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2008年8月 8日
第18回 作曲って教えられるもの?
最近親しい友人が "Why don't you teach songwriting?" (ソングライティングを教えたら?)というのでふと考えてしまいました。
(厳密にいうとソングライティングは作曲、作詞、それから編曲の分野まで入っていってしまうのでこれからもソングライティングと表記しますね。)
例えば、いいメロディーの作り方を教えられるか? と考えた場合、教えられないような気がします。
いいメロディーがあるんだけど、どうやって曲としてまとめていいか、それは教えられます。
でも素材のところはどうでしょう? インスピレーションというか、ひらめきやアイデアというのはそれを「受け取りやすい状態」に自分を置くことはできても、自分でも思ったように作り出せないというのが現実。 「今日はヒットを一曲」と思って書ければ苦労しないですよね。
ぱっと検索したところ、ソングライティングの教本ってなかなかないようにみえます。 理論はもちろん教えられるんですけど。
そもそも「いい曲」ということの定義すらできないし。
そうやって考えていたら、昨日面白い例えを思いつきました。
我々みんな一人ずつ、絵を描く道具を持って生まれてくると想像しましょう。 それは鉛筆かもしれないし、チョークかもしれないし、サインペンや筆と絵の具、クレヨンかもしれない。 中には書き心地抜群でちょっとなでるだけで鮮明な線を描いてくれるものや、鮮やかな色を簡単に演出する道具もあるでしょう。
でも大半はちょっといびつであんまり書きやすくない道具なんですね。 まっすぐに線を書こうとしても曲がってしまったりするし、色も多彩にはできない。
でも頑張って生まれついた道具を使って絵を描こうとしてるうちに、自分の道具の癖というか、長所短所がわかってきます。 できることは限られているんだけど、その道具でしかできない、その道具だと簡単にできることが見えてきます。 他の人と同じような絵は書けないんだけど、自分のいびつな道具でもそれをどう活用して絵を描けばいいのかわかってきます。 自分の道具の使い方が上手になるんですね。
結果としてできた絵が大衆がみて「いい」と感じるかどうかは別問題。 でも描いた本人が見て「僕の道具でできる範囲では最大限」の絵を描くことは可能だと思うんですね。 自分の道具の特性と限界というものを正直に見つめた上でなら、の話ですけど。
これはソングライティングと、あとシンガーの場合、自分の声。 両方に当てはまると思うんですね。
僕がいっくら背伸びしてもオペラ歌手にはなれません。 Freddie Mercury のようには歌えません。 でも自分の声を使って自分なりにうまく歌えるようにはなるはずです。 もちろん自分の声にあった曲を歌わなくてはいけないですけど。
曲作りも同じかな、と考えます。 才能というか、人の持ってきた器というものは変えられない、教えられないものがあります。 でも才能を引き出す、器を満たすということは教えられます。
ヒット曲を確実に書く、というような教本などもありますけど、それは傲慢というか、そんな方程式がないから音楽業界は難しいわけですし、また楽しいわけでもあります。
僕はヒット曲を書くことは教えられません。 ビートルズのような曲を書くことは教えられません。
でもあなたが自分の能力を最大限に引き出して、それを反映した曲を創れるようになるか、それはお手伝いできると思うんですね。
また、ヒットになる曲にしても、道具の使い方がうまくないとヒットになる可能性もないんですね。 要するに、自分の道具をある程度うまく使いこなして、曲としてまとまりのあるものを書く。 それができて初めて曲とはヒットにもなりえる可能性が生まれるわけなんです。 才能のある人でもそれをちゃんと形にまとめられなければその才能は片鱗だけで満開しないわけなんです。
どうでしょう、読者の皆さん。 僕がトモ藤田さんのように通信講座でのソングライティング·コーチを始めたとしたら、興味がありますか? 僕の定義での「いい曲」を書くテクニックを教えるんではなくて、あなたが思い描く「いい曲」とはどんなもので、どういうアプローチをしたらそれが書けるようになるのか、それを一緒に模索していく、そういう方向です。 ですからteacherではなくてcoachもしくはmentorという言葉の方が正しいと思うんですが。
まだやると決めたわけではありませんし、値段のことなんかもありますから「興味がある」と言われても最終的に僕と師事すると決めなくてももちろん構いません。 でもあなたがやるかやらないかは別として、「面白そうだ」か「それはいいアイデア」だと思ったら是非下記のコメントかMixiか何かで一言教えて下さい。
どうぞよろしく。
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投稿者 ari : 2008年8月 8日 08:08