2013年4月17日
第58回 リズムセクション録り
PCIの皆さん、こんにちは。 春をいかがお過ごしですか? ミネソタはなんとまだ雪が降っています。 いくら北国とはいえ、4月半ばまでこうなのは例年よりも遅いです。 春が待ち遠しい毎日です。
最近お話しているレコーディングですが、順調に進行しています。 先月はスタジオに行ってリズムセクションのレコーディングをしてきましたので、今回はそのお話を。
スタジオはミネアポリスにあるWaterbury Studiosというところで、ここ2、3年ほどやっているスタジオなんですが、オーナー兼エンジニアの人が僕同年代か年下だと思いますが、ミネソタ大学で音楽を専攻した人で感覚としてロックやフォークだけでなくてクラシックにも通じる人を探していた僕としてはこのプロジェクトにピッタリだと思いました。 スタジオの設備も非常に整っていて、80年代のSSLの卓を中心に良いプリアンプやマイクがズラリ。 僕が使ったことのあるスタジオでは間違いなく最高級の環境で、こちらは内心ウキウキしていましたが、プロデューサーがあまり浮かれていては仕事にならないので顔だけはなるべく平然と。(笑)
さて、今回仕事することになったリズムセクションですが、ベースのAaronはメインはエレキベースですがアップライトベースも軽々とこなす実力者で、とても陽気で人当たりがいい人でした。 ベースは3人オーディションしましたが、あの良いベース弾きから感じる「音がビートに吸い付く」ような感覚を覚えたのは彼だけでした。 ドラマーの方は実は僕も前に会ったことのある日本人のテツヤさんという方で、やはりこちらで音大と修士課程までパーカッションでやってこられています。 やはり今回はアジア風のテイストが重要なプロジェクトですから、テツヤさんがオーディションに現れた時にはこの人だ、とすぐ直感しましたが、一晩だけの小さな仕事にも関わらず本当に熱心に取り組んでもらい感謝でした。 多彩なエスニックパーカッション(中には見たことのないようなものも幾つか)とびっしりアイデアを書き込んだノートを持ってきてもらい、本当に一晩だけのセッションではもったいない気分でした。 (当人も実はもっと時間をとってじっくりやりたかったようでした)
というわけでこんなに素晴らしいメンツが集まったわけですから、セッションもごくスムーズにいきました。 事前にエンジニアに今回はあまりマイクを楽器にくっつくくらいのところまで近く録らず、もっと離れたところの音が欲しいと伝えておきましたのでその辺考慮に入れてセッティングを。 ドラムは最初SSLを通して聴いた感じではちょっとくぐもった音だったので、Millenia社のプリアンプに変えたら高音がすごくクリアーになり良い音に。 ドラムはやはり最初のセッティングに時間がかかるので実際に録音し始めたのは着いてから2時間近くたってからでした。
プロセスとしては前もって録音しておいたデモに合わせて弾くという形だったんですが、リハーサルなしなのでスタジオその場でアレンジをパッと決めなければいけません。 のでこちらからの色々な要求に即対応できる実力があるミュージシャンでなければいけないわけですが、二人とも全く問題なしで、素晴らしい演奏してくれました。 音楽自体はシンプルなので、弾きすぎなければ問題ないだろうと僕も考えていましたが、その通りになりホッとしました。
スタジオには後日録音することになるフルート奏者の人とテツヤさんのお連れ合いのメミさんが見学に来ていましたし、もちろんアーティストのBobもいましたから、こじんまりとしたパーティーのような雰囲気でとても楽しい時でした。
来週はチェロとフルートの録音ですが、チェロ奏者もとてもいい人と巡り会いましたし、アレンジももう終わっているので後は録るだけですからこのプロジェクトも一番難しいところは過ぎたかと思います。 僕としてはプロジェクトの進行状況ももちろん満足していますが、何より今回一緒に仕事した人たちが皆素晴らしいので、これはこのメンバーで何とかもっと持続的に活動するユニットにできないものかと色々アイデアを育んでいるところです。 クラシックとアジア風の要素を入れた音楽というアプローチにも非常に手応えを感じていますし、これは何か新しい可能性のきっかけになるかも、と夢が膨らんで非常にワクワクしています。 もちろん何か他に画策する前にこのプロジェクトをしっかり終わらせなければいけませんが。
最後になりますが、PCIの方からXoticのSP Compressor と EP Booster を試奏させていただいています。 ちょっと次のセッションが終わるまではじっくりギター弾いている暇ないのでまだコメントできませんが、そっちの方もまた後で報告しますね。
ではまた来月。
投稿者 ari : 18:56