2013年2月 6日
第56回 プロデューサーという仕事
PCIの皆さん、冬をどうお過ごしですか? ミネソタは相変わらず寒いです。 ここ数日は毎日ちょっと雪が降り、毎朝シャベルで雪かきをしなければならない日々です。 とはいってもこちらでは日本の北部のように雪は降りませんが。
さて、前回の投稿から進展したことの一つに、相棒Bob YangのHmong語でのミュージカルのプロデュースをすることになったことがあります。 ミュージカルといっても非常に小規模で、役者は基本的に彼一人、曲も4曲とこじんまりとしたものですが、僕としては昼間の仕事の片手間にやるプロジェクトとしてはちょうどいい規模かと。 でもミネソタ州からの文化、芸術関係のグラント(grant -- 日本語では何といいますか?)をもらっているので予算は僕がこれまでやったプロジェクトよりも大きいくらいです。
プロデューサーと一概に言ってもそれがどんなことを実際にやるのか、日本でとこちらでの解釈の違いもあるでしょうし、こっちでその肩書きを使う人も人によって何をするのかまちまちですが、最初に僕なりの定義をしておくとこうなります。 プロデューサーとは、
-プロジェクトの予算を管理する
-スタジオやセッションミュージシャンの選択
-プリプロダクションから曲のアレンジに関わる
-エンジニアを監督しどういう音が欲しいのか伝える(多くの場合プロデューサーとエンジニアが同一人物なんですが)
-ミックスを自分でするか、またはミクシングエンジニアを監督する
-マスタリングエンジニアを選択しどういう音にしてもらうのか伝える
などありますでしょうか? 要するにレコーディングの総監督として最初から最後まで指揮するのがプロデューサーの仕事だと僕は思ってますので小さいプロジェクトとはいえやることはいっぱいあります。 ちなみにこちらでは低予算のプロジェクトはプロデューサーはいないことがほとんどで、上記の仕事の多くはアーティストかエンジニアが負担することになりますが、僕がプロデュースする場合はアーティストには音楽と演奏に専念してもらうのが仕事の一部だと思っています。
というわけで以降数回はこのプロジェクトがどう進行するのかお伝えできると思います。
さて、このプロジェクトは小規模とはいえミュージカルのレコーディングなので、4曲の他にも会話、モノローグ等が4部曲の合間に入ることになり、その道中の効果音やバックグラウンドミュージックも入れることになります。 ので最初にしたことは曲を聞いてどういう方向へアレンジするのか話し合い、また合間の会話がどの程度の長さなのかなども聞きました。 Hmongの人たちが東南アジアからアメリカへ移民するその道中の話なので、やはり音楽もそれなりに民族色を取り入れた方がいいとは思いますが、Bobの方はそこにはあまり執心ではないようなので、Hmongの伝統の楽器を使うというところまでいきませんが、フルートとチェロを使ってアジア色の味付けをしたらという僕の提案で今のところ落ち着いています。 まだ最終的に決めたわけではありませんが、音としてはあまり最近の『マイクを楽器のすぐ近くにつきつけて録りました」という音ではなく、もっと少し離れたところから、それこそ本当に小さな劇場でアコースティックバンドが舞台下で演奏しているのを聴くような、そんな感じにしたいと思っています。 ので僕もアコースティックギターとピアノ(ピアノはサンプルになってしまうかもしれませんが)をやり、ベースはストリングベース、ドラムも小さなセットをブラシなどで叩いてもらう、という風に構想を練っています。 ここ半年ほど僕の持ち味はやはりクラシックを大学で勉強していることだなと考えていたのでこのプロジェクトもそれを発揮できるいい機会だなと喜んでいます。
というわけで、次にやることはスタジオを幾つかあたって僕の構想にマッチしているスタジオ、またエンジニアを選び、また曲を簡単に録音してアレンジを練るということになります。 来月また投稿する時には願わくばスタジオはもう予約できていてミュージシャンをオーディションしているかもう雇ったか、そういうところだと思っています。
ではまた次回。
投稿者 ari : 06:49