« 第48回 努力、根性と無理の違い | メイン | 第50回 エチュード、エクササイズ、フレーズ »

2011年8月15日

第49回 シンガーを見つけました

毎月初頭に更新しようとは思っているのですが、なかなか腰が重い小井沼です。 皆さん夏をいかがお過しでしょうか? 今回は前回ちょっとお話したシンガーについて。 

いや、本当に理想的な人物との出会いがあったんです。 

前にお話した通り、僕はシンガー探し用のサイトを立ててそこでプロジェクトの概要を詳しく説明し、それにリンクする広告を人気のある掲示板サイトに投稿するというやり方で仲間を探したんですが、これがやっぱり大当たり。 何がいいかっていうと、やはり自分にメールを送ってくれる時点で相手が自分の音楽や活動の展望に共感してくれているということが前提になるからです。 その分もらうメールの数は少ないんですが、いっぱいもらってその度に自分のやりたいことを説明して、とやる手間が省けるので、その分相手のことを知る段階へすぐ直行できます。 で、メールであれやこれや相手のスタイルのことなんか聞いているうちに相性がいいか悪いかすぐわかりますから、ほとんどの人はその段階でボツ。 要するに、いざ実際に会うというところまでこぎ着ける人はかなり高い確率で仲間としての相性抜群なわけです。 僕も色々な人とメールやりとりしましたが、実際に会ったのは一人だけでした。

で、僕のシンガーの名前はBob Yangといい、一歳の時にミャオ族の難民としてアメリカへ移住してきた人です。 ミャオ族というのは多分なじみのない言葉だと思いますが、詳細の説明はウィキペディアの記事を見て頂くとして、実は僕の住んでいるミネアポリス近辺にはミャオ族の子孫が大きなコミュニティを築いていて、アジア系で一番多いのです。 いったいどういう経緯でこんなにたくさんの人がミネアポリスという寒さの厳しいところへ移住してきたのかは僕もまだ知らないんですが、日本人の僕がミャオ族の子孫であるBobとアメリカでロックのコラボレーションをするなんて国際時代の象徴だな、と思ってしまいます。 

同じアジア系で(白人にくらべて)童顔なこと、体格が小さいこと(ミャオ族の人たちは日本人よりも背が低く、がっちりとした体格であることが多く、Bobも例外ではりません)また性格も基本的には生真面目なことなど、初めて会った時から共感する点が多く、これはいけるかもと僕も思ったのです。 現時点でもう4回ほど会って一緒に練習してみましたが、初回から歌詞の解釈や歌い方のアプローチなど自分のアイデアをたくさん持って来てくれて、またレコーディングの際は僕のホームスタジオでなくて知り合いのプロのところで安くしてくれるところを提案してくれるなど、僕の音楽に対して非常に真剣に取り組んでくれていることがわかりこっちも嬉しくなります。 

でも性格的に相性は最初から抜群だとわかっていたのですが、音楽的にはどうか、というのはちょっと判明するのに時間がかかりました。 僕のバンドメンバー探しの持論としては、まず性格、人間的に相性のいい人を捜すのが大前提で、もし気の合う人がみつかったらメンバー間で一致するところへ音楽性を変えるのがいいと思っているんですが、Bobの場合実はあまりロックへの関心高くなさそうだということが判明。 僕もフォークやクラシックなど他の音楽いっぱい聴きますし、ロック以外の音楽もやりたいという意欲は多いにあるんですが、でもやっぱり一番情熱を持ってやっているのはメタルの影響多分なヘヴィなロックですからこればっかりはどうだろう、と思ってしまいました。 彼はこっちでいうとアダルトコンテンポラリーというライトなポップが好きで、まあ要するにバラードっぽい曲を次から次へと並べてシンガーの力量に任せて聴かせるというような感じが多いんですが、彼もやはり夢はシンガーになることなので納得できはします。 でもジャンルになじみのない彼が最初はかなりわざとらしいロックっぽい歌い方(長音を意図的にヴィブラートさせないなど)しようとしてたので、これは音楽性の方、本当にマッチアップするのかなと考えてしましましたが、でも次回から僕の方で、いや、もっとクラシック風に、あなたの慣れた歌い方でアプローチしてくれ、と言ったらこれがやっぱり大当たり。 僕の音楽はギターがかなり攻撃的なのでパンク系のヴォーカルが来ると結構しっくりきそうなところもあるんですが、そこにもっと古典的でうまいヴォーカルがのっかると通り一遍ではない、独創性の高い感じになりました。 まあ好き嫌いはっきり別れるとは思いますが、Queenの故Freddy Mercury氏がGreen Dayのヴォーカルだったら、というとその組み合わせの奇妙なところがご理解できますでしょうか? (実際の音楽性が必ずしもそうだというわけではなく、ただ単に珍しい組み合わせだという次元の話で) でもとにかくヴォーカリストとしての力量は申し分ないですし、人間性の相性もばっちりということで、あとは音楽を二人の共有できるところへどう動かすか、というところだったんですが、クラシックっぽいアプローチと僕のヘヴィなロックの融合という路線で充分いけそうです。 

Bobがブルース歌ってるところです。 1分半くらいのところから本領発揮!

というわけで彼とのコラボの結果を早くお聴きしてもらえるよう頑張ります。 ではまた次回。

投稿者 ari : 2011年8月15日 04:29