) そして、前回書いたルーマニア公演ツアーでは、ドラキュラ城での演奏。ジプシーミュージシャンとの出会いで、私はますますハプニングを楽しめる体質になってしまった(笑))。もう少々の事では驚かない。特に海外公演はユニークな会場も多いゆえ、会場に機材が届かずに、PAに直でつないで演奏しなければならないことも多々あり(今ならそんな場合はtrilogic bass preamp様サマですが(笑))、変圧器もトラブルにより調達できずに、ピグノーズ、ホールドディレイに電池を入れて、たくさんのお客さんの前で6弦フレットレスの重ねる音のフリークエンシーに気をつけながらライヴをしたこともあった。それ以来、私は変なクセがついてしまった。プライベートで様々な飲食店やショールームに行って、カラオケ用やBGM用の小さなスピーカーが天井からぶらさがっていると、私はまず考える。「よし、ここでも俺はライヴができるな。」と(笑))。 そんなBASSNINJA、今沢カゲロウのツアー、今月は3月9日以降は下記の会場に行きます。近くの街に来たら、ぜひ遊びに来てください。楽しいですよ。 これからも応援よろしくお願いします。(3/6/05) 3月9日(水) 今までのコラムはこちら |
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