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2008年7月25日
第17回 好きだから夢を
ずっと前、弟の同級生で作曲家志望の一人が、僕がアメリカで音楽をやっていると聞いて弟を通して手紙を書いてきました。 (メールの前の時代でしたので すごい遠い昔のように聞こえますね 汗)
内容は正確には覚えてませんが、こんな具合だったと思います。
「アメリカで音楽をやってるのってすごいですね。 僕もディズニーの映画作曲をするのが夢です。 しかも金髪のアメリカ人の方と結婚しているそうで、とてもうらやましいです。 僕もアメリカで音楽をしたいので何かアドバイスがあったらよろしく。」
ちなみに僕の妻は白人ではありますが金髪ではありません。 (笑)
返事は、確かアメリカで音楽をやるためにはアメリカ人と人間関係を築けなくてはいけないので、英語をしっかりやるように、と答えたと思います。
夢を大きく持つことは微笑ましいですし、大きく持つべきだと思います。 かくいう僕の夢も歳をとってもちっとも小さくなりません。 (笑)
ですけど、夢が大きすぎるとその重さにつぶされてしまうということもあります。
僕なんかもずっとそうで、自分の目標と今の自分の居場所と見比べて、ああ、まだこんなに遠いじゃないか、何をやってんだ、オレは無能なのか、前進してるのかよ、と嘆きながら多くの日々をすごしました。
そうやって嘆いているときは、ギターを弾いてもちっとも楽しくなくて、ああ、へたくそだな、とか自分を卑下するばかり。 挙げ句の果てにはすぐ嫌になってテレビゲームをしてたりとか。
若い時の貴重な時間をずいぶんそれで無駄にしたものです。
もう1回繰り返しますが、夢を持つことは大事です。 でもその夢を「達成しないといけないもの」として抱え込んでしまうと厄介です。 夢を現実化させるところへばかり目がいって、その道中、また自分が今いるところが全く居心地悪くなります。 早く目的地へ着きたいがために、スピード違反してドライブしたり、一方通行を逆に走ったり、道がないところを暴走したりとストレスのたまることばかりするようになります。
以前の僕がやっていたように、自分が好きでやりたいことからも楽しさを奪ってしまいます。 これではいけません。
夢を持つこと自体は悪くありません。でもどこにどういう夢を位置づけるか、これは考える必要があります。
例えばギターを弾くのが大好きだとするでしょう。 そして影響をうけたロックギタリスト達を見習い、自分もアーティストになりたいと思う。 でもその後「アーティストになりたい」ところばかりに目がいくようになっては駄目です。 アーティストに何でなりたいのか、そもそもその理由を考えましょう。 それはギターをひたすら弾きたいからですか? ならアーティストにならなくてもそうする方法はあります。 有名になりたいからですか? ギターを弾かなくても有名になる方法はあります。 その夢を達成したことによってもたらされる何が肝心なのですか?
前にもいいましたが、ギタリストとして生計立てられるようになる人たちは、プロになることを目指していたかもしれませんが、そもそもギターが好きで好きでどうしようもない人たちなんです。 朝から晩までギター三昧で、人か何と言われようが下手だと先生から言われようがどこ吹く風で、ひたすらギターが生きがいな人たち。 プロであろうがあるまいが弾いているでしょうね。
ギタリストになるためにはもちろんギターを弾かなくてはいけません。 でも「ギタリストになるため」だけの理由でギターを弾いているんでしたら、例えばオーディション落ちたりとかバンド解散したりとかしたら落ち込んでしまうでしょう。 やってもやっても目標に到達しなかったら嫌になってやめてしまうかもしれません。 日本人はその辺我慢強くチャレンジし続けるかもしれませんけど。
逆に考えると、夢とは「どうしようもなく好きなこと」の延長のあるのが理想だと僕は考えます。 「ギターがたまらなく好きなのでギタリストになってしまった」という人の方が幸せなんですね。 好きなことを今いるところでできる限りの範囲で、楽しみながらやっていく。 その過程で夢が膨らんできて、それの追求しているのが好き。 そうやってやっていくと夢を達成するところだけでなく、そこにたどり着く道中全て楽しく、幸せに過ごせるんですね。
僕もまだまだ夢は達成してないんですが、自分の夢に対する姿勢を変革させたら、俄然やってることが楽しくなりました。 今ではギターを抱えて歌ってるその毎分が好きです。 生きていてよかったと思います。
日本はテストとか試験とかとにかく他の人の基準に自分達を合わせることがたくさんある文化なんですから、自分の夢くらいは「合格しなければ自分は失敗」という考えから解放されたいと思いませんか? 夢は大いにみてほしいですけど、でもできることなら「達成しなくちゃ駄目」というタイプでなくて、「夢を追ってるのが楽しい」夢をみてほしいと思います。 そうすると、達成するかしないかというところに目が集中せず、ヨチヨチ歩きでも少しずつ前進する、その人生全てが楽しくなりますよ。
人生っていうのは夢を追ってる、その過程で大半を過ごすものです。 目的地だけでなくて、そこへいく道も楽しむ。 そうやってやってるうちに、自分でも予想だにしなかった距離を走破してしまったりするもんです。
お互い、楽しくやりましょう。
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投稿者 ari : 2008年7月25日 13:51